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第31号 「トレーナー探し」

○ヴォイトレの効果は、組みでみる

 

私は、多くの人をみてきました。多くのトレーナーもみてきました。さらに、多くのトレーナーとトレーニングしている人を組みでみてきました。この数と質においては、日本ではトップクラスに思います。最初から、この分野は  私が一人でできるほど、生やさしいものではないという直観があったからです。

今や、こぞってコラボレーションの時代です。

私は、きっと唯一、日本では、同時期に複数のトレーナーを一人の受講生につけ、その結果を十数年以上にわたって見届けた稀有の経験をもつものでしょう。

しかも、一流の声楽家から、音大生レベルまでと、ポピュラー、加えて外国人など、研究所外でもですから、例には、ことかかないのです。(L.A.など、海外に、私のところのトレーナーはトレーニングもトレーナーもしていたので、日本人が外国人を教えることでも知りました。)

 

〇日本中のトレーナーを知る★

 

レクチャーにくる人やここの受講生は、どこで何年、何というトレーナーについて、やっていたという体験を述べてくれます。声専門の研究所ですから、私は日本中のほぼすべてのトレーナーを、会わずに知るはめとなりました。

その人たちの口上を鵜呑みにするほど愚かではありません。トレーニングやトレーナーについての批判についても、私にとっては、その人自身の考え方や方法、目的を、深く知りたいがためにすぎないからです。

私のところもいつ知れずやめたり、他のトレーナーのところにいった人もいます。どう考えるべきかは、私なりに示していますが、ここでは出るまえに私以外の十数名のトレーナーの誰かがそれを補ってくれることが多いのです。

 

○効果の客観的判断

 

私が科学(音響)や医学の機器での測定に真剣になっていったのは、声や歌に関するトレーニング効果ほど、あいまいなものはないからです。それで他の人に自分の理論、正しさを示したいというなら、それほど程度の低いことはありません。

芸術において、科学や分析は、後追いの実証しかできません。簡単にトレーニングに使えるようになるとは、思っていません。

そういう方法を使ったら、関わった音大や専門学校、教授名、海外のトレーナー名などをPRするのと同じく、受講する人の心理的に安心や信頼感を与えるでしょう。しかし、データや客観的根拠を欲している人に喜ばれる反面、その弊害もあるからです。

 

〇検証の難しさ

 

効果、成果とは、目的に対してあるのですから、効果があがったというのは、目的に近づけたり、目的がかなうことによって、実証されるのです。科学的にという人ほど、非科学的であるのは、よくあることです。

 

○トレーナーからの評判

 

どこの分野でもあることでしょうが、どれだけ手間とお金がかかるか、想像してももらえないのです。どこの援助もなく、研究活動を続けるのは大変なことなのです。

私のやり方についていろいろ言う人もいます。しかし、その多くは、私自身の直接のレッスンを一度も受けていない人たちです。

伝聞だけで、すべて判断する。こういうことは、素人には(日本ではプロの人でも)よくあります。

トレーナーなら、そこで学んだ生徒が私のところに在籍していることが多いので、そのトレーナーの特徴や教え方についての方向性や判断ポイントを知ることもできます。

私はそれについて、反論はしません。私自身が、経験したことではないし、経験したからわかるとは、思わないからです。ただ、私自身が学びに行くなら、どんなレッスンであれ、最大に自分に生かせるよう努力すると思います。きっと、学べるだけ学びとるでしょう。声はそこに行ったら、手に入れられるようなショッピングではありません。

 

〇有名トレーナーめぐり

 

さて、トレーナーをめぐりめぐってくる人がいます。

1.前のところをやめたということ

2.やめたあとに他のところを探したということ

3.最終的に私のところに来た

何かしら、こうしてここに来た人も、特徴があると思うのです。

なかには、権威筋に弱く、著名なトレーナーに順番にあたっていくタイプの人もいます。(本を読む人は、私のところにもよく来ます。それでよしあしは判断できません。私のところを選んだ時点で、ここに合った人ともいえるのですから。

 

〇医者めぐり

 

たとえば、医者へ、ここの受講生が行くと、「私のところでは何をやっているのか」と医者が不審に思うのも同じです。どこよりも多くの人数を抱えて、しかも医者の使い方を紹介しているのですから。

いつも私は、声を壊してからでなく、壊すまえに行くように、医者に行くように、と言っています。これは将来のことも含めてのことです。多くののどのよくない状態という人に勧めているので、あたりまえのことです。医者には誤解されているとは思いつつ…。最近は、優れたお医者さんと共同して研究できるようになりました。ご紹介もいただいています。いつでもいらしてくださいね。

 

〇演歌の時代から

 

20年前は、演歌の人も多かったのです。当時は、ヴォイストレーナーは作曲家の人か、クラシックの人しかいませんでした。大体、作曲家が教えていました。音楽を分かっている人があまりいなかったかです。作曲家が曲を作って歌い手に教え、デビューさせていました。演歌がほとんどそうでしたが、その流れはなくなってきました。

いったいどこに対してヴォイストレーニングをするのかという目標が、取りにくくなってきています。

 

〇情報と経験

 

ヴォイストレーナーも多くなり、ここにもいろんなトレーナーもきます。

声は、相手にもいろんな問題があって、一人の専門家だけでは対処できないものです。私も医者や声紋分析、語学音声学の学者も含めて、情報交換しています。それでさえ、どうしても分からないことがたくさん出てきます。

およそ多くのトレーナーは、自分がやったことをやればいい、自分がやれたから、他の人もできるだろうと考えます。しかし、30年近くやっていれば、実際には全くそうではないということはわかります。10年、20年見ていると、もう結果が出るわけです。プロになりたい人にとっては、歌がうまくなるとか、声がよくなることは、結果ということであれば、プロになれたかどうかに帰結するのです。

 

〇基本はハイレベルのために

 

私がここでやっていたことは、少なくても自分レベルで基本ができている人が、千人くらい出てきたら、トップにノミネートされるというハイレベルでやっていました。そこから、試行錯誤で体制を改めつつ、いつも変えてきました。

今は個人レッスンでやっていますが、歌のヴォイストレーニングの割合が半分、役者さんや声優さん、あるいは一般の人のほうが声に関して厳しく求めるようになってきたのを感じます。

 あなたがヴォーカルであるなら、ヴォーカルというのをはっきりさせていかないと、ヴォイストレーニングとの接点がつきにくいです。

 

〇トレーナーとの接点

 

トレーナーとも、接点をどうつけるかが問題です。どんなトレーナーでも、接点のつけ方さえうまく変えていけば、学べることはいろいろとあります。例えば、最初は合わないようでも続けていることで、効果を出している人もいます。

 相性の問題や好き嫌いの問題が、障害になっていることが少なくありません。

ここは10数名のトレーナー体制でやっていますから、よくわかります。

 先生が合わないので変えることもあるのですが、合わないといわれてしまう先生の方が、何人も高レベルに育てている場合もあります。結果として、先を見て判断していくのです。

 

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