Vol.97
〇いい声の相性
声には、なぜか好きになれない声もあります。それは嫌な思いとともに、聞いた声などです。
よくも悪くも、特徴のある声は、要マークです。もちろん好きな人、好きなタレントの声などなら、個性的なほど、好きになるものです。
落ち着いた声、リラックスできる声は、声そのものが深いこと、それとともに、声の使い方、テンポ、トーン、声をかけるタイミングなどのよさがあります。
〇声で伝える
「好きと言った方が負け」、日本では、まだそんな感じですが、最初にそう言ったからといって、どうなのでしょう。思いも、時とともに変わるのです。今がそうでなくとも、その気持ちがあり、可能性があるのなら待ちましょう。とうてい無理なら、離れることです。
「裏切り」などと、自分のいたらなさを棚にあげてはよくありません。相手に左右されるから、いけないのです。
好きなら「好き」と言い、だからといって相手の思うようになるわけではないし、ずっとそうだというわけでもないでしょう。言葉でいうのは難しいなら、声を使って伝えたらよいのです。
〇相手の声もよくしよう
声は、あなたが育てるということもできます。あなたが自分の声を通じて、相手の声をよくしていくのです。
「その声が好き」「そういう声をかけてくれると安心する」「声を聞かせてね」、相手はうるさいなどと思いません。嬉しくなって、さらによくすることでしょう。
〇声の掛け合い
恋愛ごっこでよいのです。映画のシーンのように、声を毎日かけあい、確かめ合う、それだけでよいのです。
「おはよう」、「元気?」、「体調は?」、「食べたあ?」、「大変だったわね」、「お帰りなさい」、「明日もがんばってね」、「会えて嬉しかった」。
たいそうなことを言い出すまえに、こういう普段の言葉での声を大切にしましょう。その心がけが続く限り、安泰です。あなたも声もよくなっていくでしょう。相手もそれに答えてくれるでしょう。
〇声の力で解決する
声がやっかいでもあるのは、声だけで声が決まるわけではないからです。たとえば、悪声や悪い声の使い方であっても、TPOによっては、とても効果的なこともあります。
カップルで歩いていて、絡まれたとします。毅然として、ど太い声で、怒った上に、相手をぶちのめしてしまったらやりすぎでしょう。逃げるが勝ち、いや戦わずして勝つ方が数段上です。
声の力で解決できるのが理想です。言葉にならなくとも、声で出てくるのが本当の力です。
〇生活力
遊び相手としては楽しい人でも、パートナーとして生活を一緒にするとなれば、踏みとどまりませんか。
いくらぞっこんでも、働かない人はどうでしょう。相手を幸せにしたいなら、豊かになりたいと思うのが、しぜんです。
こういうときは、よほどのドラマが起きなければ、大半は自然消滅してしまいます。
〇気のある声、気のない声
恋は盲目、恋は手探りのうちに始まり、声のニュアンスを頼りに探り合い、やがて求め合うようなものです。人は、強い気のある声の方に引き寄せられるのです。
別れるときは、気のない声が、現実を顧みさせ、ハートを冷やしていきます。そう、ピークへ至ったプロセスの逆です。もちろん、タイプによっても異なります。
気のない返事が続くと、続けることが難しくなります。優しくて鈍い人もいますから、反応が変わらなければ、教えなくてはいけません。
たとえば、他の人には気のある返事をして、離れたい人だけ、どうでもよい声にするのです。とはいえ、あなたのちょっとした変化にすぐ気づくことのできる人なら、ダメな人でない可能性大です。
〇声終わる関係
一歩外に出ると、街角で声をかけられて、あなたの声の変化にまったく気づかない人、気のない声を出していて、ダメさ加減であなたの上をいく人なら離れましょう。
いつも強くガミガミ言うのも、タイプによっては有効です。これ以上一緒にいても、楽しくないと声でアピールするのです。
何といっても、声でやりとりしているのは、まだ何か行き交うものがあるのです。究極の拒絶は、無言、無声状態です。それは“離れた”ということです。
〇声で反応しない
ことばたくみに近寄ってくる悪徳商法、新興宗教、マルチまがい商法と、大変だったことがありませんか。家にいてもセールス、押し売り、そういう人に、意に反して高い買い物をさせられたことはありませんか。
自己防衛のための声はあるのでしょうか。これは、無言無視が一番。声で答えるのは、相手に反応することになるのですから。
〇悪い人を近づけない声
それでもしつこく迫ってきたら、はっきり強めに「No」、日本語では「イイエ」、「イヤです」、「けっこうです」、「いいです」、「急いでいます」、「いりません」と、否定的なニュアンスをきちんと込めて、撃退しましょう。
悪い声、大きな声は、公害です。しかし、こういうときは、ここぞとばかり、それを使いましょう。悪い人ほど大きな声には弱いものです。
日本語は、「けっこう」、「いいです」など、どちらにもとれる言葉があります。それを使うには、強い声で、ためらってはいけません。「でもー」、「だけどー」、「ううん」など、迷いのニュアンスを声に出したら、相手につけこまれるスキとなります。
〇声で魅力的になる
声のメーキャップをしましょう。声を明るく爽やかに伝えるようにすると、口角(口の両端)が上がります。
顔の筋肉がよく動き、脳が刺激され、脳内モルヒネのようなホルモン、βエンドルフィン、エンケファリンが出て、快感になります。これは病気や老化を防止し、若さを保ちます。自律神経の働きで、内臓も好調になり、スリムにきれいになれます。
〇つくり笑顔、つくり声から始める
つくり笑顔からでも、笑顔は磨かれていきます。明るいつくり声からスタートすればよいのです。笑っていたからおかしくなり、嬉しくなり、魅力的になるのです。
つくり笑い声でもよいから、たくさん使いましょう。愉快に楽しくなり、よい声になれます。
日本人は、外国人に比べて、表情が乏しく、声の変化も少ないです。もっともっと顔と、それに伴う声の表情を豊かにしましょう。
〇若さを失わない声
しっかりと声を出すことは、体も呼吸も使う全身運動ですから、健康によいです。カラオケでも詩吟、声楽など何でも声を出す芸能に親しみましょう。朗読など、せりふ、言葉をいうのも効果的です。
ボケ防止に「音読ドリル」というのが使われていますが、言葉を声を出して読むだけでも、ボケにくくなるのです。
日常生活のなかでも、どんどんと声を出しましょう。自分からまわりの人に声をかけるように努めましょう。ちょっとした勇気がいるでしょう。それがとてもよいのです。
老化は、動かなくなり、しゃべらなくなることで促進します。よく食べ、よく動き、よくしゃべる人は、いつも若々しくいられます。実年齢と関係ありません。若くても、声を使わなければ、声も心身も衰えてしまうものです。
〇よい声になるためのレッスン
好きな写真を目の前におき、声に出して、語りかけてみてください。
それが人なら、その人が返してくる言葉と声を、想像してみてください。思いっ切り親しげに話してみましょう。その人と楽しかったときのこと、そのときの会話を思い出して、もう一度、言ってみましょう。気持ちよく満たされた体験なら、何でもかまいません。そのときの声の感じを、よく覚えておきましょう。
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