第63号 「求めるもの」
○正解を求めない
トレーナーも、先生も、あまりにも一つの正解に合わせて、他人をみてしまっていませんか。そこでうまくいく人は、そこからスタートもよいでしょう。先天的に器用ですぐにこなせてしまう人は、そういうトレーナーにつくのも一つの方法です。
しかし、そうでない多くの人は、そういうトレーナーの元へいくと、伸びないどころかもっと悪くなることも多いのです。そして、自分はなぜできないのだろうとばかり思い、悩みます。
トレーナーも自分のレベルが高いと、「なぜいつまでもできないのか」と、わからないのです。自分の指導のせいだとは考えられないのです。
もっともよい解決策は、他のトレーナーをつけて比べることです。そういうことができるトレーナーを私は、私以外には知りません。
〇優先と重要度☆
応用することで、完璧にできたことにはならないです。このことがわかっていたら、自らの弱点に気づきます。しかし、それはすぐ解決しないことです。長所、強みが出るまで放っておいてもかまいません。
なのに、多くのヴォイトレは弱点の克服だけに専念させてしまうのです。
本人もトレーナーも、それが問題だと思っているからです。わかりやすい問題には違いありませんが、トレーニングでは重要な問題、最優先すべき問題ではありません。
その先をみていないからです。アートということで考えるなら、トレーナーにつくことで目先の目的に専念して、もっとも大きな可能性を自ら奪ってしまうことだと気づかないのです。
しかし、そういう判断も本人の実力の一つです。間に合わせで、先にいってしまう人が、多いことに私は驚くのです。トレーナーも含めてのことです。
○トレーナーに求めるべきこと
ギャップを正しく知るためにはどうすればよいでしょうか。自らの力が、可能性をもって伸びるために、何を材料にすればよいでしょうか。その選択こそがトレーナーに求められるのです。つまり、ステージや作品から、本質的なものを学ぶ力をつけられるように学ぶことが、基本の力をつけるには、大切なことなのです。
発声のテクニックや歌唱技法などは、一流の作品から、本人が啓発される力に比べたら、表面的なものに過ぎません。内的な変化は、外から与えるだけで、変わるものではありません。誰かの声、歌、せりふ、発言、マニュアルと、何であれ、ストックして、内側から身についてくるのを待つしかありません。そうして少しずつ、自分の軸が定まってくるのです。
自分と似た声質のトレーナーやヴォーカリストは、それに近づけていくためにはわかりやすい見本です。早くうまくなっていくには、利用できますが、自分の軸はできていきません。他人の軸である限り、いつもあちこちでブレます。器用すぎる人と若いトレーナーに多い特徴です。
声に対して、自らがどの地点にいるのかは、わかるものではありません。それを学ぶためには、声楽などを一時、使うのです。それがわかりやすい方法だからです
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