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「声を聴くこと」 No.337

 声に限りませんが、感じ、フィーリングというのは、言葉にしにくいから、説明や教えることから抜けてしまいがちです。それだけでは好き嫌いなどの主観と分けられないので、“一般的に”学ぶことにつながりにくいです。

そうしたものの分析や論理的な把握には、経験の積み重ねや教養がいります。ここで教養というのは、学校で学ぶようなことではありません。アーティストでも一流になった人のもつ、聴いた経験量と聴き方と自分自身の創造の蓄積のようなことです。ですから、“個別に”“はまって”吸収していく潜在期のディープさが問われます。

 

創造することをシンプルにいうと、閃くことと、そのあとに詰めるという作業がいります。左脳を使います。 歌であったら音色を耳で聞いて入力し、声で出力しているのです。ただし、日本において歌の声に関しては、相当に甘く未熟と思わざるをえません。

 音楽は、音でなく、音の構造です。語法も語感もあり、言語にも近いです。音楽が、必ずしも、すぐにわかるものではないのは、最初からジャズやクラシックが本当に好きな人がさほどいるわけではないことでもわかります。

歌に限っていうと、声のスキャットでなく、ほとんどの歌に詞があるわけです。詞が意味内容を具体的に伝えられる反面、音楽的には、ほどよいノイズとなります。

オペラは、音と声で、演奏として楽しめます。それゆえ、国を超えます。しかし、せりふで展開する演劇では、特殊なケースでしか外国人には通じにくいでしょう。ミュージカルなら、筋が少しわかっていたら、わからない外国語でも見ることができます。

そもそも音楽と踊りは、国を超えて感動できるもの、何よりも原初的なものです。サウンドやヴィジュアル、パフォーマンスの比率が高いものほど、そうなります。

ところが、どうも声のなかの音楽と踊りの要素が徹底して欠けてきているようで、この先、心配です。日本人の声はメールで打てるようなことしか伝えられない声ばかりになってきたように感じるからです。

どう学ぶのかを学ぶのに、ここを利用していただけたら、ありがたいです。

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