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「基礎教育のためのヴォイストレーニング」 Vol.9

〇日本語は百音以上ある

 

 五十音図ということばは、聞いたことがあると思います。ア、イ、ウ、エ、オの5つの段に、ア、カ、サ、タ、ナ、ハ、マ、ヤ、ラ、ワで、行段の総和5×1050音というわけです。歴史的仮名遣い(旧仮名遣い)です。

ここで、おかしいことが3つあります。

 ヤ行は、ヤ、ユ、ヨで、ワ行は、ワだけしかない。ンが入っていない。

 でも、ワ行のイ、エ、オは、ヰ、ヱ、ヲで、昔は違う音でした。文字のイウエは、重複します

 つまり、音数では、47、イロハ(伊呂波)…の47文字となるわけです。そこから先ほどのワ行のイウエをのぞくと、44。ヲも発音ではオと同じですね。

でも、日本語にもそれ以外に、たくさんの音があります。

 

〇音節(拍、モーラ)と単音

 

 日本語の最小単位は何でしょう。日本語をニホンゴとひらがなで書くと、ニ、ホ、ン、ゴという四つの文字、そのニやホが一つの単位のように思えます。

 数えてみると、ニホンゴで4つ、同じ長さで4つの音が並んでいます。これを4音節と数えます。

 それでは、「汽車ぽっぽ」はキシャポッポ、これは6つの文字ですが、読むとキ、シャ、ポッ、ポで、4音節ですね。4拍という方がわかりやすいかもしれません。

 それでは、ローマ字で表わしてみます。ニホンゴは、Ni Ho N Go、汽車ぽっぽはKi sya pot po(ッはtu ttuなど)、ここで、kstnhmyrwは子音、母音がaiueo、その2つのそれぞれを単音といいます。その組み合わせで「ka=か」となります。kaのそれぞれは、単音といいます。

 

〇直音と拗音

 

 直音というのは一つの文字が一拍で数える音です。先の五十音図の音はすべてそうなります。

 しかし、小さいャ、ュ、ョがつくと、キャと二つの文字を使いますが、一つの発音(一拍)です。

 ン、ツ、ーは、それぞれ撥音(ン)、促音(ッ)、引く音(ー)といわれる特殊拍です。

外国語では、これを一拍とはしません。たとえばホンで二拍になる日本語に対して、HONで一拍です。

 しかし、日本語では、遊びのとき、グリコで3拍はともかく、パイナップル、チョコレートは、6拍分となりましたね。本当は5拍です(拍の長さが均等になることを等時性といいます)。

 

〇学級文庫っていえますか

 

 指で唇を左右にひっぱり、「学級文庫」といってください。ブからウになって、おかしなことになります。唇をひっぱると、バ行のバビブベボは、アイウエオになります。マ行、パ行もです。

つまり、この3つの行は、唇を使うから、使わないようにするとできないのです。次に「アカサタナハマヤラワバパ」というと、マ、バ、パができません。唇を使わないと発音できない。そこで唇の動きがみえては困る腹話術師が苦労する音になっているのです。

 これを、唇で音をつくっていた、(調音[構音])といいます。

 ブンコのブはBu、これがuになるのは、Bが欠けたからです。Bは子音、uは母音です。これは逆に、uBをつけたとみることもできます。

 

〇父音はなぜ消えた

 

 かつて、今の子音を父音とよんで、たとえば「母音aに父音Kがつくと、子音Kaが生まれるなどとしていたときがあったそうです。  

さて、母音はアイウエオというのはわかりましたか。それでは子音は、カキクケコやバビブベボでよいのでしょうか。詳しく調べてみると、かつては、ブBuが子音で、Bが父音、uが母音でした。父と母から子が生まれると、なんともわかりやすかったのです。今は子が育って父にというのは冗談ですが、Bが子音、uが母音となっているようです。

 子音は、呼気を口や鼻から出す母音を妨害してできているのです。

 この場合、唇を調音のpoint(点)として、調音点とよびます。ブの調音点は両唇です。これを両唇音といいます。パ、バ、マ行は、同じ両唇音です。

 調音点は、子音によって違っています。カとガは、口の奥(軟口蓋)、サザタダナは舌先があがり、前歯の裏、歯茎(しけい)、ヤはその間くらい(硬口蓋)。ラは、舌先が歯茎、ハはふれません。ワは両唇と口の奥になります。

 口の前から順に、口蓋―硬口蓋―軟口蓋―口蓋垂(のどちんこ)となります。

 fvは、上歯と下唇、thは歯と舌先(歯)となります。

 

〇清音と半濁音、有声音と無声音

 

濁点「゛」をつけたのが濁音です。

 母音は、有声音で、声の有る音、声が有るとは、声帯がふるえて声となることです。

 それに対して、子音の静かにの「シー」とか、ろうそくを消す「フー」というような音、振動している音ではないので無声音です。

 しかし、シーとフーをジーとブーとすると、有声音になります。つまり、無声音の子音に゛(濁点)をつけると、有声音になるのです。

 こうして、声帯振動をさせたり、させなかったりして、音の違いを生じさせます。

 母音は、子音のように呼気の妨害がないのに、有声音になります。

 ハヘホは、声門が調音点です。

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3-1.声の話」カテゴリの記事

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