第46号 「しぜんな声と言語音声力」
○しぜんなままの天然声
しぜんなままの声を天然声と私は述べています。素の声がよいときは、そのまま歌わせてあまり”本格的な発声”に変えないようにすることもあります。
ポップスとクラシックの差というよりも、個性やステージで求められるものの違いです。ですから、プロを教えるトレーナーは、発声だけでなく求められる歌唱や表現についてよく学んでいなくてはなりません。
20代くらいまでの軽く透明で伸びやかな声は、そのまま活かします。一方で、今後のために、体づくりや呼吸法を行います。素の声、天然声のままで、20代で通じる人は、100分の1、そのまま30代でも通じる人は、そのまた100分の1もいないからです。
トレーナーには、そのレベルになれなかった人が、そのレベルになれない人を教えているケースが多いのです。J-POPSの歌手をまねさせて、本人も生徒もカラオケのレベルから出ません。それではサラリーマンやOLのカラオケ上級者にもかなわないでしょう。
欧米も、天然声のヴォーカルは、多数います。日常レベルで声がはるかにしっかりとできて、鍛えられているので、歌唱のレベルも高く、コントロール力もついてくるのです。
○日常の言語音声力
私が、最大の問題としてきたのは、日常での言語音声力の強化です。それは歌とかせりふとかいうまえに、「アー」と一言発した声の力の差です。
そのギャップを埋めるには、
1.声そのものの発声力を高める(発声器官の調整、強化)
2.共鳴の調整、強化(発声・歌唱の調整)
が必要です。
2は胸部共鳴と頭部共鳴に分けて考えてもよいでしょう。
腹からの声は、日本人にもありますが、胸で芯をつかんだ声、頭で焦点を放った声(ひびき)が少ないのです。日本人にもいないわけではないのですが、高音域が求められる歌い手には、とても少ないのです。さらに近年、減っていっています。
ニューミュージック系とシャウト系で、日本では圧倒的に前者、ロックでさえ、歌謡曲っぽいやわらかい声になりがちです。それは、日本語と日本人で日本で生活していることに深い関わりがあります。
日本人は、頭部の鼻腔、共鳴があたかも発声法のように、教えられてきました。教える人※もそれをまねして使っています。強い息やシャウトは、のど声、地声として、排除されています。少なくともトレーナーには、好まれません。
頭部共鳴だけを教えることのポイントにすると、目的が絞られるので、楽でもあるのです。日本の合唱団の指導によくみられます。確かに、一理あるし、私も相手や目的によっては、似た方向をとります。とはいえ、すべてのケースにあてはまるのではありません。
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