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第26号 「ヴォイトレと音楽の練習」

○音楽的にする

 

歌唱で表現は、音の流れの中で決まってくるもの(曲)に対し、自分が何かをみつけ、そこでどう伝えたいかということ(心)でつくっていくものです。

歌が心身と一つになるために、声を自由自在に使いこなして歌として描くのです。ヴォイストレーニングとは、その自由度を声の力で拡げる得るためのものと思っています。

私は聴くときに、3分間すべてを貫く方向性に対し、いくつかの音の大きな動きとその関係をみます。それはリズム・グルーヴで支えられた上で、微妙にその人独自の呼吸でフェイクし、心地よい揺らぎを持つとともに、要所(ピークや語尾を中心)に、心に残るニュアンスをおいていくものでなくてはなりません。

 

〇どう歌うべきなのか

 

レッスンにおいては、「どう歌えばよいのですか」という問いは、成り立ちません。それを自分の歌において、問うことに対して、サジェストするのがレッスンです。

一瞬でも一フレーズでも、人の心に働きかけるものが出たところから、すべてがスタートするのです。あなたの歌が創造物(アート)であることを目指すのであれば・・・ですが。

詞を歌うのではなく、詞やメロディに表れた思いを伝えるのです。ことばだけでなく、メロディやリズムや音色、呼吸で、あなたが再構築するのです。ステージでは即興で、よりよく選び変えるくらいの気持ちでやることです。

 

○イメージング

 

歌とか声というのも、歌や声に何をのせて伝えるかということです。作詞でも作曲でも同じでしょう。だからといって作詞作曲の勉強をするのではなく、ヴォーカリストが、声の中に、心の音とか、ことばが歌い出したら、そうなるということです。世界の音楽まで含めて体に宿したら、そのときにふっと自分から出てくるメロディがそうなるのです。まず100曲でもつくれということです。

 

〇楽器と歌

 

ピアノでもヴァイオリンでも、一番根本の基本のところは変わらないのです。でも楽器の場合は、決められた土俵のうえでやりますから、そこに幼いときから長く触れている人の方が有利です。毎日10時間近くの練習は、楽器を自分の神経につなげるためです。でもヴォーカルの場合は違います。例外が許されるのです。いや、例外しか許されないのかもしれません☆。

 

○練習のメニュについて

 

基本的には、何事も自分が主体的に取り組み、自分で決めていくのがよいと思います。その練習内容を組み替えたり、よりよくするための基準を知るために、レッスンなどを使っていくということです。

多くの人が練習というのは、正しいやり方があるとか、いくつか決まったやり方であると思っているのですが、そんなことはないのです。その人の中で、歌のレベルに応じて練習の方法が開発されてこなくては本当には大して役立たないのです。

とはいえ、明らかに一人よがりのまったく間違った方向や無意味な“トレーニング”もないわけではありません。こういう場合は、第三者のアドバイスが必要です。

 

〇練習能力を高める

 

歌がすぐれ、表現力をもっているということは、それを支えるだけの自分の練習方法をもち、対応ができているということなのです。その能力を自分でつけていくことです。

ヴォイストレーニングのメニュも歌のテクニックも、それを参考に自分のものを作るためにあります。他人のものは本当には使えません。叩き台として使っていくことです。そのメニュのつくり方を学ぶのです。私は、ヴォイストレーニングの方法論イコールその人の歌そのものだと思っています。そうでないヴォイストレーニングなど、いずれは不要だからです。

 

○毎日できるトレーニングとは

 

若い人には、あまり他人の考えで左右されないでほしいと思います。表現を支える基盤とは、あなた自身の生き方、生きてきたことのパワーの総合力というようなところがあるのです。

特に歌は、二十歳でも、うまい人はうまいし、五十年、習っていても、へたな人はへたなのです。だからこそ実力派志向でいくなら、しっかりとしたトレーニングが求められるのです。呼吸や声のためによい習慣づけをすることが大切です。

私は、どこかで、トレーニングに徹底して集中できる二~四年間をとることを勧めています。それに前後して十年です。そうでないと、本当の意味で、感覚はともかく体は変わらないからです。

<>づくりの期間に五千時間、音楽を入れるということで、五千時間の、合計一万時間。

でも、日本のヴォーカルに関しては、それだけの時間は関係ないかもしれません。それまでに毎日行なうのは、ブレス(体)のトレーニングと、耳(感覚-音楽)のトレーニングです。

 

○声を出す時間に注意する

 

トレーニングはともかく、それ以外で、喉を無駄に疲れさせないことです。

1.トレーニングの時間を短くする。

2.一日のトレーニングを分ける。

3.一つのトレーニングが終わったらその分、休みを入れる。

トレーニングは、翌日、喉に疲れが残らない状態までがよいと判断してください。

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