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2022年2月

「物語」(2) Vol.59

「説話」:国文学・民俗学・民族学・神話学などの領域で使用される。古くより伝承されて来た話・物語。狭義には、民話(昔話)、伝説。ドイツ語のメルヘン/メルヒェン(Märchen)、英語のフェアリーテイル(fairy tale)を含んでいる。

口承文芸:昔話・伝説・世間話などの民話、新語作成、新文句(新句法)、諺、謎、唱え言、童言葉、民謡、語り物などに分類される。

伝説:所在や時代背景が示され、登場人物も歴史上の有名な人物やその土地の実在の人物。

世間話:体験談や実話として語られる民話。

おとぎ話:太閤秀吉が抱えた御伽衆の語った面白話が起源で、御伽という風習は夜伽(=通夜)、古くからある徹夜で語り明かす伝統(庚申待)。夜伽話、転じて御伽話。

童話とメルヘン:大正時代「メルヘン(メルヒェン)」は「童話」「おとぎ話」と訳された。

<説話の種類>

昔話や伝説などの民話、おとぎ話、広くは神話や仏教説話もモチーフによって起源説話、神婚説話などと分類。啓蒙的な要素を持ったものもある。次のは、柳田國男による分類法。

Ⅰ.完形昔話

誕生の奇譚:桃太郎、力太郎、一寸法師、瓜子姫など。主人公の異例な成長ぶり:田螺長者、蛇息子など。財宝の発見:八石村、取付く引付く、わらしべ長者、笠地蔵など。危機の打開:鬼の子小綱、食わず女房、宝化け物など。動物の援助:舌切り雀、文福茶釜、花咲爺、瘤取り爺など。主人公の知恵:姥捨山、金の茄子、田能久、俵薬師など。言葉の力:蟹問答、大工と鬼六、化け物問答など。

Ⅱ.派生昔話因縁話:皿皿山、灰坊太郎、手なしむすめなど。鳥獣草木譚:雀孝行、かちかち山、海月骨無しなど。化け物話:蜘蛛の糸、狐狸の仇討、猫の浄瑠璃など。

 

<説話文学>「説話集」:説話を集めた作品のこと

758 - 822年頃『日本現報善悪霊異記(日本霊異記)』景戒 - 日本最古の説話集。

 

984年『三宝絵』源為憲

1107年頃『江談抄』藤原実兼

1120年頃『今昔物語集』

1154年以後『中外抄』中原師元

1161年以前『富家語』高階仲行

1179年頃『宝物集』平康頼

12世紀中期『古本説話集』

1215年以前『古事談』源顕兼

1216年以前『発心集』鴨長明

1219年『続古事談』

1222年『閑居友』慶政

1239年以後『今物語』藤原信実

1242年以後『宇治拾遺物語』

1250年頃『撰集抄』

1252年『十訓抄』

1254年『古今著聞集』橘成季

1257年『私聚百因縁集』愚勧住信

1283年『沙石集』無住道暁

No.366

業績

血気

一朝一夕

努力

流行

さま

振り

はだける

丸出し

みっともない

格好

着付け

見てくれ

心情

 

心技体

致命的

中身

嘲笑

致命的

背格好

華やぎ

偉大さ

蓄積

体育

育ち

ここから

立派

体躯

「歌の裏ワザ」Vol.2 

○自分のよいところに絞って、組み立てる

 

歌がうまいのと、うまくないのは、何が違うのでしょう。実力でしょうか。それでは実力とは何でしょうか。

私が思うに、それは、最終的には自分のよいところで最大限アピールし、自分のよくないところを最小限に抑え、出さないことです。

少なくとも、プロといわれる人は、まわりと比べて自分のプラス面を伸ばし、そこにマイナス面を隠す、絶妙なバランス感覚をもっています。(それが同時に限界の壁もつくるのですが・・・)

 それでは、実際の練習にはどう落とし込めばよいのでしょうか。

 

まず、あなたの一番よく歌える曲の、これまた一番よいと思われる部分を選んでください(1015秒くらい)。次に、それをその曲から離れて、キィ(ここでは、声の高さ、ピッチの意味)を半音ずつ高低させてください。

 また、自由にテンポを速くしたり、遅くしてください。さらに、歌詞を母音読み(あなたの→あああお)したり、もっとも発声しやすい一音だけにしてください。

その全ての組み合わせをメニュとして、その中でベストを決めてください。

ベストはよりベストに、ベターはベストにしていくのです。そうして、自分自身の声や歌に厳しい判断力をつけていくことです。

 できたら、せりふの一言でも、これを試みてください。さらに、声の一言「ハイ」「ライ」「ナイ」「ネエ」などから、体で一つにしていえる声を選んでみてください。

 

□ベストをよりベストに、ベターをベストにする

 

○得意な曲の1フレーズを応用しよう

 

たとえば、トレーナーのレッスンや音源での発声練習に慣れていないために、発声では、高めのドの音で喉がつまる。なのに、歌(カラオケなど)では、さらに高い音まで楽に出していることが少なくないのです。そういう現実を、私はいろんなスクールでたくさんみてきました。

 基本的な発声練習とは、歌の複雑さ(音程、リズム、ことば、表現などの組み合わさったもの)を取り除き、簡単な音で、音程の狭いところで発声だけ、しっかりとチェックするために行うものです。

目的がそうならば、カラオケの1フレーズを選んで練習した方がよいということになりませんか。事実、多くのプロは曲から歌や声の使い方を覚えているのです。

 

厳しいチェックのために行うなら、少なくとも自分で確実に再現できるくらい、シンプルにできるところで行わないと、あまり意味がないのです。そのシンプルな声のすごさと難しさに気づいていくことです(そこを補助するのがトレーナーの役割です)。まずは好き勝手にスタートしてもよいのです。人によって違うようでも、深まれば、共通することにたどり着くのですから。

方法やトレーナーにも、相性があります。相性が合うほうがよいとは必ずしも限りませんが。

楽器なら、すぐれたプレーヤーにつけばよいのですが、そういう人なら、一つの音がろくに出ないうちに、たくさんのメニュを与える人はいないでしょう。

 

□早く自分にあった練習スタイルをみつける

 

 

○よい声、よい歌を聴くか、笑いころげる

 

うまくいかないときは、もっともうまく楽に歌える曲を(その曲の1フレーズでもよい)使ってみましょう。

日頃から、発声練習の中でも、ベストメニュを選んでおき、それを使うとよい状態になると思えるものをもつことです。そして、少しずつ細かくそういうときにどのようにすればよいのかを知っていくのです。

 そのためにも、よい声のイメージをしっかりと入れておくことです。古今東西、第一級のヴォーカリストの声とその使い方を、体の真髄まで叩き込んでおいてください。

それらの中から、今の自分に合うもの合わないものを選び分けてください。自分の調子別にいろんな処方ができるようになってください。

 

発声練習がうまくいかないのは、無理な声量や声域を出そうとするとき、あるいはそれを目的で声を悪い状態で、ラフに使ったときが多いようです。

しかし、「うまくいかないから、どうする」ではなく、「うまくいっている」と思っているときに、すでに多くの問題が起こっているのです。ですから、「うまくいかなくならないようにどうする」ということで、予防しなくてはいけないのです。

それでも、ニッチもサッチもいかなくなったら、休めるか、笑い声トレーニングをお勧めします。笑い顔で体から声を出すことです。

私は、「下手な練習より腹から笑い転げなさい」といっています。一分間、笑い続けるのもけっこう大変です。

 

□悪循環に陥らない予防法を知り、うまくいくところまで戻る

 

 

○発声と歌とを分け、スポーツを参考にする

 

 私は、当初から、歌は応用、声は基本と分けてきました。わかりやすくいうと、歌は試合、声はオフのトレーニングです。天才か器用な人は、歌だけで歌の問題を解決できるかもしれません。

しかし、そこで行き詰まったら、どうするのか。観察し、比較し、分析し、目標として求めるイメージとのギャップをみつけ、それを埋めるのにトレーニングをするのです。

声については、一人ひとり違います。誰かがそれができたからといって、誰もができるわけでもないし、できたというくらいでは、何ら勝負にならないのが大半です。

 

ともかく歌と発声と区別してください。トレーニングで行っていることをそのまま使って歌おうと、こだわりすぎないことです。

 腕立てをして、すぐにバッターボックスに入る人はいません。腕立ての筋肉の使い方とバッターの打つときの筋肉の使い方は同じではありません。それを練習するのは、ベースとして通じることもあるからです。

歌や声はわかりにくいので、あなたが身体を使ってマスターしたスポーツや芸事などがあれば、そのプロセスを参考に、イメージをふくらませるとよいでしょう。

 

□歌は応用で、試合や発声は基本で、オフのトレーニング

 

 

○一流の作品を聞き込み、耳を鍛えよう

 

 どこが問題かわからない人は、まず自分の曲を徹底して聞いて、下手とわかるところをチェックしましょう。音楽好きの友人にも聞いてみましょう。友人よりもあなたのチェックが甘いなら、トレーナーについたほうがよいでしょう。

問題がわからないうちは解決していかないからです。その間は、一流の歌や声を聞き込んでおくことです。

 歌は総合力ですから、チェックするにはそれぞれに分けた方がよいでしょう。一般的には、メロディ(音程、音高)、リズム、詞などで、基礎力をみます。

しかし、実践的というなら、一流のヴォーカルから学ぶところを自分なりに区分けして、それぞれに対して、どう自分が聞こえるのかをみていくとよいでしょう。

 

1.ステージング 2.楽曲 3.歌詞 4.声(質) 5.メッセージ 6.音楽性 7.個性、オリジナリティ 8.ハイトーン、ファルセット 9.スキャット、アドリブ 10.ハーモニー(コーラス)

 

□何が問題なのかを発見する

 

 

○毎日ノートをつけ予習・復習をしっかりする

 

声や歌では、よい状態と悪い状態には大きな差があります。それをコントロールできないのが素人です。

トレーニングで地力をつけるとは、悪い状態のときにもできることを少しずつ底上げしていくこと、最悪の心身状態でも、人前ではカバーできるくらいの声や歌の力をつけておくことです。

 その中心は、しっかりした声づくりです。これはよほど思い込みが激しく、狭い視野で乱暴に力づくで声を出しているか、反対に何もやらない人以外は、長く続けていればそれなりの“通じる声”になります。

 

役者とか声楽家のような職業声とも通じる、安定した深くタフで耐性のある声を目指しましょう。

そして、声の最低ラインをキープできることです(今の日本では、このラインというのもかなりあいまいですが、声が出ないなどということがなくなるなどということでもよいでしょう)。

ただ、それは目的でなく、そういう基礎固めの上で、奇跡の瞬間が降りてくるために行っておくのです。それは同時に、最高の状態をすぐにもってこれること(切り替え力、応用力)に通じ、そこでプラスαが起こる確率が高くなるということです。

 

本当の一流の天才は、この魔法を自在に操れる人です。声が出るとかうまく歌えるというのとは、次元が違うのです。

 ともかく、予習復習をすること。そういう最高の目標をもって挑むことです。目指す目的レベルが高くなると却ってわからなくなるものだからです。

 

□自分の求めるところまでは準備して奇跡を待とう。

 

 

○伸ばすときは、ていねいにする

 

ブレス(息つぎ)が浅いと、フレーズの終わりごとに声を保てなくなり、音程やリズムが狂う原因になります。語尾がうまく切れないのも、息に充分な余裕がないことが多いようです。ピッチ(音高)も下がりやすくなります。もう一小節伸ばすくらいの気持ちで行いましょう。

長く伸ばせないというのも、何に比べてということです。「息(あるいは声)を30秒、40秒伸ばしましょう」というトレーニングは、余力をつけておくためです。

 

 

○ビブラートは、呼吸と声の安定で保つ

 

 結論からいうと、ビブラートは上達してくるとしぜんとかかってきます。声は共鳴して出てくるものですから、そこにメリハリをきかせ、フレージングを大きくしたり、高音域をとったりしていくと、その流れが声に表れるのです。これが歌に心地よいゆらぎを加えるときの一つの技術となるのです。

 ですから、私は無理なビブラートもどきのものをとったり、かけさせないように注意することはあっても、ビブラートをつけるトレーニングはすすめていません。

 自分の歌のなかで、ふるえるところ、揺れるところがあれば、そこをチェックして徹底的に直しましょう。

根本的な原因は、呼吸が安定しないところにあります。息のトレーニングを毎日しましょう。息というものは、吐くほどしぜんと入ってくるものです。流れが悪くなるのは息が止まるからです。少し大きめに歌ったほうが、息が出る分だけ自然と入ってきやすくなり、声も安定するのです。

 

 

○メリハリは大げさにイメージし、小さな声を効かせる

 

声量のトレーニングの最大のメリットは、大きな声の方が、体全身を使えることが実感しやすいからです。何が発声の邪魔をするかという欠点も顕わになります。

小さい声でボソボソとエコーに頼って歌っていると、根本的なところが直りません。大声でマイクに頼らず歌う人の方が、気づきやすい分、直っていくのです。

私が真似を勧めず、感覚イメージレベルで大きく拡大して取り込ませているのも、そのためです。そこでの動きをフォームとしては保ち、声だけ絞り込んで小さく(長く伸ばして)使います。このコントロールは、大声よりも高いテンションと体の支えを必要とします。

 

小さな声を使うことで、表現に耐えうる方が、ずっと大切なのです。

伸ばすのは誰でもできますが、小さく弱くして表現に耐えられ声にするためには、とてもていねいなコントロールがいります。しかも確実に声にするには、子音などで強い息を出しても声に戻せるためには、深い息と深い 声の獲得しかないのです。そこに体が必要となるのです。

自然にひびきを解放しても、そこで芯のある声にいつでもすぐに戻せるからこそ、さまざまな応用も効くのです。

 

Jポップスでよく見られるようになった、表面上、海外のをコピーした浅い息吐きや息を混ぜた声(ウィスパーヴォイス、ハスキーヴォイス、ミックスヴォイスもどき)などは偽裏ワザです。本人はその気でも、だらしなく音楽性には耐えられない代物です。でも売れているとしたら、それはその声のおかげではないから、あまり真似しないように・・・。

 

 

○音色を魅力的に多彩に使うには、一つの声から

 

いくつかの声を多彩に使い分けるのも、ヴォーカルです。しかし、私は、その必要のある人でも、まず自分にもっとも合った声だけを徹底して使えるように磨かせます。

どれがもっともよいのかを知り、いつでも、その声がプロレベルで通じるようにします。

 

 何年たっても声の変わらないのは、自分の中心ではない声からスタートするからです。歌は、高めにシフトします。高めでもボール球ばかり、練習しているなら、体で打つことは覚えられません。本来は、ど真ん中のストライクでホームランを打てるまで、体と感覚ができてから、それ以外に応用することなのです。あなたがまず求める音色とは、ど真ん中のフルスイングで出てくるものです。(歌では、話し声よりは高めになる)

 

それと好き嫌いは、別の問題です。持って生まれた楽器を最大限、活かした上で、必要なら表現上の加工をしてください。加工したのがあなたの世界として認められる完成度をもつなら、それも個性でよいといえます。ただ、トレーニングをそこをベースにして行なうと、うまくいかなくなることもあるのです。

 

一時、早くそれっぽくなってから限界となるのに、本人もトレーナーもわかっていないままで、問題として上がりにくいのです。

これは、あこがれの歌い手に合わせて出したがるヴォーカルのもつ宿命ともいえます。

基本の固まっていないうちでの加工ですから、応用性、柔軟性に欠けます。トレーニングによってくせでの偽再現性(固めてしまう)をつけてしまうパターンも多いです。

 

□声の音響学を学び自分の音色を知る

 

No.366

<レッスンメモ>

 

1) 話

1.判断力(耳)をつける「声は程度問題」

2.歴史と環境 状況打破

3.機能、流行はあるが悪い声はよい(大山のぶよドラえもん)

4.声への自覚 裸の王様 意識する

5.声は本音が出る 精神性、人間性が出る

6.よい声よりキャラに合うこと

実践

1.声をよくする

2.声に何をのせるか 伝えると伝わる

3.どう伝えるか どう聞くか

 

1.内容 情報

2.伝え方 言い方

3.媒体 音声

 

2)イメージ

1.自分の声のよいときの状況

2.自分の声の悪いときの状況

3.どんなイメージ(自分の声)年齢 性格「声は仮面」本人との一致度

どんな声が必要―それは、何に基づいて出るのか

魅力、信頼、落ち着き、成就

決断力、アピール、プレゼン、影響力→VIP

色気、元気、パワー、若さ、体力

やさしさ、おだやか…

 

憧れの声、その魅力とは何か、どうしたらよいのか

No.366

<レクチャーメモ>

 

〇日本人の特色

 

愛国心や国を守ろうとする心は強くない

霊力、自然の力を信じる

是非と可能、不可能とを区別できない(山本七平)

真理、正義より、美的価値、動機の純粋さを重んずる

失敗の本質を突き詰めない

目的があいまい

長期でみない

結果よりプロセスと動機を評価

体制維持、面子、察する、忖度、心情、主観的、帰納的、人脈重視

人間関係第一、リスクを避ける、一人が好き

そうせざるをえない心境に追い込む空気がある

平等を考えるあまり、全滅させてしまう

 

言語は暗号、音楽は儀礼のために生じた。

皇居という都心の空虚            [725]

「声の裏ワザ」Vol.2

○声のことでくよくよせず、体のキープを怠らない

 

どんなことがあっても、ベターな状態に心を切り替えられる能力が問われます。

うまく声が出ないことが心労、過労のせいなら、そこですぐにぐっすり眠れる能力が必要です。眠ることは食べること以上に大切なことです。体、喉という楽器は、疲れていてはうまく働かないのです。

 

私はレッスンのときに「一日レッスンして一晩寝て一回」これを重ねるように教えられました。つまり、眠ることもトレーニングなのです。まして、迷ったり、くよくよしてばかりでは、喉の疲れもとれません。

「考えても仕方のないことは考えない」これを「莫妄想」といいます。これには何事も二分して考えることの戒めも含まれています。覚えておいて損はないでしょう。

 

息を吐き、吐く息を手にあてましょう。

息を何回か吐いてから、声にしていきます。体と感覚が起きて、より働きやすくなるからです。

「ハアー」から、「アー」にします。息はすべて、確実に声にします。声にも、すべて声、息まじり声、息声と、あります。

 

□心の持ちようから、トレーニングしていく

 

 

○これまでの自分の声歴を参考に、大きな器をつくる

 

確実な成果としてみえるのは、声としての楽器づくりです。人間の使える可能性の平均レベルにまで、多くの日本人は耳・発声とも訓練していないので、達していません。

そのために声づくりというフォームづくりから行うのです。日常的にいい加減に低いテンションでしか出していなかった声を、しっかりとトレーニングでリフレッシュさせるのです。

 演劇、ミュージカルやオペラでは、いろんな姿勢で声を使います。フォームができてきたら、何でも対応できます。 

基本が身につくということは、状況が変わってもそれに対応できる応用力がつくということです。

 たとえば、寝ころがって、両足を動かしながらとか、腹筋で両足を少しもちあげて試してください。いろんなところへ共鳴するのを感じてみてください。動きをつけながら練習するのは、かまいません。

 次に力を抜いて、「あー」と弱い声で出してみてください。高さや音を変えてみてください。

 

大切なのは呼気(呼気量)をどれだけ効率よく声に変えられるかです。息がいくら多く吸えても、声として活かせないのであれば、意味がありません。

 充分に自分の体を使い切ること、全身で歌えるところまでトレーニングすることが大切です。いかに少ない呼気で無駄なく共鳴させられるかで、声も決まります。

 

 第一にほとんどの人は、息を充分に吐けるだけの体になっていません。日本では、プロの活動をしている人でも、呼吸力の不足で歌がうまくまわらない人が少なくないのです。呼気を声に変える効率が悪く、息のロスが多いとさらにそうなります。根本的には、声と息が深くなり、結びつくのを待つしかありません。

 息をあまりに吸いすぎないことも大切です。必要以上に吸うと、胸部までいっぱいになって、キープして使えなくなります。

 

□発声の基本は、フォームと器づくり!

 

 

○腹式呼吸は、走って寝ころんだり、腹から笑ってみる

 

腹式呼吸についても、トレーナーは、寝ころばせて呼吸させ、あなたのお腹を触らせたり、トレーナー自身のお腹を触らせて、動きなどを示します。

前腹よりも、腰のまわり全体がふくらむ方が大切です。といっても、よく動く人も動かない人もいます。体型、体質にもよります。

気になるのは肩や首まわりの固さです。上半身や胸に力が入っているなら、抜きましょう。

 

誰かに習ってきた人には、とても不自然なブレスも目立ちます。すごくお腹に力を入れている人、鼻から吸って、歌に間に合わない人など、“呼吸ができていない人”がほとんどなのです。

求められる腹式呼吸というのは、お腹から声を出しているように感じられるものです。声の支えが体の中心になっています。胸式呼吸でも肩や胸の動きが目立っていなければよいのです。

 

軽く走ってみてください。お腹(横隔膜)が動きます。次に胸が波打ちます(胸式)。さらに肩が上下します(肩式)。体が酸素を急激に補おうとするためです。息がぜいぜいでは、喉も安定せず、とてもていねいにコントールする歌には向きませんね。

でも、プロは走りながらロックも歌えるし、せりふもいえます。

 

せりふを全身で使えるトレーニングをしましょう。それで喉にひっかかるとか、肩から上しか使われていないなら、低い声(太く)で「Hai」と腹から(喉にかけずに)言ってみてください。

 

前屈姿勢がわかりやすいです。イスに座ったり、寝ころんだ方が行いやすいなら、そのようにしてください。声が出せないところなら、息読みでよいです。首筋はたて、あごはひいてください。

 

息のトレーニングから<S><Z>の発声にしていきましょう。

 

□呼吸が身につくには時間がかかる。地道にやろう!

 

 

○お腹から声を出すのは、腹筋で出すのではない

 

「スポーツのように鍛えてはよくない」と心配する人もいますが、不自然なまでに、腹筋(前腹)を固めないことくらいです。ボディビルダーなどの目的とは違うというだけで、腹筋トレーニングが必要な人もいます。

腹式呼吸も喉の筋肉なども、ことばの知識だけで教わり、かえっておかしくしている人が少なくありません。下腹に力を入れるという丹田呼吸(法)というのも、混乱の元です。

 

 腹式呼吸は、誰でも身についているのです。私たちはふだん、あるいは眠っているときに、無意識のうちに腹式呼吸中心で呼吸しています。

ですから、発声に伴って、腹式呼吸が 無意識的にできるようになる必要があるということで、意識的にトレーニングするのです。

つまり、腹式呼吸は、それ自体がマスターとか、完成という段階があるのではなく、使うことへ対応できる程度問題なのです。

 

役者や歌手でも 必要度はそれぞれに違うのです。あがってしまうなどということも、この腹式呼吸でかなり改善されます。

 吸うことを意識し、吐くのと同じか、それ以上に時間をかけてがんばって息を吸っている人がいます。しかし、実際は、“吸う”というより“入る”といった感じがよいのです。

 肺活量は、成人を過ぎると、少なくなっていきますが、あまり関係ありません。

 

 

○ブレスを聞き、ドッグブレスで鍛え、深い呼吸にする

 

お腹から発声するのと、お腹で力を入れて出すのとは全く違います。お腹をへこませて声を出すのも、お腹をふくらませて声を出すのも、固めるのはよくありません。

最初、お腹は前しか動きませんが、お腹の底まで入ると、横隔膜は平らになって横や後ろもふくらみます。満腹時はムリです。

 

息を吸うときは、まず吐いてしぜんに入るのを待ちましょう(呼吸動作を吸ったあと、吐いたあと止めさせるトレーナーもいます)。

 

 あがると息が入りにくくなるのですが、入れるより吐けばよいのです。吐き切ったら、入ってきます。これを短時間に何回もやると、お腹がきついでしょう。だから、鍛えるのです。

歌うには、どんな一瞬でも、どんな体勢でも、息が瞬時に入っている(キープできている)体が望まれます。そのためのトレーニングです。

 ステージでの活動中に息がどんどん浅くなったり、充分に吸えなくなっていく人が多いです。きちんとリセットしてリピートしないと、喉も安定せず、発声時に少しずつロスが生じていきます。それを支えるのが、息の支え(お腹の支え)です。

 

 腹筋は、お腹から笑いすぎると痛くなりますね。それに耐えられるくらいには、強化しておきましょう。これも個人差があります。

ドッグブレス(走ってきた犬が「ハッハッハッ」と息するようなトレーニング)をしましょう。(やり過ぎないように注意。)

 

 

○表情やしぐさも加え、声量として感じさせる

 

 声量はバランスの中での鋭さ(インパクト)であって、大声とは違います。つまり、構成や展開のなかでの見せ方、大声よりも密度の濃さ、ピークと捉えてください。

サビは強く、気持ちのフォルテッシモなのです。

ヴォイトレにおける声量トレーニングというのは、別に考えましょう。

現実には、声量よりも声のノリや輝き、インパクトとイメージして使ってみてください。表情、アクション、演出、音響、ハモリやコーラスなど、アカペラでは、声量勝負と思われるものも、今のステージではさまざまな見せ方でヴォリューム感を出せるのです。

 

声がバックの音にかき消されるなら、他の音を下げるべきです。客は騒音を聞きたいのではありません。そこで抜ける音や声の使い方の研究をしてみてください。

生の声を大きくするのは、声が届かなくて通じないことのないレベル以上にで、あとは耐久力(再現力)のある範囲内で扱います。

・モニターに左右されすぎない

・見せ場とバランスを考えない

・口とマイクとの距離をチェックする

 

 声に芯があり、せりふや歌に線があり、線に変化があって、その線の動きの変化を捉えてはじめて、聞く人はヴォリュームを感じます。鋭く切り込んだり、徐々に大きくなっていくことで、感情が盛り上げられ、高揚します。せりふや歌というのは、だいたいそのようにつくられています。

 声の大きさは、自分を相手に伝えるために、表現上で必要とされることの一つにすぎません。自分のメッセージが上手に伝えられるならば、それで充分です。

むしろ声量をもって、表現の効果を損ねるのをさけましょう。声のよい人、声量のある人が、音響技術の発展した現代では、サウンドと融合できず、あまりよい表現者にならないのは、声量や共鳴を聞かせたいと本人が思っているからです。どんな武器も、目立たせずに、繊細に使えなくては、無意味です。

 

声量については、体から声の出せる目安として、充分に動きに耐えられるように使えていないなら、使えるようにしていくことです。つまり、声を大きく出すのでなく、大きく出せないように邪魔をしている要素を取り除いていくのです。

ちなみに現場では、私は声量が必要なとき大きく出せるのでなく、大きく出しているように聞こえるようにさせます。本当に大きく出すと、音響を通すと一本調子になります。むしろ、鋭い切り出しや抑揚のつけ方で、声量を感じさせるのです。

 

 

○太い声にする

 

 声楽も私の「ハイ」のトレーニングも、そのためのメニュです。「ライ」でも「マイ」「ネエ」「ナイ」、何でもストーンと一声でいえてしまうことばで、通る声として扱ってみてください。

「ハイ」は、ハ・イでなく、Hai(二重母音=一拍)の感じです。次に、より「大きく太く強く」を目指します。次は、三音(三重母音、人によってはこれを必要とせず、あるいは、向いていないためにストップをかけることもあります。)

これは、ベターか、あるいはベストの声づくりに、つまり、「プロの声は、プロの体から」というのを想定します。そこはできたら急ぎたくないところです。

急ぐと喉をこわします。体やバランス感覚が整わないのにやりすぎると、くせがついたり、思い込みのなかにとらわれます。それを避けるには、いつもこの先に何があるのか、これは何をどう使えるのかという、柔軟な問いをもつことです。

 

 つまり、体の発声の原理に忠実に、余計な邪魔ものを削り落とし、それを最大限生かせるように心身を強化していくと、声域・声量もその人の生まれもって与えられた最大のところまで使えるようになるのです。結果として獲得する分は欲張ってもよいといっているのです。ただし、それは目的でなくプロセスとして得ていくものにすぎません。

 

 

「内なる声と真の感情」 No.366

個人<種としての人間<人類<生命と考えを広げてみると、自然界との共存に至ります。今のことばで言うと、サスティナブルな社会の実現につながります。

人間らしく生きるのは、精神と肉体のバランスを調和すること、私たちを取り巻く自然環境の中には、人知を超える叡智が満ちあふれています。

内なる声を客観視することは、ことばによります。しかし、音楽や舞踏のように、ことばにせずに声で感情を解き放つことで、生命の原点に触れられるのです。

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