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第62号 「本当に大切な問題」

○足らないものより、優れたものに目を向ける

 

 足らないものを補うためにトレーニングをするのは、悪いことではありません。しかし、声、せりふ、歌に関しては、それは補強にすぎません。本当の目的は、自らのオリジナルな可能性の方を伸ばすことです。

・高い声が出ない

・音程が悪いといわれた

・声量がない

 これらは具体的な問題ですが、メインの目的ではありません。メインとする力を伸ばす中で、解決できてくればよいという副次的な目的です。すぐに解決できなくとも、大して問題ではないのです。

 ですから、一時、横において、まずは、しっかりと一つの声が出せるようにトレーニングしましょう。

 本番で力を発揮するには、集中力が足らない、コントロールがいい加減などという方が、もっと大きな問題です。表現力から考えていくのと、そうなります。

 

○真の目的をセッティングする

 

 プロをみてください。そういう方向を目指すなら、彼らは、何の力で成り立っているかをみることです。発声ですか、声域、声量ですか。そうでない人も多いですね。でも、その人でなければもっていない何かがありますね。自分でなければない魅力をつけるのに、他人と同じようになっていこうとするのはおかしなことでしょう。

 自分の可能性を伸ばして、最大の力が出るようにしていくトレーニング、そこからオリジナリティの魅力で、人をひきつけられるようになることこそが真の目的でしょう。これは副次的な目的とは、深さの度合いが違います。

 応用してこそ、基本の足りなさがわかります。そのギャップを埋めるために学ぶのです。ギャップは、副次的な目的と違うところにあることが大半です。副次的とは他人と比べてのこと、メインは、自分自身のことです。どういう問題に関しても、より優れた人に比べたら、劣ってみえるのはあたりまえです。そこでふんばるのです。

 

○しぜん、未熟を維持する

 

 あなたは、世界一、声域のある人、声量のある人、音程のよい人になりたいわけではないでしょう。自分自身のもって生まれたもの、育ちで得られたもの、思考や性格もふまえて、オリジナリティを確立させていきたくはありませんか。高いレベルでは、他人はそれしかあなたに求めません。

 そのためには、しぜんに応用してみることから入るのが一番です。それは、今のあなたそのものですから、未熟なものかもしれません。しかし、あなたが誰かのものまねをするより、まだ評価できないレベルなのです。だからこそ、学んでいけるのです。

 未知の本質的な目的に対して、学んでいくスタンスをとっている人は、あまりに少ないのです。トレーナーも同じで、プロや自分に似させようとする人が大半です。気をつけなくてはならないことです。

 

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