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「歌の裏ワザ」Vol.11

〇ステージの立つ前には、録画して入念にチェックする

 

かっこよく、歌い動き回るプロを真似ることを、とことんやってください。動きは、すぐには身につかないからです。

声を出さずに振りと表情だけで、なりきるのです。それを録画して、チェックして直してください。(これなら、声を出さないところでやれます。いつも鏡を見てチェックしてください。

声が出てなくても、歌っていなくても、歌っているように見えるように。音なしのプロモーション映像をつくってください。鏡は左右逆となるので、映像に撮りつつ、大きなスクリーンに投影できたら理想的です。(しかし、小さなモニターよりは大きな鏡がよいです。)プロもまた振り真似から入っているのです。

 

 なぜ声を出さないかというと、それでうまくいくのなら、もうステージをすればよいからです。パフォーマンスは、声や歌の、客へ働きかける力を倍増させるためのもので、声や歌だけでの(つまり、音としての)完成とは違ってくるからです。即興ライブと同じく、そこでのゆがみや変化、乱れが研ぎ澄まされた感覚のもとに自然に出てくるからこそ、人の心を一段とひきつけるのです。それは日頃から意図しておくことですが、あまり無理に形づくっておかない方がよいのです。

ゆがみや乱れのための基本トレは不要です。野球でもボール球をヒットさせたり、転がって片手でキャッチなど、ファインプレーのようなトレーニングはしません。ステージだからこそ、起きるかもしれない奇跡は、無私の心で挑み、起きたら捉えるだけです。

 

 ということで、姿勢は、発声のトレーニングなら、発声にもっとも適した姿勢で行います。というよりも、わかりやすく(チェックしやすい)、あとで必要な力が補われてくるという目的で行います。(これはチェックであり、力をつけるのとは、違います。)

 まず、下半身の安定です。体が揺れないように、あごはひきますが、喉を圧迫しないようにしましょう。そのために、首筋をまっすぐに立てておくことです。首と、背中と頭の後ろの線は、一直線上にしましょう。

 

 

〇本番でミスしないために、シミュレーションする

 

[リハ]ウォーミングアップして、録音します。時間をかけるより質を優先します。

録音チェック、ヴォーカルは声での集中限度があるし、翌日があるなら、負担を残さないことです。

スケジューリングが大切です。体調と喉の状態をいつも気にかけましょう。把握して管理できるようになりましょう。

[ライブリハ]モニタリング

ヴォーカルモニターのかえり、自分の声が聞こえないなら、バンドの音量を下げたり、大きく出しすぎないことです。大音量で聞こえないときは、体の感覚を頼ります。マイペースで、会場や客にあまり影響されないことです。自分の声中心に、ドラム(リズム)を返し、全てを返さない。

[選曲 メニュ]プログラム構成

 直前には変えないのが原則です。配分をしっかりと考え、試しておくこと。メリハリのつくように、並び替えましょう。

[コンサート]

 ホールの残響音は変わります。客が少ないとすごく返ります。冬は返りにくいです。

 

 

〇個性的なステージングをしたいなら、生き方のこだわりを出そう

 

 若い人に言っておきたいことは、他人の考えであまり左右されないでほしいということです。表現を支える基盤とは、あなた自身の生き方、生きてきたことのパワーの総合力というようなところがあるのです。

 歌は、二十歳でも、うまい人はうまいし、五十年、習っているといっても、へたな人はへたなのです。だからこそ実力派志向でいくなら、しっかりとしたトレーニングが求められるのです。

 

 毎日、自分のよい声をなるべく朝から使えるようにしましょう。すると、声も疲れません。よい声を出していると自分も元気になれるのです。声で気合いを入れたり、声でパワーを出している人もいますね。

 そのためには、早く体と心を目覚めさせることです。朝、起きたら深呼吸をして柔軟体操をします。首や顔の表情も動かしましょう。体を動かしながら、息をゆっくりと大きめに長く吐きます。

次に声を出して、喉や口のなかを起こします。ハミングしてから何かを読むのもよいでしょう(読経、朗読など)。急に大声を出したり、ハードに歌ったりするのは、やめましょう。  

これでふだんなら午後や夕方からしか、のってこない声が出せます。それだけよい声での一日が長く過ごせるのです。このように、呼吸や声のためによい習慣づけをすることが大切です。

 

 

〇途中で伴奏をミュートして歌う

 

ドラムやベースの音にあわせたあと、すべての音を消して、合っていることを確認しましょう。

アカペラで練習すると、ピッチやフレーズのキープ力がつきます。テンポも頼らないことではじめて身につきます。そこから、リズム、音程、メロディの処理能力をつけてください。

 

同時に歌うという感覚でも、聞いている人にはやや遅れて聞こえます。うまく聞かせるなら、曲の半歩先に出ている感覚で歌いましょう。メロディよりも早く出すぎてはいけませんが、若干の狂いは落ち着いて処理すればカバーできます。音は遅れたり、下がったりすると目立つのです。

Wa」なら、一拍目に「a」で合わせ、「W」をその先に出すようにします。

 

 

〇プロの映像とシミュレーションする

 

あがらず客をのせるには、大プロジェクターで観客席を写し、度胸をつけましょう。

大プロジェクターで、大観客の前で歌うシミュレーションをして、ステージ側からみることに慣れるのです。

ヴォーカルと同じように、ステージに出て、走り、アクションして、ひっこみ、MCする(最近では、格闘家のリングパフォーマンスがうまい)。するとしぜんと姿勢も表情も目線もよくなるでしょう。最高の表情を見せなくては、最高の声は出てこないのです。コンサート会場でなくとも、駅前広場や遊園地などのステージで、客席の方に向かって立ってみるのもよいでしょう。

 

 目は、開けて歌います。間奏の時や歌う合間に、意味を持たせられるなら閉じてみてもよいでしょう。

 曲のなかでの変化、場面が変わるところやバラードに入るところ、サビに入るところなどでは、ちょっとした動きを入れましょう。振りで伝えることも必要です。

 エンディングは最後までしっかりとマイクに向かって歌い、マイクをおろして一礼します。決してあわてないことです。

 ステージに出てくるときや曲の終わった後、足早に雑に動いて、せっかくの雰囲気をこわしている人がいます。ヴォーカリストは主役なのですから、いつもに増して、ゆっくり堂々と振る舞うようにしましょう。

 

 

〇マイクの扱いと種類

 

 マイクの持ち方

マイクは、親指、人指し指と中指の3本で軽く持ち、薬指や小指はそえるくらいでよいです。ギュッと強く握らないようにしてください。

・マイクを高く掲げないこと。(高く掲げるようにしてマイクを持つと上のひびきしかとらえない)

・正面に六〇度くらいで構える

・マイクを斜めに持たない

・口を近づけすぎない

 マイクは精密な機材です。次のようなことはしないよう。

・指でマイクの頭を叩く

・マイクを直接ものの上に置く

・マイクのヘッドを手で包む(上をおおうとハウリングを起こすことがあり、下をおおうとひびきが入りにくくなる)

 歌い終わったら、マイクは必ず、次の人に手渡しするか、マイク・スタンドに立てるようにしてください。マイクを投げておいたり、直接テーブルの上におくのは、タブーです。

マイクからノイズが出るときは、コードが痛んでいる可能性があります。マイクのすぐ下のコードの接続している部分が、接触不良になっていることもあります。抜き差しして、だめなら交換しましょう。コードを引っ張ってはいけません。一本、自分専用のマイクをもちましょう。衛生的で、傷むことも少ないからです。

 

スタンドマイクはハンドマイクより難しいので、初心者はさけましょう。

声量のある人は、こぶし一つか二つ、声量のない人は半分くらい、口とマイクを離すとよいでしょう。

サビで声を張り上げるときは、口元から一直線上にマイクの軸がくるように離していきます。逆に、語り口調になるときは、口元に近づけたほうがやわらかく聞こえます。

 

[単一指向性マイク]

ヴォーカリストの使う標準的なマイクです。一定の方向の音を強くとらえるため、マイクを向けた方向の音をメインにとらえます。ヴォーカル以外の雑音が入りにくいのが利点です。

声を出す方向に常に向けておきます。向きによって、声の入り方が変化するので注意しましょう。

アクションをつけると、マイクが別の方向を向き、声があまり入っていないことにならないように気をつけましょう。コードを持ったりからませたりしないようにしましょう。

 

[ワイヤレス・マイク]

 アクションをつけたりステージを移動するのに、コードがないので便利です。しかし、ノイズも拾います。

 

 

〇選曲には、持ち味が出るものを入れる

 

自分の声にあった選曲をしましょう。客が感動、満足するものを優先したり、意外性でいくのも一つのやり方です。

選曲の理由としては、次のようなところでしょう。

・好きな曲

・音域があっている曲

・曲の詞の内容が雰囲気が、自分に似合う曲

・聞いている人がのりやすい曲

・無難な曲(スタンダードなナンバー)

・他の人があまり歌わない目立つ曲

・オリジナル曲

 

 歌うときに大切なのは雰囲気です。選んだ歌の表現する世界とあなたのキャラクターがあまりにかけ離れていると不利です。歌は、単に歌えたらよいわけではなく、その人に合っていることが肝心です。

 

 とはいえ、あまりその人の声質に似た人の曲ばかりを歌うことはすすめたくありません。たしかに似ているのは有利かもしれませんが、あなた自身の表現こそが期待されているのです。

「案外、いかす」とか、「あなたが歌うと変わった味が出るね」とか、自分の思いもしなかった曲に誰かが魅力を感じてくれたとしたら、その曲を大切にするとよいでしょう。

本人が好きな曲よりも、まわりからこういわれているうちに本人も好きになっていくような曲の中に、その人の本当のオリジナリティーの出る曲があるように思います。似合った歌を歌うことよりも、「まさか、この人が」という意外性がよいのです。曲づくりのときにも念頭においてください。

 

 

〇リヴァーブのかけすぎ、ボリュームの上げすぎを防ぐ

 

音響効果(リヴァーブ)をかけると、どんな声でも一応、歌としての格好がつきます。そこで最近はプロもリヴァーヴをけっこうかけています。しかし、これですべてがよくなるわけではありません。むしろ、次のようなデメリットが出てくることを覚えておいてください。

・歌詞が聞き取りにくくなる

・ストレートに感情が伝わりにくい

・メリハリがなく、モアモアした感じになって切れが悪くなる

・ 言葉が遅れて聞こえるようで、リズムがさえなくなる。

・声の音色、インパクト、パワーがぼやける

 

声の音色そのものの魅力が伝わりにくいということです。

 そこで、うまい人ほど、あまりエコーをかけないようになります。せっかく歌った歌を生かすも殺すもリバーブしだい、適切に調節して抑え、必要以上にかけすぎないようにしましょう。

 

自分の歌っている声が大きく聞こえないと歌っている気にならないせいか、目一杯ヴォリュームを上げる人がいます。うまさが半減して、まわりの人は疲れてしまうことも少なくありません。

人は静かに聞こえてくる音には耳をすまし、うるさい音には拒絶反応を起こすからです。しかも音が割れたり、ハウリングしやすくなり、歌が十分に生きません。適度な声量で歌って実感できるように、自分の体で知っておくことでしょう。

バンドも含めての練習では音量を下げることと、自分の歌をよく聞くことで、ていねいになり、うまくなるものです。

 

 

○ハウリング

 

 ハウリングは、スピーカーの音をマイクが拾って、ブーンとスピーカーが鳴る現象です。スピーカーの方向へマイクを向けなければよいのです。キーンと高音が響くなら、高音ボリュームを下げます。このハウリングは、複数のマイクを同時に使うとき、それらのマイクをくっつけすぎても起こります。

 

[ハウリングの対策]

・マイクをスピーカーから離す。単一指向性マイクを使用し、スピーカーの方向へ向けない。

・スピーカーの方向を調整する。

・マイクに近づいて歌う。手などでマイクの後部(ネット後部)をふさがない。

・イコライザーなどで周波特性を変える。(ハウリング・サプレッサー、グラフィック・イコライザー、パラメトリック・イコライザーなどでハウリングを発生させ、その周波数の値を下げていくと音質の劣化を防げます。)

・ディレイ装置を使う。

 

 

〇視線、動作、マイクを持つ手に注意

 

[ステージパフォーマンス]

目線-語りのときはまっすぐ前を、サビの部分は遠くを見つめるなど工夫しましょう。歌っている間、ときにはいろいろな方向に視線を使い分けることも大切です。

あがりやすい人は、マイクの中に歌うとか、少し遠くの人を選んで、その人に聞かせるつもりで歌うとしぜんに見えます。

 

手の振り-サビのところとエンディングだけ、少し手を伸ばしてみるだけでもだいぶ違ってきます。また、語りのところや心を特に込めたいところは、左手を胸に置いたり、両手をマイクに添えたりするのも効果的です。

 

ステップ-足をリズムに合わせて動かす。

間奏のときには、マイクは口元から離すようにします。少し動いて位置を変えたり、向きを変えてみるのもよいでしょう。マイクを持ち変えるなど、ちょっとした動きがあってもよいでしょう。

歌のムードを維持したり、高めたりするのに、変じるのは両刃の剣です。余計なことをやって雰囲気をこわさないように気をつけます。じっと立っているというのも一つの演出です。

 曲の出だしや間奏の後の出だしの時は、前もって少しずつマイクを口元に近づけていくようにしましょう。

 

ファッション、メイク(汗に強い)に加え、アクション、振りを考え、ステージを大きく使いましょう。

きれいにうまく歌おうと思わず、キャラ、味を出し、お客さんと触れ合いましょう。

・マナー、時間厳守、裏方さんに声をかけよう

・レコーディング、総チェックの場、ライブよりもレッスンに近い

・トラブルには、最善の処理

・ミーティング 反省会をする

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