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2023年5月

閑話休題 Vol.74「日本酒」(3)

<普及>資格制度:日本酒唎酒師、国際唎酒師、日本酒学講師、国際日本酒講師/ワイン教育機関WSETでも日本酒講座を開設/日本ソムリエ協会(JSA)は日本酒資格「SAKE DIPLOMA」認定

1911年~日本酒コンクール「全国新酒鑑評会」/2009年~「全国燗酒コンテスト」/2011年~「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」/2012年~「SAKE COMPETITION」(実行委員長、中田英寿)/観光庁「酒蔵ツーリズム推進協議会」を設立。/「SoftBank Innovation Program」ソフトバンク株式会社/「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」/「JAPAN CRAFT SAKE COMPANY」中田英寿/SAKEフェス「Craft Sake Festival」/日本酒検索アプリ「Sakenomy」/2014年、安倍首相からオバマ大統領へ贈られた「獺()(っさい)」旭酒造(山口県)の最高峰「獺祭 磨き その先へ」/2018年、純米大吟醸酒&純米吟醸酒部門プラチナ賞受賞。33千円。

 

<温度>いろいろな温度で楽しめるのは日本酒だけ。温度によって味や香りの変化を楽しむ。[冷酒]5~10℃すっきりした風味。/[常温]20℃収斂性の酸味のち苦み。/[人肌燗]3537℃味が後退した結果、まろやかな酸味、甘味が強まり、やわらぐ苦み。/[ぬる燗]40℃苦みがぐんと減るためきれいな酸味。/[熱燗]50℃酸味が強まり味のバランス崩れる。

関西では、北前船により昆布を入手。出汁の味を濃厚に使う出汁文化。江戸では、酒は杉樽で運ばれ、杉の香りが強い酒となり、木の香りを消すために塩味の濃い味の料理となる(江戸の濃口醤油へ)。上方から江戸に下ってくる酒として「下り酒」→「くだらない」。酒器を楽しむ「徳利」「御銚子」「片口」。注ぎ方「ソビバビソビ」「鼠尾馬尾鼠尾」あふれるほど注ぐ「もっきり」。「お酌」「差しつ差さされつ」。

 

<俗説、その他>酔いやすい:アルコール度数は15度。/太りやすい:日本酒に多く含まれるグリシンやアラニンは胃液の分泌を促し食欲増進。/肝臓への負担が大きい:酔いやすさからきたイメージの可能性。

 

<その他>ヤマタノオロチに飲ませた「八塩折之酒(ヤシオリの酒)」 ゴジラを倒す「ヤシオリ作戦」

日本三大酒神神社:大神神社(奈良)、梅宮大社(京都)、松尾大社(京都)

江戸時代1698年、全国に27千場の酒造場。2018年には1,580場。

最も古い日本酒メーカーは、1141年創業の須藤本家(茨城県笠間市)

値段の高い酒「純米大吟醸光明(こうみょう)山田錦」(山形県)22万円。

日本酒の輸出総額は10年(20092019年)で3倍(71.8億円から234.1億円)。

海外で人気「梵の初雪しぼりたて五百万石」(福井県)。「美田」(Biden):栃木、福岡。

 

参考:「外国人にも話したくなる日本食」永山久夫(KADOKAWA)。「教養としての日本酒」友田晶子(あさ出版)。週刊現代2020.12/20

「歌の裏ワザ」 Vol.17

〇正誤問題ではない

 

 歌について、正しいか間違っているのかをとても気にする人がいます。歌うのは、アーティストの活動ですから、その練習は、あなたがこれまで受けてきた日本の非創造的といわざるをえない教育とは、逆の考え方をしなくては、見えない壁をやぶれません。

アートの世界では、すぐれている人ほど、正誤ではものごとを捉えません。何をしても、自分がしたら自分の正解となり、そこに間違いは生じないからです。

どんなことでも、やったことが自分のみならず、他の人にも正解となって示せるのがプロです。そのために、ひたすら感性とものの本質をみる眼(というか耳)を磨くのです。

 ところが、練習法とかトレーニングをそれだけで考えるところから無用の混乱が起きます。そういうことを教えよう、受けようというレッスンでは、正しいやり方があると信じる限りにおいて、そこでトレーナーとの二者間でのみ、成り立っている練習法にすぎないものです。私はそれは、そこを離れて通じるものにしなくては、と思っています。

 

〇問題とする

 

好きなヴォーカルの曲を高すぎるキーでまねたり、大声をはりあげて歌い続けると、カラオケ・ポリープのように喉を痛めます。室内の汚れた空気なども原因の一つです。

レッスンは、そういう対処法を知るためにも行うものです。

漠然とレッスンを受けるのでなく、それぞれの状況に応じて自分なりにもっともよいメニュを編み出していくのです。あなたが、主体的に考え動き、決めてこそ、何事もうまくいくのです。

 

どこが問題かわからないという人は、どこも問題がないと思っている人よりも判断力は上です。(問題がない人はいないので)、明らかに問題がある人というのは、素人が聞いても下手といわれるのですから、わかりやすいものです。そのギャップは、トレーニングしだいで直っていきます。

むしろ人並みに歌えるようになったり、プロとなってからの方が、この問題は深刻なのです。

といっても、芸事ですから、当人の目標レベルまでということでよいわけです。(そのため、自己満足でそこまでしか伸びない人ばかりですが・・・)

 

 私が思うに、ヴォーカルは10年のプランニングをなかなかたてられません。ちょっと器用に歌いこなせるようになると、まわりからはうまいとほめられる。プロでも、ポップスでは、具体的に注意されることはあまりありません。

しかし、日本のヴォーカルは、プレイヤーに比べ、国際的にレベルが低いのは事実です。

もちろん、私は日本のヴォーカルを否定しているのではありません。トレーニングに関心のある人に、基準を与えるために、その立場で述べているのです。

それで本人がよければよいのです。歌によしあしやうまいなどというのも、もともと存在しないのです。今のままの自分の歌では嫌だと本人が思ったときに、はじめてそれが解決すべき問題になるのです。

 

〇サポート

 

 私がみて、日本に限って言うならば、トレーニングで効果を出した人と、プロとして成功した人とは必ずしも一致しません。

それには、エンターテイメント、ショービジネスとして、あるいはミュージカルとして日本人が求めるヴォーカルやアーティストと、世界レベルとのズレでもあるのですが。

 トレーニングというのは、効果を出すためにあるのです。しかし、その効果はトレーナーの目指すものでなく、本人の求めるものでなくてはなりません。

本人が求めるべきものがはっきりとわからないから、トレーナーがサポートしてあげるのはよいでしょう。

しかし、本人が、(とはいいませんが、トレーナーも含めて)可能性のないところに目的をもつ人が少なくないのです。声をしっかりと出せないうちに高音獲得競争などに走る人も少なくありません。

 トレーニングは、続けることで、可能性を引き出すためのものです。本当のトレーニングは、器を大きくするためのものです。

 

〇発声のキャリア

 

ヴォイストレーニングをしないと、しっかりしたヴォーカルになれないと思い込んでいる方がいます。「どこに行けばうまくなれますか」と。とても熱心なのはよいのですが、そのまじめさが裏目に出ることも少なくありません。そうした思い込みは、はずすことです。

 

 発声というと、習いにいってゼロから学ぶように考える人が大半です。ここには、多くの人が「初心者ですが」といらっしゃいます。最近はプロにも「ヴォイトレは初めてなのですが」といわれ、苦笑せざるをえません。

というのは、発声もヴォイトレも生まれてすぐに、誰もが生まれた年月分はやってきているともいえるからです。つまり、すでに使ってきた歴史を無視して始めるものではないのです。もって生まれた体と使ってきた声、ことば、感覚を無視しては、先に進めません。

 

一方で、役者やヴォーカルには、ヴォイトレをやっても何にもならないと思っている人もいます。どうも人のところに習いに行くのがヴォイトレと思われているようなのです。私の考えでは、せりふや歌の2、3フレーズの練習を繰り返しているときは、それもそのままヴォイトレなのですが・・・。

 ですが、ヴォイトレなど必要がないといったら、それも本当です。

あなたの声は聞こえるし、日本語も通じるし、歌も歌えますね。生きている年月分、練習して実践で人に対して使ってきているのですから。

そうでなければ、十代半ばでそこまで大して何もやっていないのに、オーディションだけで役者として主演に選ばれたり、デビューしてヒットさせるような人は出ないでしょう。他の分野に学んだ芸暦なしのプロなどいますか。

でも、それで選ばれた人は、その感性でそこまで生きてきたのです。彼らには、イメージがあるので、あとは声という楽器が対応できるかどうかだけ、そこで、器用にうまく心身が対応できた人たちとみるべきでしょう。そうでなかった多くの人には、ヴォイストレーニングが必要、彼らも天然で得られたところから、上にいくのなら、基礎からのトレーニングが必要と思うのです。

 

〇ヴォイトレはリフォーム

 

私は、プロ相手のヴォイトレは、プロデューサーの感覚も含めて、声楽家の基礎レッスンを併用してやります。前者は応用として、ステージングのために、後者は基本としてフォームづくりと器づくりのために心身のリフォームなのです。

 発声も呼吸法も体も皆、普通に生きていられるということは、最低限、身についていることなのです。しかし、ステージで求められるものは、日本人の日常での声の力からみるとかなり高度で、特別なのです。

しかも、歌などは、欧米の影響下にあるために二重にギャップがあるのです。

そのため、私たち日本人は、いろんなノウハウを取り入れ、それっぽく対応してきたのです。多くのヴォイトレも声楽も、そこに位置しています。そのために混乱というよりも、形の受け売りで、思い込みの中だけで行なわれているケースが多いのです。

 私は、そこに正解を求めません。あくまで個として、その人の声の活動領域が広がる可能性を求めて、使えるものを何でもコーディネートして成果を出すように処法してきました。年々と方法もメニュも変わっています。

 

「基礎教育のためのヴォイストレーニング」 Vol.9

〇日本語は百音以上ある

 

 五十音図ということばは、聞いたことがあると思います。ア、イ、ウ、エ、オの5つの段に、ア、カ、サ、タ、ナ、ハ、マ、ヤ、ラ、ワで、行段の総和5×1050音というわけです。歴史的仮名遣い(旧仮名遣い)です。

ここで、おかしいことが3つあります。

 ヤ行は、ヤ、ユ、ヨで、ワ行は、ワだけしかない。ンが入っていない。

 でも、ワ行のイ、エ、オは、ヰ、ヱ、ヲで、昔は違う音でした。文字のイウエは、重複します

 つまり、音数では、47、イロハ(伊呂波)…の47文字となるわけです。そこから先ほどのワ行のイウエをのぞくと、44。ヲも発音ではオと同じですね。

でも、日本語にもそれ以外に、たくさんの音があります。

 

〇音節(拍、モーラ)と単音

 

 日本語の最小単位は何でしょう。日本語をニホンゴとひらがなで書くと、ニ、ホ、ン、ゴという四つの文字、そのニやホが一つの単位のように思えます。

 数えてみると、ニホンゴで4つ、同じ長さで4つの音が並んでいます。これを4音節と数えます。

 それでは、「汽車ぽっぽ」はキシャポッポ、これは6つの文字ですが、読むとキ、シャ、ポッ、ポで、4音節ですね。4拍という方がわかりやすいかもしれません。

 それでは、ローマ字で表わしてみます。ニホンゴは、Ni Ho N Go、汽車ぽっぽはKi sya pot po(ッはtu ttuなど)、ここで、kstnhmyrwは子音、母音がaiueo、その2つのそれぞれを単音といいます。その組み合わせで「ka=か」となります。kaのそれぞれは、単音といいます。

 

〇直音と拗音

 

 直音というのは一つの文字が一拍で数える音です。先の五十音図の音はすべてそうなります。

 しかし、小さいャ、ュ、ョがつくと、キャと二つの文字を使いますが、一つの発音(一拍)です。

 ン、ツ、ーは、それぞれ撥音(ン)、促音(ッ)、引く音(ー)といわれる特殊拍です。

外国語では、これを一拍とはしません。たとえばホンで二拍になる日本語に対して、HONで一拍です。

 しかし、日本語では、遊びのとき、グリコで3拍はともかく、パイナップル、チョコレートは、6拍分となりましたね。本当は5拍です(拍の長さが均等になることを等時性といいます)。

 

〇学級文庫っていえますか

 

 指で唇を左右にひっぱり、「学級文庫」といってください。ブからウになって、おかしなことになります。唇をひっぱると、バ行のバビブベボは、アイウエオになります。マ行、パ行もです。

つまり、この3つの行は、唇を使うから、使わないようにするとできないのです。次に「アカサタナハマヤラワバパ」というと、マ、バ、パができません。唇を使わないと発音できない。そこで唇の動きがみえては困る腹話術師が苦労する音になっているのです。

 これを、唇で音をつくっていた、(調音[構音])といいます。

 ブンコのブはBu、これがuになるのは、Bが欠けたからです。Bは子音、uは母音です。これは逆に、uBをつけたとみることもできます。

 

〇父音はなぜ消えた

 

 かつて、今の子音を父音とよんで、たとえば「母音aに父音Kがつくと、子音Kaが生まれるなどとしていたときがあったそうです。  

さて、母音はアイウエオというのはわかりましたか。それでは子音は、カキクケコやバビブベボでよいのでしょうか。詳しく調べてみると、かつては、ブBuが子音で、Bが父音、uが母音でした。父と母から子が生まれると、なんともわかりやすかったのです。今は子が育って父にというのは冗談ですが、Bが子音、uが母音となっているようです。

 子音は、呼気を口や鼻から出す母音を妨害してできているのです。

 この場合、唇を調音のpoint(点)として、調音点とよびます。ブの調音点は両唇です。これを両唇音といいます。パ、バ、マ行は、同じ両唇音です。

 調音点は、子音によって違っています。カとガは、口の奥(軟口蓋)、サザタダナは舌先があがり、前歯の裏、歯茎(しけい)、ヤはその間くらい(硬口蓋)。ラは、舌先が歯茎、ハはふれません。ワは両唇と口の奥になります。

 口の前から順に、口蓋―硬口蓋―軟口蓋―口蓋垂(のどちんこ)となります。

 fvは、上歯と下唇、thは歯と舌先(歯)となります。

 

〇清音と半濁音、有声音と無声音

 

濁点「゛」をつけたのが濁音です。

 母音は、有声音で、声の有る音、声が有るとは、声帯がふるえて声となることです。

 それに対して、子音の静かにの「シー」とか、ろうそくを消す「フー」というような音、振動している音ではないので無声音です。

 しかし、シーとフーをジーとブーとすると、有声音になります。つまり、無声音の子音に゛(濁点)をつけると、有声音になるのです。

 こうして、声帯振動をさせたり、させなかったりして、音の違いを生じさせます。

 母音は、子音のように呼気の妨害がないのに、有声音になります。

 ハヘホは、声門が調音点です。

「やりたいこととアイデンティティー」 No.381

「やりたいことが見つからない」という相談をときおり、受けます。

やりたいことが見つからないというのは、そうではなく、見つからないのは、自分です。

 

自分がわからないから、やりたいことが見つからないのです。

それには、何でも片っ端からやってみることからです。

そして、自分の気持ちが何に反応するのかを観察しましょう。

つまり、できるだけ、外に出て、内をみることが大切です。

 

それが、自分の根幹、アイデンティティーに関わるものかどうか、すぐにはわかりません。しかし、続けていくこと、そして、自分に何か向いているものがあるのがわかること、そうして、つかんでいくのです。

 

自分があとでわかればよいし、わからなくてもよいと思うのです。

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