« 2018年2月 | トップページ | 2018年4月 »

2018年3月

Vol.60

○姿勢を正す

 

 声は姿勢と大きく関係します。心もですが、まずは体の姿勢からです。

 肩を落として、溜息をつく。天を見上げて、「あー、あ~」と言ってみてください。

 気分が落ち込みモティベーションが下がると、人は下向きに猫背に、伏し目がちになります。

 そういう人に「おはよー」と呼びかけても、そこからすごく元気で明るい「おはよー」は返ってこないでしょう。もしそういう人がいたら、その人はアイドルかタレント、芸人か、あやしい商売をしている人でしょう。

 

 姿勢と声はリンクしています。さらに性格もリンクしているのです。

 その呪縛から逃れるためにトレーニングがあるのです。

 

〇声と老い

 

 ヨボヨボのおばあさんは、どうしても老け声になります。五感が衰え、筋力が弱り、腰が曲がるからです。そのような姿勢で、ゆったりしたペースでしか歩けないからです。声もかすれます。その枯れ具合がいいという人もいます。

 でも、同じ年齢でも、芸能人や仕事をもっている人は違うでしょう。背筋はピンとしているから、声もハキハキしています。そういう姿勢を毎日取り込んでいくと、そういう人になり、そういう人生になるのです。身は体を表わすのです。

 

○生き方と声の張り

 

 声の違いは、毎日の生活の意識とともに表れているのです。年齢のせいではありません。

 若くても部屋に引きこもり、ゲームばかりしていると、色白の青びょうたんになります。すると、生気のない声になります。

 声を発するのは筋肉ですから、使わないと衰えてしまうのです。楽器である肉体が老けていくと声もまた老けゆくのです。これも、その気になれば防げます。

 それを補ったり強くするトレーニングもあります。

 1.フォームづくり 2.呼吸 3.柔軟 4.筋力

 

〇イメージで変わる声

 

 いいことがないと体も心も声も落ち込みます。そういうときは、いいことを思い出せばよいのです。いいことが、いつもあるわけがないでしょう。いいことがなくても、いいことを思い出すだけで、気分が変わります。すると、いい声が出ます。いい声を支えるのは、心と体、両方なのです。

 

 中高年の方が、昔を思い出しニヤついてばかりいるのは、芸がありませんが、とことん落ち込んだときは、活動的だったときのことを思い出してください。そのときの気分で、できるだけ大きな声を出してください。どんなことからも立ち直れるでしょう。いつか、思い出に生きる日まで。声が若いってことは、気が若いってことです。

 

○声の生存システム

 

 声を出すことは、相手を元気にするだけではありません。それ以上に自分も元気になるのです。

 いい情報は、人を元気にします。しかし、それがなくても、いい声が聞こえてきたら、皆、元気になります。何かしら生きることに希望を見いだせます。

 そういう声を交わしながら生き残ってきたのが人類だからです。それは、太古の昔から今もかわりません。声の制御システムは、人間の脳の深いところに入っているのです。

 

○人は大声、ワイワイ、にぎやかが大好き

 

 なぜ人は、わいわいガヤガヤが好きなのでしょう。群れとして生きてきたからです。弱い人間が生き延びるために得たものが、道具とことばです。二足歩行で、さらなる発達が可能になりました。

 今も居酒屋では、うるさいほど楽しそうな声が飛びかっています。昔の祭事が、コンパや宴会に変わっただけです。それを聞くと、私は少し幸せな気分になったり、ときにしんみりしたりします。

 

○ポーズと声

 

 「ハッスル」、「ガッツ」、「ゲッツ」。

 声はいろんなところで、とても刺激的に、使われています。

 プロレスラーやお笑い芸人の発声を、ポーズをつけて学びましょう。新人のプロレスラーの声に、学びましょう。

 「キッパリ」というベストセラー本がありました。そこに「げんこつを突き上げると元気が出る」とあります。私は「そこで声を出すとさらに元気が出る」とつけ加えたいと思います。

 人は喜んだときどうするでしょうか。

 

○声は気持ちを踊らせる

 

 喜ぶべきことがなくても喜んでしまえばよいのです。きっと楽しくなってきます。そのように、形から入りましょう。

 歓声をあげる、輪になって踊る。ダンスなどもそこからきたのでしょう。楽しいから大きな声を出したり、ものを叩いたり、大きく動く、ダンスする人がいて、それをみていたら楽しくなって、声を出したり踊りたくなったりした。加わって踊って楽しくなって、そして普及したと思うのです。

 大の大人が抱きついたり、奇声をあげたり、シャツを脱いだり、シャンペンやビールをかけあっても、しぜんな場があります。スポーツで優勝したとき、打ち上げのときです。皆とやるから楽しいのです。

 何か大きなことを成したら、一人でやってもそれなりに楽しいからお勧めします。

 少なくとも、声の悩みなどふっとびます。くすりや酒もいりませんから健康的です。

 

○声の記憶力

 

 私は、歌手や役者の歌やせりふを、レッスンでは生で、リハーサルではスピーカーで聞きます。

 舞台では、聞き終わったあと、自分の頭に残っている声を元に、細かく注意します。プロでも、声についてさほど意識していないことが多いからです。それができたら、一流です。

 すぐれた歌手や俳優は、細密な声の記憶力をもっています。

 意識しないことには直せません。現場では、正しく直すというよりは、その人の呼吸の通りにした上で、舞台や音楽の呼吸に合わせられるようにするという方がよいでしょう。

 

〇声の精度

 

 あなたが自分の声を再生して聞くとき、音の上ではあなたが伝わる側にいることになります。スピーカーから声を出しながら、客観的に聞きます。第三者として、そこに現れる自分の声とその働きかけを聞くのです。

 陣内智則さんのネタではありませんが、一人での二人の会話が成立します。

 「元気かい」<オー>、「会社ではうまくいっているの」<ウン、マア>、「何、落ち込んでいるのよ」<ウーン>、「元気ださなきゃ、ファイト○○」。電話で誰かと話していることと同じですね。そうして働きかけの精度をみていくのです。

 

○電話を使おう

 

 今や、コミュニケーションはメールが主流となりました。声は波動のエネルギーですから、電話の方が伝わるものは大きいのです。電話をかけるときはメールよりもエネルギーがいります。しかし、うまく使うと、その後、自分のエネルギーが倍増します。

 最初は明るくはきはきを目指しましょう。そういう相手と話すのが望ましいでしょう。

 ただし、相手が暗いと引き込まれます。裏目にも出るので、そこが恐いところです。

 あなたが落ち込み、声の調子が今一つのときは、メールするのもよいでしょう。それでも、だいたいは電話をかけてみる方がよいのです。相手が出た途端、人は元気が出てくるものだからです。

 

〇自分の声を聞く

 

 自分の笑っている写真をみたら元気が出るものです。笑っている自分の声を聞いて元気になりましょう。

 病的な声は、病だと思うことです。それによって、自分もまわりも暗くしているのです。元気のない声はインフルエンザみたいなものです。それには、自分の元気声ワクチンを打つのです。

 

○元気になることば

 

 元気な声をうまく出せないのは、元気がないからです。元気になることばをあげておきます。これを読んで、いや覚えて目一杯に明るく言ってみてください。

 「大丈夫、きっとなんとかなる!!

 同調しにくい人は、次のことばを。

 「もっとつらいこともあったよ」

 それでもだめなら、もう一つ。

 「もっともっとつらい人も、たくさんいる」

 

○命の電話

 

 電話一本で命が助かるなんてことは、死にかけたことのある人しか信じられないかもしれません。電話一本をかける勇気があったからこそ、ですが、それを誰かが声で受けとめ、声で防げたとしたら、まさに声と声が魂と魂の結びつきとなった例です。

 日本では、中高年だけでなく若い人の方の自殺も少なくありません。飲み屋でくだをまくもよし、歩きながら独り言をつぶやくのもよし。電話や井戸端会議(今は、公園?)で長話できる女性に、自殺する人はいないでしょう。

 死んでしまったら、あなたの声は誰にも届かず、誰の声も聞けなくなるのです。

 

○暗誦して声を使う

 

 元気な声にするイメージングをします。

 ここでは、写真、パソコンを利用してもよいでしょう。

 好きな風景を出しましょう。

 表情、ことば、仕草、すべてを使って、そこで語りかけましょう。

 

 最初は、相手を尊敬する人や好きな人、アイドルにイメージするとよいでしょう。

 

・嬉しかったこと

・おもしろかったこと

・幸せな時間について

 

○自分の心に働きかけた声を集める

 

1.プライベート

2.ビジネス

 

そのとき使っていたことばと声「    」

そのとき言われたことばと声 「    」

を想い出しましょう。

 

○好きな人の好きな声に同化する

 

 相手を好きになると、その仕草や話し方に好感をもちます。すると、自分でも似た感じの使い方をしだします。好きなものの仕草や声などには同化されやすいからです。

 あなたの声の出し方、あなたの話し方は、誰の影響をどのくらい受けてきたのでしょうか。

「プロとサービス化」 No.319

 

教育のサービス化は、よくもわるくも、標準化、平均化を推進します。日本のような気風の社会ではすべてが同質になりがちです。

 

私は教えることを生活の糧としては、あまり考えないように生きてきました。先生が、門人、門下生、弟子、生徒を抱え、そこで生計を立てて頑張ろうとすることは、悪いことではありません。まさにプロの仕事として教えることの責任を伴います。しかし、相手に関わることからそこにいる時間を義務として負ってしまうことにもなります。創造や革新よりも、おのずと人を通して、その場や体制を守ることが第一になってしまいます。(教えるのを生計と生活の場とするシステムが、家元制ともいえます。)

 

教育はとても売り買いできません。確実に独り立ちさせるところまでと、そう考えるなら持ち出しが多すぎて、続かなくなります。経営破綻で多くの教育事業や文化事業はつぶれています。教育や文化活動は、採算だけで考えては続けられません。改革も必要です。それをAIITのインフラが助けてくれるなら、素晴しいことだと思います。システムもお金もあくまで補助であって、成したことの評価は後世を待てばよいのです。

 

年齢をとり経験をつまなくてはわからない意味が、ここにいらっしゃることで少し早くわかるようになればよいと思います。すると、年をとることが楽しくなります。

 

何をどう成し遂げていきたいのかを学びましょう。

 

 

« 2018年2月 | トップページ | 2018年4月 »

ブレスヴォイストレーニング研究所ホームページ

ブレスヴォイストレーニング研究所 レッスン受講資料請求

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

発声と音声表現のQ&A

ヴォイトレレッスンの日々

2.ヴォイトレの論点