« 2022年4月 | トップページ | 2022年6月 »

2022年5月

「絵巻物」(1) Vol.62

絵巻物は、紙や絹、麻をつないで物語などを連続して表現したもの。絵画とそれを説明する詞書。絵巻という形式は、中国の「変文」という経典の内容を説いた説話絵巻にはじまるといわれる。物語絵画の一種で、わが国独自の形式。

現存する最古の絵巻物は、奈良時代に制作された『絵因果経』、室町時代までは盛んに制作。巻き収める装丁形式の「巻子装」(かんすそう)の書物、経典、絵画作品などを「巻子本」「巻物」。中国で制作された絵画作品は「画巻」「図巻」。日本人作品であっても「唐画」に ついては、「絵巻物」と呼ばない。

 

<構図・画法>

吹抜屋台(ふきぬきやたい)、異時同図法、連続式構図、段落式構図

身分の高い者ほど顔をあらわに描かない。

礼拝の対象として導入された絵は、視覚に訴える。

 

<歴史>

12世紀、平安時代「四大絵巻」、『源氏物語絵巻』『伴大納言絵巻』『信貴山縁起』『鳥獣人物戯画』。金・銀箔を裁断した野毛(のげ)、砂状の金•銀箔の砂子(すなご)を撒き、金泥・ 銀泥で花烏などの下絵をあしらった料紙に、連綿体で書かれた詞書。

鎌倉•室町時代、歌仙絵卷、戦記絵巻、寺社縁起や高僧の伝記絵巻、室町時代に御伽草子絵巻の成立。

江戸時代、岩佐又兵衛、浮世絵師が春画絵巻

明治時代、下村観山『大原御幸』

 

命を守るコミュニケーション、畏怖の念、信仰や癒しの機能

絵画は、仏教とともに始まり、仏画として描かれた。

飛鳥・白鳳時代に絵画制作のための人材や素材が朝鮮王室の支援のもとに整備されたことに始まる。宗教の教え、為政者や特権階級の権威、庶民生活の記録や伝達、装飾、表現へ。律令制度の整備に伴い、画工司(えだくみのつかさ)という官営の絵画制作機構の設置。釈迦の前世と現世の関係を説いた『絵因果経』8巻本が絵巻物の祖形。

「歌の裏ワザ」Vol.5

○歌の印象はエンディングの余韻

 

歌は終わりが決め手です。最後を失敗すると、その歌全体が失敗したような印象を残します。最後がしまるとなんとなくよく聞こえるものです。余韻というか、後に心に残るところです。ですから、細心の注意を払って終わらせましょう。

 盛り上がって終わる場合、声を大きく伸ばしてエンディングというパターンでは、伸ばしている声そのものと、伸ばし方がきれいにはまっているかどうかをチェックしておきましょう。

原曲どおり、プロの歌い手が歌っているように歌わなくてはけないわけではありません。伸ばすところでは、力のないのがあらわになりやすいですから、うまくできないなら、短く言い切ったほうがよいでしょう。マイクの使い方も見せ方も注意です。

 

 

○曲をBGMにして、詞の朗読をする

 

曲のカラオケをバックに流して、詞の朗読をしてください。目一杯、情景・心情を伝えてみるのです。

そして、詞のイメージをふくらませていきます。

詞のイメージを具体的にいろいろと想像していくのです。そのイメージを抱いたまま何度も大げさに感情表現をして読みます。録音を聞いて直しましょう。

・詞のイメージを絵に書いてみましょう。

・詞のイメージでのストーリーを原稿用紙に五枚くらいで書いてみましょう。

・詞を毛筆で縦書きで描いてながめましょう。

・詞のイメージを絵や漫画で書いてみましょう。四コマにしてみてもよいでしょう。

こういう人生がこういう詞になったというようなものが出てくれば望ましいでしょう。

 

 

○一本調子にせずフレーズでの流れとメリハリを

 

歌のうまいへたの差が顕著に表れるのが、歌のなかでの流れとメリハリです。一気に流れるように歌えることと、一つひとつのことばをていねいに感情を込めて伝えることを両立させなくてはいけません。両方が伴っている人は、なかなかいないものです。

“流れ”と“ため”は、フレーズという句切りをしっかりと曲のなかに入れていくことで、うまくまとまります。

歌いにくいのは、言葉を短く切りすぎるからです。短く切ると、気持ちも持続できなくなり、常に次の流れをつくることを強いられます。

大きなメリハリをつけて、その流れにのせて言葉をおいていくほうが歌いやすいのです。

 

 落語家の噺と素人の読みとの違いを考えてみるとよいでしょう。落語家がまくしたてられるのは、口が早く動くからではなく、言葉にメリハリがついているからです。話す言葉にフレーズがあり、そのフレーズが次の言葉を運んでくるからです。フレーズをきちんとさせると不思議なくらいにブレスも決まってきます。プロ歌手のフレーズとブレスをよく聞いてみましょう。

 

 具体的には、フレーズを大きく捉えるために、簡単なアレンジをして、歌の流れをおおまかにつかみます。

1.小節の頭の音だけをつなげる

2.ベース音を(2、4拍あたり)歌う

3.できる限り、ノンブレスで歌う

4.12、34、56、78などの小節を4-5でつないだり、2-3、6-7をつないだりします。かなり感じが違ってきます。

5.ブロック別、Aメロ、Bメロ別に大きく捉える感じを、無理にでもキープしてみる。(日本人には欠けている点です)

 

 

○感情を抑え、イマジネーションを豊かにする

 

 歌は過度の感情表現を必要としません。私は、歌を音楽的に捉えるなら、バイオリニストやピアニストのように生の感情移入は、すべきでないと思います。

声はただでさえ、感情的なものだからです。しかし、逆に発声技術や音楽性に乏しいヴォーカリストでも感情の伝わる声や感情移入でもたせることができるのは確かです。私としては、感情というより、魂(ソウル)や心(ハート)、気持ちと呼びたいものです。

 

 まず、曲が盛り上がって、自分の心身に働きかけてくるという聞く体験を積んでおいてください。サビで狂喜する、エンディングで泣けるというような強い体験が欲しいものです。

感情をいれて歌うのは、音楽性の一部を犠牲にして人間味を加えることにもなります。歌の一部をシャウトしたり、ことばのまま(メロディをつけない)で入れるのは、その一端です。

 

日本では役者の歌が典型的です。これは、どちらかというと声自身の魅力とことばのメッセージ性に負います。声がよく、深く、音色が豊かな人が多いからです。この条件においては、ベテランの役者は外国人ヴォーカルに匹敵するのですが、多くはテンポ感、音楽性、構成展開力、技術、特に高音処理(音楽を奏でる楽器としての部分)に欠けるのです。

(坂本九さんの歌は、伝える心の深さ、あたたかさがこの2つを超えた、まれな例です。)

 

感情によって大きく声の出方は変わります。歌唱では、感情移入よりは、音楽的なイメージを優先します。感情を表現するのに過度に感情を移入すると、音楽としてくずれるからです。

 

 

○4つで区切って、展開と構成を捉える

 

 歌の音楽的構成での見せ方の問題です。ここでは無駄な感情移入や雑な表現は整理しなくてはなりません。

テーマを表現し切るクライマックスは、その作品を決定していくピークにあたります。このピークに対し、どのようにフレーズを組み立てていくのかを考えることが、歌の構成、展開上でとても大切です。

ドラマの起承転結のように、多くの歌は、4つのシンメトリーに分けていくとわかりやすいでしょう。(4ブロック、4フレーズ×4)

 

ピークに対して、歌い手の感情を入れるのではなく、聞く方の感情に訴えるように展開し構成するのです。心をもっていきながらも、音楽の規則性(リピート、コード進行、グルーヴ)と展開を最大限、利用します。

最終的に、一曲を一本につなぎ、強い意志で一貫させます。といっても、1コーラス、あるいはAメロ、Bメロ、サビと、ブロックごとを一本に通すことができたら、充分です。

 

構成力 展開力をつけるには、

1.はじめて出てきた音やコードに印をつける

2.4つに分けてパターンや法則を探る

 

 

○自分のキィとテンポを徹底して知る

 

欧米人は、およそ1オクターブの声域で、一つのことを言い切るのに、一分間くらい腹から吐き切っています。そこから、そのリズムに節がついて、今のポップスのベースとなったとみるとよいでしょう。同じ質を目指すなら、そのプロセスを踏むことです。

しかし、私たち日本人の話声域はおよそ半オクターブくらい、一つの言い切りも10秒くらいです。

私が考えるに、短歌くらいが、同じレベルで日本人ができる一曲としてふさわしい長さとなります。ならば、そこで半オクターブ、4フレーズ、それを中心に、まずはキィを決めてください。

次にテンポを、ことばやメロディの流れがつながる(間をもって)ようにします。一曲を2~4分割すれば、それだけのメニュができます。

 

出だしはそのままか、やや上げて、サビは充分に表現できるように一時、下げます。

 もちろん、一曲続けて歌うとなると、中音域にマッチさせていたサビもあがり、声質も流れも変わります。しかし、私はそれでも、声とことばで伝えることにこだわって欲しいのです。そこにリズム、メロディ処理して、さらに一曲になっても、その基本の表現を活かせる感覚を残した上で、行なうように考えます。

 表現もトレーニングも、何をやるかどうやるかばかり考えていても(考えないよりはよいのですが)仕方ありません。どこまで成り立っているかをチェックすることです。

「声の裏ワザ」Vol.5

○確実に上達していくためのプランニングをする

 

確実に上達したいのは、誰もの願いです。しかし、成果は、総合的な結果として出てくるので、ひたすらインプットとアウトプットをしつつ、洗練させていくことです。情熱と時間をかけましょう。

時間と練習場所をキープしましょう。

演出家、プロデューサーのアドバイスが受けられるとさらによいでしょう。

10年の計画を立ててみてください。それがきちんと立てば、実現していきます。

まず、ゴールを決めましょう。今、一番好きな人物の活動などから考えてみるとよいでしょう。

 

 

○ヴォイトレに必要なツール・教材は使い方次第

 

本来、声のアイテムは、あなたの喉(体)と、情熱だけです。しかし、ほかにいろんな道具を使う学び方もあります。古典的なところでは、エンピツ(わりばしやスプーンなど)、ティッシュ、ろうそくなど、さまざまです。ツールもメニュの一つと考えれば、いろんな応用も考えられます。

あとは喉を守るためのもの、体を冷やさないためのもの、体力づくり、スタジオ管理のものなど。

メトロノーム、楽器、ピアノ(キーボード)、楽譜、楽典、楽譜台、空調、加湿器、空気清浄器、マスク、のど飴・・・。しかし、何よりも大切なのは、すぐれた作品と最低限の音響機材ですね。

 

 

○その日に応じた練習にする

 

 喉が疲れているときには、喉に負担をかけるハードなトレーニングはよくありません。喉の状態をよくするためにヴォイストレーニングをするのですから、喉を充分に休ませることが大切です。体と息のトレーニングを中心にしましょう。

 こういうときは、トレーニングそのものよりも、それによって息、呼吸、体をよい状態にすることが目的プラスになると思いましょう。トレーニングは、明日のためにするのです。

 

 

○風邪など、体調の悪いとき

 

 風邪のとき、咳き込むなら、息を吐くトレーニングもやめましょう。咳は声帯にとって、とても悪いのです。こういうときは、風邪が治ったときに、すぐに以前の状態に戻れるためのトレーニングを行なうことです。

体は使わないと衰えますから、病み上がりのときも、声が出にくくなってしまいます。元に戻るのに何週間もかかることもあります。だから、少しでも体を動かしておき、状態が悪くなるのを極力、防ぎましょう。特に呼吸です。これは体だけでなく、心にも言えます。常に楽観的に考えることが大切です。

 

 

○喉のケアと薬

 

 発声練習では、風邪の人がいたり、声帯の充血などで、風邪もひきやすくなります。マスクやのど飴などで予防し、うがいや手洗いをまめにしましょう。ぬるいお湯やお茶を飲むのもよいでしょう。

トローチの服用は、喉に炎症を起こしているとき以外は不用です。たくさん飲むと胃に負担になります。喉を強く刺激するようなもの(メントール系)もいりません。

のど飴は甘くなく、なめているというだけで、唾液の分泌を促すようなものでよいでしょう。

風邪薬の鼻水止めに効く抗ヒスタミン剤や咳止めは、喉を渇かせることがあるようです。(麦門冬湯や響声破笛丸という漢方薬をすすめる医者もいます。)

 

 

○生活習慣について声によくないこと

 

 どのようなスタンスで考えていくかということによります。舞踏家やスポーツ選手にとってよくないことは、発声にとってもよくないと思ってください。

寝不足では、声が出にくくなったり、喉にかかりやすくなります。ということは、声にとってもよくないということなのです。(しかし、一睡もできなかったからといって声が出ないわけではありません。)

ただトレーニング中は、毎日、自分の体調と声とを丹念にチェックしていくので、あまり不安定な要因をつくらないにこしたことはありません。毎日、同じ時間、同じメニュが理想的です。(目的に合わせて変えるのはよいでしょう。)

 

 

○判断基準をアップする

 

 ヴォイストレーニングは、基本を執拗なまでに繰り返す必要があります。ときには単調に感じて、やめたくなるときも出てきます。そういうときに自分に厳しくできる人でなくては、独習は難しいでしょう。

この厳しさというのは、ストイックということよりも、より厳しい判断基準をもって行なうということです。判断基準そのもののレベルアップこそが、決め手です。独習には、あなたにプロの耳と判断力が必要です。

何事も学んだから必ずしもよくなるのではないということを忘れないでください。長くいると、何事も学んでいない人よりもすぐれますが、世の中に問わないと、おごりや慢心が入ってきます。とはいえ、それも含めて本人の力次第なのです。

 

 

○レッスンの使い方

 

 トレーニングというのは基本的には自分でやるものです。それをチェックしたり、新しいアプローチやヒントを授かったりするために習いにいくのです。

 そこで、より深いこと、本物のこと、ある種の真理のようなものに触れ、自分の毎日行っていることの意義や効果を再確認し、そして、さらに修練を積んでいくわけです。

私は、そのようなことを自分で盗める場でなくては、あえて学びにいく必要もないと思います。つまり、いずれは、絶対に一人で行ったり他のところでできないことのためだけに、レッスンを使うようにしていくように、と思っています。

そこにいることで何かトレーニングをやっているつもりになるような、安心感しか与えないところでは、楽しい、落ち着く、親しみがわくだけで、当の目的とそれているのにさえ、気づかなくなっていきます。

自分でできることはすべて自分でやり、自分でできないことだけのために、トレーナーの才能をあなたが最大限に引き出して、使うことです。自主的に学べるようになることからです。

 

 

○一流作品での聞き取りを

 

 世界で一番、自分がうまいと思う人は、日本人のなかにはいないでしょう。ならば、徹底して一流の作品を鑑賞して聞き取ることです。

誰よりも細かいところまで読み取れ、大きな違いに気づけるようになることが、勉強としては一つのやり方です。漠然と聞くのでなく、そういうものを全身で真剣に聞くことで、感覚が変わってくるのです。(レッスンもまた、全身で行う時間です。そうして、格がついてくるのです。)

 

 

  • 鑑賞レポート

 

NO.1  タイトル(作品名)「            」

アーティスト名[               ]       

1.【意図、ポイント】感じたこと、伝えたいこと

       

2.【せりふ、詞】ことば、ストーリー、ドラマ、情景と、その描写など

       

3.【表現基礎】構成、展開、表現、解釈、メロディ、リズム、演奏、アレンジ、など

       

4.【声での表現】声質、声の使い方、みせ方、創意工夫、加工装飾、構成、展開など

 

5.【ことば(せりふ、詞)を記入してください】チェックしたいフレーズを抜き書きしてください。

 

「次元を行き来する」 No.369

赤ちゃんが、ハイハイをして、手すりなどにつかまって、ようやく立ち上がったとき、平面の2次元の世界から、立体としての3次元の世界に気づいたことでしょう。見える景色が違います。

人類が二足歩行を選び取ったのは、その感動からだったのではないでしょうか。

ずっと病や怪我で倒れて、ベッドで横になっていた人が、腰を起こし、立ち上がったとき、まさに、「クララが立った」ではありませんが、次元が変わる悦びを実感できます。

そのようなことは、1つ次元を下げた世界から戻したときに再認識できることです。

新しく初心者の人が入ってくるたびに、こうした世界の行き来を経験してきました。ありがたいことに思います。

« 2022年4月 | トップページ | 2022年6月 »

ブレスヴォイストレーニング研究所ホームページ

ブレスヴォイストレーニング研究所 レッスン受講資料請求

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

発声と音声表現のQ&A

ヴォイトレレッスンの日々

2.ヴォイトレの論点