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「歌の裏ワザ」Vol.8

〇ハスキーヴォイスやシャウトは応用

 

 プロには、ハスキーな声の歌手もたくさんいます。私は、声が悪そうでも、鍛えられていて再現性がきけばよいと判断しています。しかし、ヴォイストレーニングでは、そういう方向を目指すのは稀です。

基本を習得し、あとでどこまで応用できるかで試すのです。その応用で許されるレベルに入っていたら、そういう声も、その人には使えるといえます。

声は声そのもので勝負するわけではないのですが、持って生まれたものを充分に生かすことです。自分のやりたいことや好きなことと、できることは(高いレベルでは)違うことを知ってください。

 

 

〇歌の芯

 

ハスキーな声もシャウトも、プロは歌の芯が見えているのです。つまり、息の線でしっかりと演奏しているものに音色(声)がついたといってもよいでしょう。楽器としての喉の確保ができていない人が、その声の音色や出し方そのものを真似るのは危険です。

 サッチモやジャニス・ジョプリンは、喉も強かったのでしょうが、使い方が理にかなっていたのです。ダミ声?とんでもありません。演奏として、理にかなった使い方が、結果としてできているからこそ、その声が柔軟に動き、そのパワーに多くのファンがいるのです。

 反面、ビロードのような声(プレスリーやシナトラの若い頃)は、もって生まれたものではありますが、理想的な声の美しいひびきです。喉の状態からみて、発声上は、こちらの声の使い方をお勧めせざるをえません。

 

 

○ハスキーヴォイス、シャウトの歌手

 

・ペギー・リー  ・シャーデー  ・ブルース・スプリングスティーン  ・ブライアン・アダムス  ・クリス・レア  ・トム・ウェイツ  ・レイ・チャールズ  ・ベット・ミドラー  ・クリス・コナー  ・ケイウンスク  ・内藤やす子 ・もんたよしのり ・葛城ユキ ・中村あゆみ 

 

ジャズでは器楽的な音として声を使うことが発達しました。

1920年代のジャズ

キャブ・キャロウェイ

 

ロバート・プラント

イアン・ギラン

デヴィッド・カヴァーデイル

 

ただ、大声を出すと、喉の調子が損なわれます。シャウトについても、

1.手本、2.選択、3.自分のベター、4.自分のベストという順で育てましょう。ドス声、おどし声、泣き声、怒り声、自分のもっているいろんな声のことを考えましょう。

 

 

〇声を伸ばすより切ること

 

あなたの歌いたい歌のなかで、どこで本当に声を伸ばさなくてはいけないのかを考えてみましょう。案外と伸ばす必要のない箇所が多いはずです。

 プロは歯切れよく、言葉を切って歌っています。伸ばすところは考えて伸ばしているのです。アマチュアの人はどこもかしこも伸ばして歌う人が多いです。歌にしまりがないのです。

ですから、最初に考えることは、伸ばすことよりも、できるかぎりリズミカルに言い切って歌えないかということです。その上で、歌い上げたいところ、伸ばしたいところを厳選するのです。お手本の歌手の通りに歌わなくてもよいのです。自分でアレンジして歌ってみてください。

 

 

〇声が固い、ツヤがないなら、出しすぎないこと

 

普段の声から固いという場合もあります。これらすべての声の固さ、ツヤがない、柔らかみがないというのも、その人の声の特徴というよりは、声がうまく使えていないために障害をきたしている状態です。

 大きな声を出しすぎている人は、トーン・ダウンしてみてください。特に高音はあまり出さずにゆっくりと歌ってみてください。そこで、リラックスして強い息を使わず、確実に声にしてみてください。かすれたり、声が割れたりするのはよくありません。

 声を柔らかくするトレーニングとしては、鼻音(カ、キ、ク、ケ、コ)やマ行を使うと効果的です。

 

 

〇マイクと音響での調整

 

マイクのポジションをチェックしてください。

大きな声で歌う人は、口からマイクを離しすぎることが多いようです。マイクによって声の固さ、柔らかさを調節してみてください。

最近では、声量のない人が多いので、全体的にヴォリュームを上げがちです。そこに大きな声を使うから、思わずマイクを遠ざけてしまうようです。こういうときはヴォリュームの方を調節するのです。

小さく高く出すのが苦手な人は、声を大きく出して、声帯に力が入っていたり、のを詰めているのです。

さほど大きな声を出さない人にも、歌うときにのどをしめつける人が少なくありません。小さな声しか出せない人は、ひびかないので、マイクを通すと固く聞こえます。

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