第50号 「プロになるのが目的なら」
○プロを定義する
プロになるには、自分のめざすプロというのを定義しなくてはいけません。歌い手、ヴォーカルというのは、もはやエッセイストと同じくらい、誰もが使える肩書きです。リズムネタや歌を使うお笑い芸人の歌唱力も、場合によっては、今のプロ歌手を超えているでしょう。彼らが提供しているスタイルこそ、オリジナリティです。でもヴォーカリストとはいわれません。芸人、タレントですが。アーティストとは、独自のスタイルをつくる人のことですから、それに含まれると思うのです。
CDを出して売っているのはプロのヴォーカル、売れたらプロというなら、マツケンサンバの松平健さんも、プロヴォーカルです。声優も役者もタレントは言わずもがな、スポーツ選手やアナウンサーでもCDは出しています。
あなたにとってのプロって何かということからスタートしましょう。
〇プロのための、と、プロになるため、の違い
1.プロはプロに認められなくてはいけない
2.アマチュアのなかでやれることと、プロとは問われるものが違う
3.プロになっても続く人は、ほんの少ししかない、続いてこそプロ。
まずは、このことを知ってください。
アマチュアとして楽しく上達するのとの違い
1.プロの作品は、結果としてお客が満足するものである
2.プロのステージは、結果としてお客がすっきりするものである
3.プロは、お客の期待以上のものを出すものである
これらの力を養うためにトレーニングがあるのです。
○デモテープづくり
デモテープにお金をかけることなど、考えなくてかまいません。何十万円以上かけても、プロデューサーは評価しません。その心意気くらい見てもらえるかもしれませんが、プロデューサーは、作品の完成度でなく、可能性でみるのです。
早々にまとめよう、完成させようとしているのは、方向違いです。
私がもらうものには、高度に加工してまったく声の判断がつかないものも少なくありません。
それは、プロのスタッフの力です。バンドならともかくソロなら不要です。かえってあなたの魅力や個性が出てこなくなります。あなたの声のアピール力と声が何を伝えるかを問うてください。
○プロになるのに必要なことは
メジャーデビューを目指すなら、有能なプロデューサー次第でしょう。自分のスタイル、バンドなのかソロなのかでも違います。「デビューしたらプロ」と考えるのもどうでしょうか。
それで食べているというのと、食べていけたらというのもかなり違います。今やヴォーカルは、職としては成り立たなくなりつつあるのです。
すぐれたプロデューサーが、人をみるときは、ヴォイストレーニングの成果など折り込み済です。1、2年、ヴォイストレーニングをやって、そこで奇跡が起こることはありえません。
主に行われているのは、ピッチが安定しないことへの、ピッチトレーニングと無理な高音トレーニングです。急に腹式呼吸などやっても、かえって歌がくずれるだけです。歌とトレーニングの関係をきちんとふまえないからです。
○ヴォイトレが必要なとき
俳優、声優、アナウンサーなどになるには、養成所、事務所があります。ヴォーカルもありますが、今は歌手ではつぶしがきかないため、タレント、役者に転向させられた人も少なくありません。役者はエキストラや誰もが替われるちょい役でなら、どんな舞台でも出られる可能性が高いのですが、ヴォーカルには脇役はありません。
プロというなら、所属するか、自分でプロデュースするかです。
ストリートでライブやって、CD一枚千円、これを10枚売って日給1万円、といえ、プロでも手取り月収30万円は、簡単にとれないのです。
ヴォーカルにはプロデューサー、俳優には演出家、映画監督、ドラマ、CMのプロデューサーなどとの仕事が生じます。多くの人は、そういう人に認められるために、ヴォイストレーニングにきます。本当は認められた人こそ、ヴォイストレーニングを必要としているというのが、ここにいるととてもよくわかります。
○ヴォイトレによる効能
1.健康になる
心身が弱いなら、声を出すための体と呼吸づくりからです。
2.積極的になる
性格が弱いなら、テンションを最大に保てるようにすることです。
3.リラックスできる
緊張するなら、心身を解放できるようにすることです。
« No.331 | トップページ | 第51号 「成果の実証」 »
「1.ヴォイストレーナーの選び方」カテゴリの記事
- ブログ移動のお知らせ(2023.07.01)
- 「歌の判断について」(2021.10.30)
- 「声道」(2021.10.20)
- 「メニュ」(2021.10.10)
- 「感覚について」(2021.09.30)