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2023年3月

閑話休題 Vol.72「日本酒」(1)

<分類>:ラベルに表・裏・肩。特定名称とは吟醸酒、純米酒、醸造酒などの種別。醸造酒は日本酒、ワイン、ビールなど原料を酵母によってアルコール発酵させ作った酒。

蒸留酒:焼酎、ウイスキー、ブランデー、ラムなど醸造酒を蒸留して作った酒、アルコール度数が高い。

精米後の米の割合によって吟醸(60%以下)、大吟醸(50%以下)、一般酒(70%程度)に分類。

酒度は、水の比重を0としてプラス10からマイナス10。「酸度」コハク酸や乳酸などの酸の総量。酸が多いほど辛口。「アミノ酸度」アミノ酸が多いほどコクのある味。一万もの銘柄があり、銘柄は蔵元の屋号、土地が誇る山や川、縁起のよい字など。「正宗」が多いのは、1840年、灘の造り酒屋の6代目当主、山邑田左衛門(やまむらたざえもん)が、経典の「臨済(りんざい)正宗(しょうしゅう)」の「正宗」の音読み「せいしゅう」が、清酒の「セイシュ」に似ていることで、つけた。

焼酎:甲類は原料を連続的に投入する連続蒸留(≒ウオッカ)、生産性が高く素材の風味はあまり残らない。乙類は蒸留を数回に分けてその度に原料を投入する単式蒸留(≒モルトウイスキー)で、生産効率がよくないため価格が高く、素材の風味が強く残る。「御神酒」焼酎とともに「國酒」。芋焼酎:さつま芋、18世紀半頃から鹿児島。米焼酎:江戸時代中期から。熊本県の球磨地方。泡盛:15世紀頃から沖縄県。麦焼酎:江戸時代後半、余った大麦を自家用として。長崎県の壱岐。お屠蘇:漢の時代の中国 数種類の生薬を清酒や味醂に浸して作る薬酒、無病・長寿を願って飲む。9世紀頃、中国から伝えられた。平安時代に漢方薬を調合した薬酒「屠蘇散(とそさん)」から。どぶろく:甘酸っぱく濃厚、発酵したもろみを搾らないためどろりとしている。「十二六(じゅうにろく) 甘酸(かんさん)(ほう)(らく)」(長野県)。

 

「口噛み酒」、アニメ映画「君の名は」(2016年)でヒロイン、宮永三葉(巫女姉妹の姉)が神事で米を噛んで吐き出し作る。漫画「もやしもん」にも。噛むから醸す=酒造りのこと。弥生時代に麴カビが発見。

「歌の裏ワザ」 Vol.15

○こぶしと節回し

 

 こぶしとは小さな節回し(メロディの抑揚など)のことで、一音のなかで高低に少し揺らすということです。こぶしを回すといわれるように、その音を動かす感じです。

 それに対して節回しというのは、もう少し軽く、リズミカルに音を移行させるところで、ちょうどスラーの短いもののような感じとなります。一、二音をすばやく、スムーズに移行させると、一音のように聴こえます。表現力が豊かに、大きなフレーズに聴こえます。演歌などにはよく出てきます。

 

○ハミングと「ん」

 

 演歌ではよくナニヌネノの出てくるときに、さりげなく「ん」をつけて、鼻にかかった音を強調しています。(北島三郎、都はるみ、美川憲一など)つまり、「ん」は感情を入れる役割を果たしているのです。たしか、浪曲にはタンガタンガタンガといったうたいまわしがあります。「ん」は口を開けられないので、詰まった音になりやすいのですが、響かせることができれば、歌全体がやわらかくなります。鼻母音もうまく処理できるようになるでしょう。

 

 「ガギグゲゴ」の前に「ん」をつけると、誰でも鼻濁音をきれいに出せます。「ナニヌネノ」の前に「ん」をつけると、日本人の感情に訴えかける表現となります。「ン泣く」「ン憎い」といった具合です。「ん」で音域のとれるところは、だいたい他の音でも問題なく発声できますので、自分の声域の基準にしてみるとよいでしょう。

 

○「ッ」(促音)を生かす

 

 声楽などをやっている人がポピュラーを歌うときに、「ッ」と言えずに「ー」で伸ばしてしまうのです。それでもマイクを使うと「ッ」といえるのです。間をつくって、この音を飲み込んでしまうとよいのです。

 「あーって」「もーって」と、外国人のように歌っている人も少なくありません。

 どうしても歌いにくいときは「ああって」「もおって」と、間に母音を入れます。促音は舌を上の歯ぐきの裏側につけて、音をはじきます。

 「キス」と言ったときに、「ス」の音は息になってしまいます。しかし、マイクを通すときちんと聴きとれます。これを「キイスゥ」と言う必要はないのです。

 

○演歌は、日本人の感情表現の宝庫

 

 スピード感、切り返し、浮遊感、浮き(感情移入)を学びましょう。

北島三郎の「函館の女」

森進一「おふくろさん」、「影を慕いて」

細川たかし「北酒場」

三波春夫「大利根無情」「元禄名槍譜 俵星玄蕃」

藤圭子「新宿の女」

村田英雄「王将」

天童よしみ「珍島物語」

吉幾三「雪国」          

美空ひばり「みだれ髪」 

 

 

○日本の歌唱の変容

 

日常の生声からなかなか抜け出せないのが、J-POPのヴォーカルです。今の日本の歌は、同世代の代弁、共感を日常レベルに同化してまとめあげるので、声も歌唱もアーティスティックに昇華しないのです。

よくなる人は最初からよかった人、よくならない人はずっと変わりません。

 外国人がみると、多くはまったくあっていない高すぎる声と、速すぎるテンポで歌っているのです。それゆえ、私はプロとしてやっている人は認めても、それを目指す人の声の見本にはとらせていません。

生来の声で世の中に受け入れられた人や、かなりくせのある使い方で歌う人を手本にしては、似ても似なくても通じるようにならないからです。でも、二番、三番煎じで通じるパターンも多いようです。今や、リヴァーブに頼る生声、くせ声と、高音、ファルセットが主流になりました。

 

○くせ声

 

 今の限界を破るのがトレーニングですから、チャレンジするのは、大いにけっこうです。いろんなメニュを使ってください。しかし、誰かの歌を誰かのように歌おうとして獲得しても、あまり使えないでしょう。

 今のJ-POP周辺では、高い声の出し方そのものがくせ声です。音響技術でカバーしているので、レコーディングに耐えるのです。とても安易なつくり方になりました。ファルセットの使い方も同じです。共に声やことばの表現としての成立と無関係のところです。

トレーナーも同じで、音響加工しないと使えないような代物を見本にしていては、人によっては合わない人、できていかない人の方が多くなるでしょう。

 

○シンプルにする

 

 私は、声のコントロール力や扱える声の自由自在の魅力を第一に考えています。高い声を求め、誰もが同じように、付け焼刃で行なう方法には、目標そのものに疑問を持たざるをえません。正確にあてて、美しくひびく、日本の合唱団のような声を習得しても、その先にはいけないからです。

でも現実面、相手の状態をみないで与えるアドバイスは一般論にすぎず、すべて有効なのは各論(個人別のそれぞれの問題に対するそれぞれの対処法)です。やり方に対して、やり方を考えて、複雑にしていくのはおかしいと思ってください。何ごともシンプルにしていくためにトレーニングするのです。

 

○レッスンでのライブ

 

何事も固めていかない、固くしないのが原則です。ところがヴォイトレ自体、目標の固定、メニュ、練習方法などが固定されていることが多いのです。だからこそ、自由な時間をとることが大切です。

 私はレッスンは、音のライブの場(トレーナーが厳しい客)の経験をつむところとも思っています。アカペラ、ライブ、ステージ経験として、ずっと厳しいところであるからです。

 舞台で(ライブで)音声で表現する、この3つを問うレッスンが必要なのです。

そのためのトレーニングは、常に自分の心身状態に合わせて変えましょう。より多くを気づき、変えていくために行うのです。

 

○発声のテクニック

 

 ファルセットというのは、かつてはかなり高音について特別な効果をもたらすために使っていたのですが、安易に多用されてきたために、まねのできない人の混乱する一因になっているようです。

トレーニングは基本に基づきます。基本というのは、できるだけいろんなものをシンプルなもので行い、チェック基準そのものをアップして、感覚を鋭くするのに狙いがあるのです。

ですから、ファルセットは応用の応用として、歌でそんな気になったらやってみて、よければ使えばというくらいの位置づけのものだったのです。

 その類のものには、ビブラート、シャウト、スキャットなども含まれます。つまり、歌っているなかで、感覚やイメージでひらめき、声がそういう線に動きたくなったら、しぜんと出していくもので、頭で考えてやるものではないのです。

日本人は、海外のそういうのをみてかっこよいからまねる。そういうのをみている客が、(似てて)かっこいいと思って受け入れる。それはよいのですが、それだけでOKにするのではあまりに甘いでしょう。

「基礎教育のためのヴォイトレ」 Vol.7

○声の使い方でイメージは変わる

 

 元々もっている声そのものよりも、声の使い方で、ずいぶんと声のイメージは変わるものです。

態度と同じで、つんつんしているとか、甘えているとかいうことは、声にも表われるのです。

 ものまね芸人をみると、表情や態度が声に大きく影響してくるのです。

 

  • 身体、性格(元々の声、声帯)

2.態度(表情のつくり方)

声の使い方(声やことばの使い方)

 

 自分の声のなかには、どういう声があるのかをチェックしてみましょう。自分の声は、一つしかないということはありません。誰でもたくさんの声をもっています。

 怒った声、泣いた声、笑った声は、違いますね。笑った声でも、腹の底から笑った声と、少し笑った声ではまったく違います。

 小さな子どもをみてください。自分の感情にまかせて、さまざまな声を使っています。

 

 自分の声のさまざまなパターンとその効果を知っていくと、あなたの表現力、コミュニケーション力は、格段に高まります。TPOによって、声を使い分けましょう。その声に気をつけてみてください。

 

○声で成功する

 

 声には、その人の自信が現われます。羽振りのよかった社長さんの明るく元気な声は、倒産してからは暗い沈み込んだ声になります。

 あなたのうれしさ一杯のときの声と、悲しいときの声は、違いませんか。別人のように変わるのは、顔や体ばかりではありません。声もまた、大きく変わります。

 声は無意識のうちにも変わります。ショックなことがあって、声の出なくなる人もいます。

また、声は、意識的に変えることもできます。

「オレオレ詐欺」のように、他人になり切った声で、人をだましたり脅したりすることもできます。本心とは別に急に甘えたり、かわいく振る舞うこともできます。

 つまり、相手の心を知るため、だまされないためにも声について知ることと、声をうまく使えるようになることは、大切なのです。それによってコミュニケーション力は大きく違ってきます。その結果として人生も違ってくるのです。

 

○声の効果・影響

 

 無意識下の声の表わす働きを多くの人は詳しくは知りません。顔や態度は、少し経験を積むと正しく判断できるようになってきます。まわりをみて学んでいくからです。しかし、声は知る人ぞ知る、それに鋭い人は気づきますが鈍い人は気づきません。

 一般的に男性よりも女性の方が鋭いです。男の嘘はバレるが、女の嘘はバレないそうです。「男性はことばで嘘をつくが、女性はことば以外で見破る」というのが定説です。

 つまり、ことばからでなく、声からその人の真意を見抜く力がつけば、第六感みたいなものが冴えるのです。

たくさんの人と会っている人は、こういうノンバーバルなところから人を見抜く眼に長けてきます。表面的なことだけで、ことばを信用しなくなります。

 逆に声がよかったらどうでしょう。カラオケでも、一所懸命歌わなくては通じない人と、声のよさで惹きつけてしまう人は、歌の勝負前に大きな差があるのです。勝負以前で勝ちに持ち込める、これが声の強さです。

 声そのものがよくなくても、自分の声とその使い方を知れば、何とでもなるので安心してください。まして、多くの人がそんなことは知らないのですから、あなたは、とても多くを得ることになるでしょう。

 

○声はたくさんの情報をもつ

 

 たった一つの声でも、そこから知ることのできる情報は、たくさんあります。電話やスマホで考えてみましょう。

 たとえば、留守電に「またあとで、かけ直します」と、声が入っていたとします。

 あなたはきっと、それが誰からきたのかわかりますね。自分に電話をしてくる人のなかから、声だけで判断して相手を特定することができるのです。メールなら、そこにアドレスや名前がないとわかりませんね。

 知らない人から、電話がかかってきたとします。あなたは相手が男か女か、年をとった人か、若い人か、ある程度、性別や年齢などを予想することができるでしょう。 その語調、声の調子から、そのことばに込められた意図や気持ちもわかります。

 不服そうだったり、優しそうだったり、すごく急いでいるようであったり、ことばの内容以外の情報をとれるのです。

ということは、逆に考えてみると、あなたからも、相手はそのようなメッセージを受けとめているということです。

 

○なぜ、自分の声を自覚しないのか

 

 でも、他の人の声で、たくさんの情報をとっていながら、自分の声が同じように相手にたくさんの情報を与えていることに、あまり意識しないのは、なぜでしょうか。

 まず、声は発したところから消えてしまうことがあげられます。メールや手紙のように、そこに残らないために見直すことができません。

 もちろん、今は、録音して再生することができますから、聞き返すこともできます。しかし、あまりそういうことをしたくはないでしょう。何となく自分の声が変に聞こえるからではないですか。

 その声に慣れなくてはいけないのに、じっくりと聞かないのですから、よくわからないのは、当然です。

 それと、言ったことは、もう伝わったと思ってしまうからです。本当は、言うことと伝わることは、まったく別なのです。

 言ったつもりでも、理解しようとして相手がわかってくれなくては、伝わらないのです。これは、コミュニケーションギャップの問題です。さらに間違って伝わることもあります。

きちんと伝わるなら伝言ゲームは成立しません。ことばさえ正しく伝わらないのですから、ニュアンスや態度などまで、そう簡単に伝わるものではありません。

 

○書きことばと話しことばは違う

 

 私たちは、文字で書いたものをそのまま音声にして同じに話していると思っています。しかし、必ずしもそうではないのです。

 たとえば、「日本」、これを「ニッポン」という人と、「ニホン」という人がいます。どちらが正しいというのではなく、人によって場合によって、前後のことばによっても、変わるのです。

 しかし私たちは、文字では「ニホン」と振ります。「NHK」は、どうでしょう。辞書でひくと、「エヌエイチケー」ですが、実際は、ほとんどの人が「エヌエッチケー」といいます。「エヌエチケ」「エネーチケ」という人もいます。どれも間違いではありませんが、文字では、そのように書かないでしょう。

 「私?」、これも実際は「あたしぃ?」などと使われていませんか。「わたくし」というのは、限られた使われ方ですね。

 ラ抜きことばといって、「みられる」「たべられる」を「みれる」「たべれる」という人も増えています。

 ことばは時代とともに変わっていくのですが、その基本的なところで表わしたのが、書きことばです。それが時代についていかないことも多々あるのです。方言は、日本語の五十音だけでは正しく表記できません。外来語も同じです。

 つまり、同じ日本語でも書きことばと話しことば、文字と声の世界は、違うのです。声のもつ多彩な表現の一部を、文字は表わしているとみた方がよいでしょう。

(たとえば、日本語の発音に、外国語の音がたくさん入っているのに、私たちは、ほとんど認識していないのです。)それで何の不便もないからです。

「問い」 No.379

問いについて、よいとかと悪いとか 基準になる指標になる尺度が必要です。

問題や質問には、答えがあるかもしれません。

しかし、課題やテーマ、目標には、答えはないのです。

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