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第17号 「ビブラート、フレーズと共鳴」

○ビブラートについて

 

歌にならないからと、ビブラートもどきに語尾でゆらしてカバーしたらよいというものではありません。しかし、これを歌の“技術”として使えるトレーナーもいます。

ビブラートには、・深い息をしっかりとコントロールして、声を持続して出すことと、流れをイメージして、なめらかなフレージングにすることが欠かせません。歌に心地よいゆらぎを加えるところまででしょう。

感情を表現したい部分で、意識的にそれを声に拡げて強調することで、聴き手に気持ちが伝わるならよいでしょう。ただし、声のふるえ、自分の意識でコントロールできない声ゆれはよくありません。今はマイクに相当のエコーがかかるので、なおさら余計にかけてはなりません。

ビブラートは、発声の基本を極めていくと、自然に身についてきます。歌うとき、喉仏に指をあてると微妙に動きます。声は共鳴によって出るものだから、メリハリをきかせるためにフレージングに、共鳴の流れが声に表れるものだからです。

 

〇ビブラートの違い

 

トレーナーにも、歌にビブラートをつけた方がよいという人と、ビブラートを意図してかけてはいけないという人がいます。これはビブラートがどういう状態を示すのかが使っている人によって違うので、どちらがよいとも言えないのです。トレーナーの好みも反映されます。自分の好みでみないということは、歌い手にも、トレーナーにも、とても難しいことです。

私は無理な“ビブラートもどき”をかけないように注意します。ビブラートのためのトレーニングというのは行ないません。共鳴として考える方がよいです。

 

○フレーズの入り方(歌での声立て)

 

早めに出るのも、ためがあってからバーンと出る場合も、あらかじめ描かれた円の流れの中でなめらかに合流するような感じにします。決して突発的に声にしないことです。前のフレーズでの声の切り方に対して、もっともよいタイミング、声量、声質で次のフレーズに入るのは、簡単なことではありません。

日本人は、ゆったりと出だすことが多いようです。ずり上がりやずり下げは避けましょう。歌では鋭さが欠かせません。そこに音感、リズム感、声質が瞬時に出るのです。私のイメージでは、ためて息が出て声が導かれる感じで瞬時に入ります。

 

〇フレーズのキープ

 

直線的に、一本の棒のようにひっぱらないように注意します。統一した響きの線でライン(円)を描くようにします。やや強めていってもよいのですが、変に揺らさないことです。力でなく、呼吸でアクセルを緩める感じです。

 

〇フレーズの終止

 

フレーズの終止は、徐々に声を消し込んでいくのが基本です。そこで振るえたり、揺らいだりしてはいけません。息が足らないと、息の支えがなくなって声がふらつきます。中には、急に止める場合もあります。口先でなく、体で切ることです。流れの中で放す感じで、軽く響きも(胸中や鼻の線上に)残ります。

声は消え入っても、動きがバタと止まってはなりません。声の切れるところは、聴く人の耳に残る大切なところです。次のフレーズの入るところを踏まえて放します。

 

〇フレーズの連続性

 

私は、フレージングにタッチ、ニュアンスをおくとか、エッジをきかす、ピークや発色させるなど、独自のイメージで課題を与えています。もっと大切なのは、フレーズの終止から、次のフレーズに入るまでの流れの保ち方です。そこでのブレスによる流れの変え方、リズム・グルーヴ感なしには語れません。

付言するなら、たとえば4つのフレーズを歌うなら、4つの同じ山ではなく、一つの大きな流れで一貫させた上で、4つのフレーズをおかなくてはなりません。常に起承転結を意識してください。歌一曲、最後まで気持ちが切れてはならないのです。

 

○口を大きく開けない

 

口をパクパクと開けすぎるのは、発声の邪魔です。声が、まだ声の出にくい人は、表情でもフォローできるから、表情筋も別に鍛えるとよいでしょう。口の動きは発音に大切です。目的はそれぞれ、ただし、口を開けるのと口の中を開けるのと、喉を開けるのとは違います。

 

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