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第45号「トレーナーをすることのデメリット」

 

○ヴォーカルの副業としてのトレーナー

 

 

 

 ヴォイストレーナーの仕事は、誤解を恐れずにいうと、音楽の仕事ではないのです。研究所のようにプロやそれなりにできるレベル以上の人が集まっているなら別ですが、それは特別のケースです。自分に上の人とやるなら、教えることは、自分の勉強になります。

 

 プロと接することの機会は、ふつうのトレーナーにはないでしょう。駆け出しのヴォーカルがトレーナーをするなら、初心者相手にしかありません。スクールも同じです。

 

 多くの生徒は、12年で交代していきます。スクールのトレーナーをやるのは、テレフォンアポインターとあまり変わらないところもあります。

 

 若いうちは、喉はタフではありませんから、自分の喉によくありません。

 

 世の中に出るのには、最高の喉の状態をキープできることが必要です。“ひどい声”を聞いて、それを直す、音程やリズムのはずれたのを聞き続ける、これはかなりの負担にならないはずがありません。生徒のコンサートやレコーディングまで関わると、かなりの負担になります。もっと自分のことで、すべきことがあるはずです。自分の客やスタッフとして、生徒を頼ることになるパターンが多いです。

 

 こういう人は、とても面倒見のよい人です。それゆえにアーティストではありません。一流のプレーヤーは引退後、一流の弟子を育てることもありますが、ヴォーカルに関してはあまり当てはまりません。

 

 自分の世界を創り上げてから教える方にまわるか、きっぱり断ち切って自分の活動に専念することです。生徒が先生くらいにはなれると勘違いするのもどうかといったところです。

 

 

 

○スクールのステージ

 

 

 

 トレーナー業を食べるために自由で割りのよい職と考える人は少なくありません。先生ともなると、生徒は自分のライブの安定した客にもなります。音大ならともかく、ふつうはやめさせないためにおのずと指導に甘い先生になります。ステージという環境もベースもない生徒に、そういう場を与えることで、生徒の自立を妨げかねません。 生徒に「がんばったらやれる」と励ましながら、客観的には、「これでやれっこない」というようなレベルにしてしまいます。

 

 トレーナーは、本人が精一杯やることで教えることです。時期がきたら、追い出してでも、独り立ちさせることも大切です。

 

 スクールでライブをやっても、客は、身内であって、純粋な客ではありません。表現を徹底させるのは、厳しいものです。

 

サークル活動、カルチャーセンターでの歌謡教室の役割なら、それでかまいません。他の本業のある人が、趣味で歌をどう楽しもうと自由です。

 

 トレーナーが作曲家やプロデュースもやるなら、ステージも実践の場として与えられます。ただ、生徒を同じ舞台にあげ、完成度を下げるのは、結局は続かない原因となります。

 

 ヴォーカルはオンリー1で、かつナンバー1でなくては続きません。役者のように、オンリー1だけでは、場がなくなるのです。スクール内イベントであるのに満足する人は、そこが合っているからよいのです。そこでやっていけば将来が開かれていくと勘違いしてしまう人がいるので困るのです。

 

 

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