« 「しぜんと宇宙」 No.333 | トップページ | 第58号 「プロフェッショナルについて」 »

第 57号 「創造のためのレッスン」

○習得することと創ること

 

 世の中、いろんなレッスンがあっても、習得するのに楽なところを選びがちです。

 先生が手とり足とり教えてくれる。誰もが誰もと同じところまで一緒に確実にいく。それが教わることだと、日本人は思っています。

 私は「レッスンで習得して、自分で創る」というので満足しないで欲しいと思います。習得の教材は、本もCDもあふれんばかりにあるのですから。

 「レッスンで創る、自分で習得する」、それがレッスンとトレーニングとの関係でありたいと思っています。

 

 習得には目的が必要です。それは高い方がよいでしょう。そのために気づきを与えているのが、レッスンです。習得は、1ヵ月に何回かのレッスンできるものではありません。欠かさず、トレーニングする。自分の時間を使い、芸を血肉にして身につけていくのです。

 

○世に問う

 

音楽や歌は、実力のないタレントでも、人を集めたり稼いだりするツールとして、安易に使われてきました。健康のためや友だちづくりのため、コミュニケーションの媒体として、使うのが楽、加工しやすくごまかしやすいからです。音楽に親しむ人がこうした効用を求めるのはよいことです。しかし、創るのと使うのは、売るのと買うのほど違うのです。

 

 創ろうとすると、何が足らないのか、何がそのために必要なのかがわかってきます。それによって、習得できるのです。創造という出口のないところでの習得は、自己満足、自己本位、自己陶酔になりかねません。世に出るかどうかは、結果でも、目的は先に外、後に内にもつ方がよいと思います。

 自分のレベルを聞く人も増えました。簡単です。他の人に受け入れられないのは、まだそのレベルなのです。

 そういうと、人に受け入れられようと、逆の努力をする人もふえました。しかし、客が受け入れられるだけのものを示すことが、先です。

 

○表現の創造

 

 表現の創造の厳しさを知ってか知らずか、多くの日本人は目をそらし、習得に満足する方向にいきます。

 音楽は楽しいもの、楽しむもの、確かにそうです。それゆえ、私も関わり続けています。

 しかし、同時に厳しいものです。表現が、その名に足るとしたら、我が身を粉にして練り上げるからです。創造とは、渾身の力を振り絞ってやるから、人の心を打つのです。習得したら創れるのではなく、創るのに習得が必要となるのです。

 

○創造のためのレッスンのためのことば

 

「あなたはどうして、そう弾きたいの ことばで語ってごらん」

(アイザック・スターリンのレッスンより 諏訪内晶子さん)

「日本の音楽家は、『先生の言われた通り』としか答えない。

「なぜそう弾くか、ことばで説明できる人は少ない。聴衆も情緒的で語ることができない」(三枝成彰さん)

「一流であるには、強者に対して、妬みでなく尊敬で接することが大切だ」(野村克也監督)

 

 

« 「しぜんと宇宙」 No.333 | トップページ | 第58号 「プロフェッショナルについて」 »

1.ヴォイストレーナーの選び方」カテゴリの記事

ブレスヴォイストレーニング研究所ホームページ

ブレスヴォイストレーニング研究所 レッスン受講資料請求

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

発声と音声表現のQ&A

ヴォイトレレッスンの日々

2.ヴォイトレの論点