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第19号 「呼吸から発声へ」

○吸う練習は不要

 

声は、息を吐くときに、出すものですから、声のコントロールは、吐く息の調節、維持によって行われます。そこでトレーニングは、自分の吐く息を思い通りにコントロールするために行ないます。吐く息の量や長さを自由にコントロールできるようになれば、息を吸うことも自然とできるようになってきます。

吸うことを意識して、吐くのと同じか、それ以上に時間をかけてがんばって息を吸っている人がいます。しかし、実際は、“吸う”というより“入る”といった感じがよいのです。

将来的には、息を吐いたあと、体全体がバネのように息を取り入れられる体をめざしてください。そこに「吸う」などという動作があってはいけないのです。「スゥーっ」と吸う音が、あまりに聞こえる人は、よくありません。

 

○息を長く伸ばす必要は少ない

 

重要なのは、息を吸う量や吐く量ではありません。腹式呼吸と発声に加えて、声たて効率(いかに効率よく息を声として使うか)が、問題です。

息や声を出して、どれくらい長く伸ばせるかといったチェックは、息の支えが崩れるので、トレーニングというよりは、チェックと確認のためにするのです。

ほとんどの人は、息を充分に吐けるだけの体になっていません。日本では、プロの活動をしている人でも、呼吸力の不足で歌がうまくまわらない人が少なくないのです。呼気を声に変える効率が悪く、息のロスが多いとさらにそうなります。根本的には、声と息が深くなり、結びつくのを待つしかありません。息をあまり吸いすぎないことです。

発声の必要度に対応できる呼吸を身につけることです。イメージとしては、喉でなく、呼吸でお腹から切りましょう。呼吸は常に吸うのでなく、吐いた分、入るようにと考えてください。そこで、いつでも瞬時にスッーと入り、すぐに使える体勢を整えられるために、余力をもつトレーニングが必要なのです。ちなみに、肺活量は、成人を過ぎると、少なくなっていきます。肺活量を増やすトレーニングをするのでは、ありません。

 

○腹筋運動の功罪

 

腹筋運動での筋肉の強化は、多くのスポーツの選手に必要ですが、声にとっては実際に腹式呼吸に使われる呼吸機能(内側の横隔膜に関わる筋肉や助間筋など)を鍛える方がストレートです。声は息によってコントロールされ、息は体でコントロールします。それに関わる筋肉は、一連の呼吸運動(息を吐くこと)によって鍛えます。

適度にお腹の筋肉を鍛えておくことも必要です。一般の人より、弱い人には、必修かもしれません。体力同様、筋力も、得ておくことです。あなたがアスリートなら、充分です。何事もその人の現在もっている条件で違うのです。 

前直筋は、鍛えることによって、あまり固めないようにという人もいます。力で歌うという誤解をとることです。

 

〇発声のメカニズム

 

 発声の仕組みを楽器のように考えてみましょう。

楽器の構造のように、私たちの体の発声に関する器官を四つに分けてみます。

 

1.呼吸(呼気)がエネルギー源(「息化」)(肺―気道)

人の体を楽器として、オーボエに見立ててみると、声帯は、そのリードにあたり、声の元を生じさせています。肺から出る息(呼気)がリードをふるわせて音を生じさせます。

声帯は筋肉ですが、直接、意識的に動かせません。呼気をコントロールすることによって、周辺の筋肉も含めた声のコントロールをしていくわけです。呼吸は肺を取り囲む筋肉の働きによって横隔膜を経てコントロールされています。そこで、声を高度にコントロールするのに、腹式呼吸のトレーニングが必要となります。

 

2.声帯で息を声にする(「音化」)

肺から吐き出された空気は、直径2cmぐらいの気管を通って上がってきます。咽頭は、食道、気道を分けるところにあります。唾を飲むと上下に動くのが、喉頭です。この喉頭のなかに、V字の尖った方を前方とする象牙色の唇のようなものがあります。これが声帯です。  声帯は、気管の中央まで張り出し、そこで左右のビラビラがくっつくと、呼気が瞬間せき止められます。次に呼気が通ると開くのです。これが一秒に何百回~何千回もの開閉が行われ、声の元の音を生じます。それは響きのない鈍い音で、喉頭原音といいます。

 

3.声の元の音を響かせる(「声化」)

声は、声帯の開閉の動きから空気がうねって生じます。これはドアの隙間のように、空気音なのです。いわば声帯という、二枚の扉の狭い隙間で生じた音のことです。

声を大きくしたり、音色をつくりだすのは、楽器では管(空洞)にあたる声道です。声は喉頭から口や鼻までの声道で、共鳴します。その共鳴腔は、口腔、咽頭、鼻腔などです。口内の響きを舌の位置で変えて、母音をつくります。

 

4.唇・舌・歯などで、声を言葉にする(「音声化」)

響いている声を、舌、歯、唇、歯茎などで妨げると音となります。それが子音です。(これを構音・調音ともいいます)

妨げるところを調音点、妨げ方を調音法といいます。

 

〇気づくこと

 

よい作品を勧め、個々に勉強方法を得られるようにしていきます。本人の歩みのペースから変えていきます。極端にやって、それが破れるリスクは、常に考えて、セーブしています。

期待しても、その期待通りの資質を本人がもっていても、やるだけやらない人には、何事もものになりません。

明らかにギャップがある場合、そのことに気付かないと、どのトレーナーが引きうけても駄目でしょう。そういうときは、レッスンを待つこともあります。

歌の場合は、それだけが目的ではありません。趣味としてもよいし、何らか接点が付けていく人生もあります。それもまた、本人に委ねられるものなのです。

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