Vol.102
〇声のセルフイメージ
自分が自分について思い描くことをセルフイメージといいます。セルフイメージとは自己像、それが自信に満ちていくと、行動はパワフルになり、その結果、人生は好転していきます。
あなたは毎日、どのくらい鏡をみますか。
ミラートレーニングといって、セールスマンは、お客のところに行く前に鏡を見て自分の表情を整えます。これをくり返していると、本当に顔がよくなります。お客は不景気な顔をしたセールスマンから、モノを買いたくはありません。声はどうすればよいのでしょう。
まず、録音した声を聞いてみましょう。
何度も、自分の声を聞いて慣れてください。
他の人の声も聞いてみましょう。
他の人の声も、同じように変ですね、でも、慣れたら気にならなくなります。
〇声に評価を真に受けない
ファッションにとても詳しい人、凝っている人がいます。そういう人は、あなたのセンスについて、面と向かって言わなくとも、一家言もっているはずですね。
声がよくないと思い込む原因の一つには、まわりに声を評価する人がいることで、声の自己評価に厳しくなった人が少なからずいます。それは、ありがたいことです。しかし、あまり気にしないことです。声についての評価は、けっこうあいまいなもので、必ずしも声そのもののことを言っていないことが多いからです。
〇声について学ぼう
声を出し、録音し、聞き返し、それをくり返すことです。必要なのは、スマホのヴォイスレコーダーだけです。
・自分のなかのよい声、悪い声を知る。
・自分で大げさに大きな声にしてみる。
・自分のよい声の状態をとってみる。
・電話の声を録ってみよう。
人によって声やその使い方が違うのを知りましょう。
・声のよい人は誰でしょう。
・声優の声を思い浮かべよう。
・ミュージカルスターの声を思い浮かべよう。
・お笑い芸人の声を思い浮かべよう。
自分の声をTPO別に分けてみましょう。
・自分の声を相手別に分けてみよう。
・応対別の声を録ってみよう。
大切なのは、1.声を出すこと 2.声を聞くこと 3.自分の声を聞くことです。自分の声を聞くためには、声を録って聞くのです。
〇日本語を勉強しよう
あなたは、外国語を勉強していますか。英会話学校に行ったことはありますか。
日本語については、どうでしょう。習ったことはありますか。
私たちは、英語などの外国語に接してはじめて、発音というものを意識させられます。もちろん小学校で日本語50音の発音などはありますが、ひらがなを読めると、何ら困難を感じないはずです。
TVやラジオで外国人向けの日本語会話があります。「話し方講座」なども勉強になります。視聴してみてください。声に親しむこともできるでしょう。
〇国語を音声で学び直す
学校では、詩の読み方などで、声の使い方、トーン、間のあけ方、説得力など、学ぶこともなく、国語教育を終えてしまいます。音声の発音や表現力をマスターさせていく他国の言語とは、違うため、耳と声の力がつかないのです。
これを補うには、アナウンサーや役者の基礎トレーニングが有効です。
〇スピーチでトレーニング
スピーチの原稿をつくり、それを直すのに苦労した人はたくさんいます。しかしヴォイスレコーダーに入れて、それを聞き返し直す人は、ほとんどいません。
家族などのまえでリハーサルをやるのもよいでしょう。なぜ録音を再生して聞かないのでしょう。自分の声や話し方をこれほど客観視できる方法はありません。
○自分の声は嫌
たぶん自分の声は聞きたくないからです。聞かせたいのに聞きたくない。なんて身勝手でしょう。でも、うまく伝えたいと思っているのです。
それが悪しき風習のように極まったのがカラオケです。カラオケ公害といってもよいかもしれません。自分も聞きたくない声を誰が聞きたいものでしょうか。
もう一つは「聞いたってわからない」というのがあるのでしょう。
それでも家族でもよいから、自分の声の感じを話の内容と別にチェックして、アドバイスしてもらうのは、よいことです。
〇話し方のチェック
人前に立つ人も、文章の論理や内容についてのチェックしかしません。聞いていて難しすぎないか、わからない言葉はないかと、家族レベルでわかるようにチェックするくらいです。
しかし本当にチェックすべきものは、用語ではありません。大切なのは内容がわかりやすいだけではなく、わかりやすい話し方をしているかです。ここが肝心です。
確かに内容にはよしあしあります。しかし、それ以上に大きいのは、話し方、呼吸、声の使い方なのです。
〇伝え方のチェック
難しいことをとてもわかりやすく話せる人がいます。簡単なことをよくわからないように話す人もいます。
チェックすべきことは、内容でなく伝え方です。100点満点の採点なら、内容30点、声での伝え方70点なのです。
そこに頭がいっていないから、文章を書き替えて終わっているのです。その挙げ句、あがって支離滅裂になる。自分の言葉でないなら、なおさらです。
お笑いでも、ネタのよしあしも大切ですが、タイミングや声の使い方によって笑いがとれるかが決まります。どんなよいネタも、声のノリをはずしたら、自滅するだけです。
○再生チェックで直せる
録音して、3ヵ所よくないところをチェックしてみてください。次に吹き込んでください。
これを、3回くり返してみてください。かなりよくなりますよ。
○音読ブーム
今の音読ブームは、それを目と口の相乗作用でやっています。ボケ防止に、大ブームです。音読ドリルが大ヒットしました。「声に出して読みたい日本語」も類書が次々と出ています。
○聴く力を養う
あなたの耳の力が弱ければ、これも補いましょう。
耳の弱い人(これは聞こえないということと違います)。
1.英語の発音が苦手だった。
2.歌詞、メロディが覚えられない。
3.ラジオが聞きづらい。
4. 音楽があまり好きではない。リズム感に自信がない。
耳の強い人。
1.ものまねがうまい。
2.カラオケが得意。
3.外国語の聞きとりに苦労しない。
4. 聞いたことをすぐ覚えられる
〇耳に入ってくる声
自分の目標をしっかりとイメージしたら、自分に必要な情報は入ってきます。声も同じです。
あなたの名前を呼ばれたら、あなたにはとてもよく聞こえるはずです。
昔、ある国の空港で私は場内呼び出しを受けました。そのとき放送を何も聞いていなかったのに、自分の名前だけは聞こえました。
機上で映画をみていて眠くなってきて目をつぶっていたのに、自分の知り合いの名前と同じ名前が出たら、耳に飛び込んできます。
自分に関係するもの、自分の好むもの、必要なものは、声を通じても入ってくるのです。
○カクテルパーティ効果
パーティで、たくさんの人のなかから、聞きたい人の声だけを集中して聞き取ることのできる能力が、人間の耳にあります。これを、カクテルパーティにちなんで、カクテルパーティ効果といいます。
あなたも、友人の声なら、すべてをおよそ誰なのか聞き分けられるはずです。誰の声かを瞬時に識別できる力があるのです。人間ってすごいですね。
〇アンテナを立てよう
声を聞く能力は、あまり測られてきませんでしたが、かなりの個人差があります。
学ぶスタイルにも、人によってそれぞれ型があります。目でみる、耳できく、手を動かし書いてみる、口で言ってみる、それぞれに得手不得手があります。
五感をもっと利用するために、自分の得意な学び方を組み合わせるとよいでしょう。
〇心の声
あなたの好きな人の声や身内の声は、黙っていてもよく聞こえてきます。そのうち心のなかに聞こえてくる。おかあさんの声、そして神の声と。それに従えばよいのです。
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