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第66号 「改善より変革のために」

どんな人からも学べます。まして、自分よりもやっている人なら、学べることはたくさんあります。研究所からも他の人の十倍、百倍盗っていった人もいれば、ほとんど盗れなかった人もいるかもしれません。

 多くのものを盗れる可能性のあるトレーナーやマニュアルほど、盗れる人は限られています。盗ろうとしないととらないで終わるものだからです。

 一方、やさしく丁寧に教えてくれるトレーナーやマニュアルは、できる人の半分の半分くらいの力に早く、同じようになれますが、それゆえ、そこで頭打ちとなるものです。アーティストの育成は前者、学校教育は、おちこぼれをなくすためもあり後者と考えてもよいでしょう。

 学ぶというイメージが、学校の延長にある多くの日本人には、前者のようなところで学ぶことが難しいように思えます。日本では、先生が教えるとおりにやらないと認められませんが、向こうへ行くと、「あなたの思うようにやってごらん」といわれます。そこで多くの日本人は、面くらうとはよく聞く話です。

 アートは、自由なものなのに、自ら不自由になりたがる人たちの気がしれません。そういう人は自分たち以外の才能を認められなくなるのです。このあたりは、受けてきた教育の問題も大きいですね。

 

○考えるよりも味わう

 

 楽譜を大切にするのはよいのですが、もっと大切なのがみえないのは、困ります。私が、サンプルとして聞かせると、「曲名、歌詞、楽譜、アーティスト名を教えてください」といわれます。それを知ること、覚えることが基本だと、思っているのですね。そのまえにきちんと全身全霊で聴くことに集中することです。効率を求めることで、その場をおろそかにしないようにしましょう。

 本当の基本はもっと基本としてみえないところにあるのです。そういうふうにしか学んでいないからこそ、そうでない学び方をして欲しいのです。何を言っているのかわからないような声、ことばのない声からもっと大切なことを学んで欲しいから、私はできるだけ何も言わないのです。

 

○インプロ

 

 以前、黒人トレーナーとワークショップを行なったことがあります。そのとき、彼は、インプロの即興劇から入りました。勉強して、歌いこなすためにステージに立つという日本では、インプロの大切さは、気づきにくいということなのでしょう。今はプロでも、カラオケを歌う人と同じように、歌をこなすだけになってきました。

 いつでも、そのまねをするのではなく、そこに自らのものを入れて返すことです。

 

○会話のレスポンス

 

 会話を考えてみましょう。ずっとうなずいているだけの相手とは、よい関係は続きません。同じことが繰り返されると心地よくなっても飽きてきます。ですから、その前に「展開(転回)する」のです。しかし、繰り返しが短すぎたり、少なすぎると、基調がつかめず、展開部の意味が強まらず、あいまいになります。リピートと変化のバランスをよく感じてみてください。もっと深くリアリティをつかんでおくことです。

 

○自分を省みる☆

 

 理解できない、考えられない、感じられないと不満を抱く人がいます。自分の偏狭な考え方を認めず、他人と交わるのは、自分の存在をも揺るがせかねないという人がいます。ありのままの自分を認められない人には、不快かつ、我慢できないこともあるでしょう。偏狭かどうかも誰がどう決めるのか、ということでしょう。

 結論からいうと、もっとすぐれたレベルになった自分(そうではないから、そこからくる直感)から判断せざるをえないのです。要は、イマジネーションなのです。そこにトレーナーのレッスンをセットする必要があるのです。

 具体的手腕をトレーナーに問いたいのはわかります。しかし、本当は自分の可能性へのアプローチを示してもらうのが、もっともレベルの高いトレーナーの使い方です。

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