第64号 「戦略をくむ」
○繰り返しとくみたて
繰り返し戦うための武器は、いろいろとあります。しかし、それらを全てつけて武装したら、負けるでしょう。
まずは、自由自在に使える一つの武器を、きちんと習得することです。自分には、どんな武器があるのか、どんな武器が向いているのか、これを探るためにいろんな武器を手にとるのはよいのです。しかし、全てを身につけようとして、中途半端になるのはよくないです。
即興的に、応用していることで気をつけなくてはいけないのは、自らを客観視することです。反省して、どうすればよかったのかを考えることです。それをアテンダンスシート(研究所の「レッスン後の提出レポート」)に書いて出します。目的はこちらにあるのです。
準備、本番、反省と、3つの勝負があると思います。レッスンでも同じです。
自分のやろうと思ったこと(イメージ)と、やったことを比べること、そのイメージ自体の上をイメージしていくこと。この繰り返しによって少しずつ、自らを向上させていけるのです。
○トレーナーに就くということ
トレーナーが言ったからでなく、自分がどう感じたかがあり、そこからトレーナーのいったことを考えたり、感じていくのです。トレーナーのいったことが今できないのなら、今、やろうとしないでよいのです。それができていく方向へセッティングしていくということです。
自分で決めつけると、大体は今の自分のあいまい、いい加減な感覚と使い方に甘んずることとなります。
だから、人に就くのです。集中力、体力、テンションなどをその場で高めることで、一瞬でも深く感じられるように、感じ方を変えられるようにするのです。
習っていなくてもうまい人は、大して鍛えなくとも、このあたりのレベルまではこなせているのです。その先へいくには、より厳しく、自由にしていくトレーニングがいるのです。
○「うまい」の先にいく
しぜんにうまい人の弱点は、他人に合わせるのが器用で、そこで認められ、自分のものに戻らず、素通りしてしまうことです。こういう人は、アーティストの感覚をもち、いかに自らが鈍いかを自覚しない限り、そこからの飛躍は絶望的です。歌のうまい人も大体、ここまででとどまります。教えるのがうまいといわれるトレーナーは、ものまねが器用で、レパートリー多数でとどまります。
トレーナーやまわりの人の意見をすべて聞いてしまう人は、その克服が課題です。本人が自覚した上で、まさに自分自身で、接点を強くつけていきましょう。そうしないと、その人らしさは表われません。
そこにいるだけよいという人は、社会ではよい人かもしれませんが、いろんな制限のある舞台では、いらないのです。その人の性格だけでなく、日頃の生き方からも、出てくるのです。
« 第63号 「求めるもの」 | トップページ | 第65号 「学びの材料」 »
「1.ヴォイストレーナーの選び方」カテゴリの記事
- ブログ移動のお知らせ(2023.07.01)
- 「歌の判断について」(2021.10.30)
- 「声道」(2021.10.20)
- 「メニュ」(2021.10.10)
- 「感覚について」(2021.09.30)