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第78号「時間とトレーナー」

○時間がかかる

 

 ここでは、複数のトレーナーにつくので、いろいろと迷うこともでてきます。しかしそのために自分の声についても早くわかるのです。

 代替や継続のためにも、あなたのことがわかるトレーナーは、何人かいた方がよいと思います。プロセスがわかるトレーナーということです。

 状態(声の状態)だけでみないで、条件でみることが、重要なことです。そのために長くみることが必要です。

 トレーナーにとっても、他のトレーナーがつくと、自分勝手にやりにくくなるところもありますが、それもお互いによいことです。めんどうだから、考えなくてはならなくなるから、です。

 

○判断留保

 

 トレーナーも一人で教えると、自信過剰になりがちです。信用のないうちは、トレーナーとしての実力を認めさせるために尽力するからです。そのため、断定的な口調で白黒、正誤をはっきりさせすぎるきらいがあります。

 初心者や素人にはそういうトレーナーの方が自信があり、信用をおけるようにみえるからです。トレーナーである限り、相手を前にして迷ったり、悩んだりしにくいでしょう。

 しかし、私は、正直にどういうところで判断つかないのかも述べています。話をそらしたり知識をひけらかすよりも、問題として共有します。お互いにその人が判断力をつけていくプロセスを歩めるからです。

 

○タイプと期間

 

 トレーナーとしては、自ら声を習得していることが望ましいです。声ですから、聞いたらわかるわけです。経歴もプロフィールも不要です。高齢のためや医者のような補助的なサポーターなど、例外もあります。楽器のようにモノ対象の扱い方ではないために、自分が優れた音色で演奏ができれば、すぐに他人も教えられるわけではありません。

ベテランの歌手は、ヴォイストレーナーの条件の一つは満たしていますが、歌唱のアドバイザーという方がよいでしょう。恵まれたのどや声をもつ人は歌手や役者になればよいのです。トレーナーとしては、そうでない人を多く相手にしなくてはいけないのです。恵まれてなかったのにトレーニングで声を克服したり、鍛えて変えたという人のほうが理想かもしれません。

 

○フィードバックの経験

 

 トレーナーは、いろんなタイプの他の人を教えて、結果をフィードバックする経験をつんでいることです。

 他の人を教えても、教えっぱなしではなりません。

 一人ひとりののどが違う点で、多くの人といっても、多くのタイプの人(年齢、人種、性別、期間、目的、レベル)を教えているキャリアが望ましいでしょう。しかも一人ずつ、できるだけ長くみている経験を求めたいです。経験をつんで、そこから多くのことを学び、新たに応用できるスキルに落とし込んでいるということです。

 

○無力を補う

 

 私はしっかりした声や大きな声が出なかったので、トレーニングで声を獲得してきました。10代からそれを計画し、体作りから取り組み、すごくトレーニングをしました。そして、20代で仕上げていきました。そういった点で、自分のようではないタイプの人に対しては、他の人に学ぶことが大きかったです。

 トレーナーはしばし、自分に与えられている条件をもっていない人に対し、無力なことがあります。とくに才能に優れた先生や声楽家タイプには、素人や初心者にうまく伝えられない人もいます。しかし、そういう天性のあるトレーナーでないと今度は高い目的地へのイマジネーションを与えられないこともあります。

 プロや一流の人を教えていないトレーナーは、初心者に優しく、ていねいということで受けがよいのですが、真の目的に歩ませず、結果として自分以下のレベルしか育たないレッスンになりがちです。しかし、自分のレベルに合わせて師、先生、スクールを選ぶのですから、それはそういう人にはよいともいえます。もし、足らなければ次を求めるようになるのでしたら。人を選ぶのもまた本人の実力、才能です。

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