No.362
<レクチャーメモ>
「日本の立ち位置」
二つの世界大戦では、国家が市場介入し、国民総動員によって中間層が力をつけました。その結果、その後、世界は、一時的に安定したのです。
1970年代、新自由主義、市場原理主義と、個人の自己決定権が重視されるにつれ、中間層の貧困化が進みます。そこからの現実の否定が、国への責任転嫁となり、腐敗、不信、経済危機、経済的不平等が目立ってきます。
そうなると、グローバル化からナショナリズムへの流れが強まります。独裁的な中央集権化です。
しかし、そこで考えようとしない日本人の問題は、深刻です。日本ほど、中間層が決め手としてうまく統治できていた国は、稀有だからです。
エリートの育たない日本で、反知性主義は、知性的、理性的、実証的なものへの反発と捉えられやすいのですが、反権威で民への信頼をもつものとして、知性そのものへの不信ではないように思えるからです。 [649]