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Vol.68

〇声力で人生に勝つ

 私は、これまでいろんな人を声を通してみてきました。すると、人生において、確かに声で得している人、損している人がいるのです。それも生まれつきの声ではなく、ほんの少しの声への意識の差、声に関心を払うかどうか、によるようなのです。それどころか悪声であっても、使い方しだいで、個性的かつ魅力的なものになっていることも少なくないのです。

 このように人間関係において、大切な声について、まだまだ無自覚な人が多いのは、とてももったいないことに思います。

 ビジネスの現場において、いえ、日常生活、全てにおいて、声は、人間関係を形成する上でのとても大きな要素です。なのに、あまりにも無関心に放置されているのではないでしょうか。

 

〇イメージからヴォイトレへ

 

 魅力的な声とはどんな声なのか、それを手に入れるためにはどうすればよいのかを考えてみましょう。

 そして、理想の声を目指し、トレーニングをしてください。そのために、まずは声について意識することです。それだけでも自分自身の声の魅力のかなりの部分を引き出せるのです。

 

 次のことを考えてみましょう。

1.ビジネスの現場、日常の生活など、実際のシチュエーションにおいては、話し方や、その内容よりも、声そのものが重要ということ。

2.自分にとって使える声、人を引き込む、ひいては成功をつかむ声の力とはどのようなものかということ。

3.今の自分の声をどう意識すればよいのか、欠点を知り、自分にとって理想となる声とその使い方を知るために、どうすればよいのかということ。

 自分の目指すべき声をイメージし、それに近づいていくための実際的なトレーニングとメンタルな部分での心構えをつくりましょう。

 

○声で人生が変わる

 

 声を変えて、人生が変わったという人は、案外とたくさんいると思います。しかし、まわりの人も自分自身もそのことには、あまり気づいていないものです。

 たとえば、話し方が変わっても、人は自信がついたとか慣れてきたという言葉で表わします。確かに、慣れて自信がついたから、態度、話し方、声も変わるといえるのかもしれません。しかし、私がみていると、声が力強く出るようになることで、能力が備わっていくという方が確かなのです。

髪型やファッションが変わるだけでも、その人のイメージは大きく変わります。まして、人の心に直接、働きかける声ならば、その影響は決して少なくはありません。

 男の子は声が太くなることで、成長への戸惑いを覚えつつも、大人になっていくことを突きつけられます。子供の声から抜けていくプロセスは、大人の条件を備える期間なのです。

 しっかりとした声を使うことで、商品を売りやすくなって業績が上がったというセールスマンもいました。声を張ることで、教室の生徒に声がよく聞こえるようになり、授業に集中させられるようになったという先生もいました。

 このように、仕事や日常生活における声の影響力は決して小さいものではありません。

 

○声の使い分け

 

 年齢、職業、コミュニケーションの目的によって、有利な声、不利な声というのは、確かにあります。それを知り、自分をどうみせたいかを考えてみましょう。それは、声をどのようにすればよいのかというヒントにもなります。

 もちろん、このことはすでに私たちが無意識のうちにも、やっていることです。誰でも、やりたいことを説得するときの声と、嫌なことをやらなくてはいけないときの声は、違うでしょう。人にお願いするとき、謝るとき、感謝するとき、怒ったり叱るときと、異なる声を使い分けているわけです。

 その声のかけ方一つで、相手のあなたを受け入れる感情は、大きく変わります。その感じで好かれたり信頼されたりするのです。ですから、声力こそ、成功の素といってもよいでしょう。

 声の使い方一つで、コミュニケーションのうまい人とそうでない人の大きな差が生じるのは、言うまでもありません。

 

○自分をアピールする声を演出しよう

 

 心の中では謝っているのに、声がぶっきらぼうにきこえるために誠意が伝わらないこともあります。確かに気持ちは声に出るものですが、人によっては、あるいはそのときの状況によっては、必ずしもうまく出るものではありません。

 しかし、本当の気持ちの多少に関わらず、表情や声など外に表出されたものをみて、相手はあなたの心を判断するのです。同じくらいの気持ちでも、それを声でうまく伝えられる人とそうでない人の将来が全く異なるとしても、不思議なことではありません。

 二人の女の子が同じものをもらい、同じくらいに感謝して、「ありがとう」と言ったとしましょう。それなのに一人は喜びの表情も声も生き生きと出るのに、もう一人の子はうまく出なかったとしたら、相手は、後者の子はありがたく思っていないと思い、二度と施してくれないかもしれません。

 とても具合の悪いときに、一人は死にそうな声、もう一人はいつもと変わらない声なら…、後者は治療を後回しにされて死んでしまうかもしれません。

 どう伝えたいかということを踏まえた上で、それに見合った声でアピールする、それが声による自己演出なのです。

 

○魅力的な声づくり

 

 自分自身の魅力的な声を知り、磨いていくためには、次の3つのステップが必要です。

1.今の自分の声の自然な状態を知ること。

2.次に、声やトレーニングの基本知識を得ること。

3.そして実際のトレーニングをするのです。

 そのために、声を改善するヒントを充分に生かしてください。

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