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「絵巻物」(1) Vol.62

絵巻物は、紙や絹、麻をつないで物語などを連続して表現したもの。絵画とそれを説明する詞書。絵巻という形式は、中国の「変文」という経典の内容を説いた説話絵巻にはじまるといわれる。物語絵画の一種で、わが国独自の形式。

現存する最古の絵巻物は、奈良時代に制作された『絵因果経』、室町時代までは盛んに制作。巻き収める装丁形式の「巻子装」(かんすそう)の書物、経典、絵画作品などを「巻子本」「巻物」。中国で制作された絵画作品は「画巻」「図巻」。日本人作品であっても「唐画」に ついては、「絵巻物」と呼ばない。

 

<構図・画法>

吹抜屋台(ふきぬきやたい)、異時同図法、連続式構図、段落式構図

身分の高い者ほど顔をあらわに描かない。

礼拝の対象として導入された絵は、視覚に訴える。

 

<歴史>

12世紀、平安時代「四大絵巻」、『源氏物語絵巻』『伴大納言絵巻』『信貴山縁起』『鳥獣人物戯画』。金・銀箔を裁断した野毛(のげ)、砂状の金•銀箔の砂子(すなご)を撒き、金泥・ 銀泥で花烏などの下絵をあしらった料紙に、連綿体で書かれた詞書。

鎌倉•室町時代、歌仙絵卷、戦記絵巻、寺社縁起や高僧の伝記絵巻、室町時代に御伽草子絵巻の成立。

江戸時代、岩佐又兵衛、浮世絵師が春画絵巻

明治時代、下村観山『大原御幸』

 

命を守るコミュニケーション、畏怖の念、信仰や癒しの機能

絵画は、仏教とともに始まり、仏画として描かれた。

飛鳥・白鳳時代に絵画制作のための人材や素材が朝鮮王室の支援のもとに整備されたことに始まる。宗教の教え、為政者や特権階級の権威、庶民生活の記録や伝達、装飾、表現へ。律令制度の整備に伴い、画工司(えだくみのつかさ)という官営の絵画制作機構の設置。釈迦の前世と現世の関係を説いた『絵因果経』8巻本が絵巻物の祖形。

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