「基礎教育のためのヴォイストレーニング」 Vol.10
〇声の効果の大きさを知る
笑顔一つで好かれるといいます。本当に魅力的な笑顔って、とても難しいのです。買うことも作ることもできません。
笑顔を磨く方法、わかりますか。笑っていないと、笑顔はできません。笑顔スクールみたいなものもあるようですが、だからといって、へらへら笑っていたらよいのではないのです。心から笑っていないと、よい笑顔にみえてきません。
笑っているのに笑っているようにみえない弁護士さんがいます。例えとしてお聞きください。それは、職務上必要なことでもあり、かつ演出も入っているのでしょうが、仮にあなたが弁護士さんに何かをお願いするとき、相手に笑顔があるときとないとき、どちらが話しやすいでしょうか。お医者さんなら、どうですか。
声も同じです。声を磨くには、自分のもっとも魅力的な声を出していくこと、それがもっとも大切なことです。
「そんな声が出るなら苦労しないよ」と言われそうですね。そう、誰もが笑顔やにこやかな声の魅力を知っているのに使えない。それがどんなに効果的かをうまく使ってきた人ほどに経験して味わってきていないからです。
でも、あなたの身のまわりにいませんか。きっといます、魅力的にふるまっている人に。
しかも、笑顔で魅力的な声とは、強く結びついているのです。
〇好かれる声のイメージ
あなた自身の目標とする声のイメージをはっきりとさせてみましょう。
A.みんなに好かれる声
B.仕事で好かれる声
C.友人として好かれる声
それぞれに、結構、違うことがわかりますね。
声というと、まだどうも、はっきりしないと思われるときは、キャラクターから考えていくのもよいでしょう。キャラクターと声も、深い関係があります。
あなたの声やキャラクターを知るための作業です。楽しんでやってみましょう。
まずは有名人を使って記入してみてください。よくありますね。結婚したい人、恋人にしたい人、上司にしたい人、そういう感じで、けっこうです。
キャラクター 声
A.
B.
C.
〇あなたを取り巻く人と声のイメージ
難しかったですか。でも一度やっておくと、次からは楽です。なぜなら、目だけでなく、耳でも、その人の声、話し方を無意識のうちに入れるようになるからです。
次の作業はもっと簡単です。あなたの身近な人、親戚、友人、兄弟、両親など5人くらいの人の声のイメージを書いてみてください。
声のイメージ
1. さん(性別 年齢 歳)
2.
3.
4.
5.
〇体験から声をみる
シーン別に(体験)、あなたに残っている声のイメージを言葉と一緒に書き出してみましょう。
1.あなたが印象に残っている声
2.あなたが印象に残ったときのシーン
3.そのときの相手の声
4.そのときの自分の声
相手 状況 言葉 声のイメージ
1.
2.
3.
4.
思い出ついでに、より深いシーンに入りましょう。次の3つについて、ことばや声について、それぞれ考えてみましょう。
1.いい体験ができたとき
2.その体験にときめいたとき
3.何かを実現するとき
次に声から思いつくシーンをあげてみましょう。
1.とても嬉しかった声
2.とてもつらかった声
3.とても心に残った声
〇自分の声によって、好かれる相手が変わる
あなたが好きなのに、相手から好かれないという経験はありませんか。それはあなたの努力だけでは、何ともしがたいこともあります。
たとえば、魅力の一つである声もまた、遺伝的なものや育ちなどにも深く関わっているからです。しかし、声は変えることもできます。つまり、魅かれ合う関係にも大きな影響を及ぼすのです。
どんなに頭のよい人、かっこよい人でも、どうしても好きになれない人っていませんか。それも性格やセンスが合わないならともかく、何の不足もない人。なぜでしょう。
もし、あなた以外の人には好かれるのに、あなたは好きでないという人がいたら、わかりやすいですね。
そんなことを他の人に対して思ったこともないという人は、幸せだった人です。でも、だから幸せを逃しているということもあるのです。なぜなら、大嫌いな人がはっきりしていれば、大好きな人も浮びあがってくるからです。
確かに人間としては、誰もわけ隔てなくつきあえる方がよいでしょう。しかし、本当の友だちというのは、一握り、その人だけというのですから、心おきなく生の感情、本音でやりとりしましょう。
たとえば、何となく合わないというのは、その人の感じからくるのですが、多くの原因は、受けとめる側のあなたにあります。どんなにいい人でも、小さい頃、その人に似た人にいじめられていたら、近づくのも嫌でしょう。そういう人と、同じ匂いがする、同じ髪型だ、同じものを身につけているとしたら、第一印象では大きくマイナス評価してしまうのです。
声も同じです。どんなによい声でも、その声で叱られたり、怒鳴られた経験しかなければ、どきまきするものです。
だから両親や兄弟、学校の先生や親戚の人の声は、あなたの意識のずっと深いところに大きな作用を及ぼしているのです。
〇行動しよう、声を出そう
今は、判断できるレベルよりも、ずっとたくさんの情報を得ています。その結果、逆に行動しにくくなります。そうした情報から、結果を予測してしまうからです。情報があまりに多いため、手間をかけて比較することもできないので、選択の判断さえ、情報に任せてしまいます。
やってもみないのに「やってもムリだよ」と思い、動かないのです。「やってムリなら、無駄、損した」という省エネ思考が、見受けられます。「やってムリなら恥ずかしいし、バカみたい」と安っぽいプライドに支配されてしまうのです。
声を出したり、他人に声をかけることも同じように思ってはいないかと、心配になります。
「あなたは、この二日間、何も食べていません。お金も持っていません。どうすればよいでしょうか」
そのように聞けば、どうしますか。
「ネットで検索して調べます」と答えるかもしれません。何時間、ネットで調べても、お腹はふくれないでしょう。メールで食べものを送ってもらいますか。
すぐに外に出て、通りがかりの人に片っ端から事情を話してみたら、どうでしょう。たぶん、あなたはすぐに一食分、食べられるでしょう。声をかけたからです。
いろんな情報を得たために、そのうち「できない」というのが口グセになるのなら、もったいないことです。
「やってムリならやらない」というのと、「やってできなかった」というのは、まったく違います。そこで体験ができたら、その体験から学んでいけるからです。すると、次にまた、できなくても、少しは近づけるかもしれません。そうして学んでいけばよいのです。
時間を費やして、情報だけとっても何も変わらないのです。
すぐできてしまうものなどは、できたといわないのです。ただ、済んだだけです。できないようなことをやったから、できたというのです。成功、失敗を一時で決めないことも大切です。
できないことをやり続けるのが、人生の醍醐味です。成功よりも、失敗したときに味わいがあります。人間関係も同じです。失敗しないと人のよさは味わえません。
成功したときには、誰もが楽しく、その前の失敗談を話します。失敗せずに成功した人はいないのです。
つまり、まず、試みることに意味があるのです。
成功、失敗にわけるのでなく、成功かも失敗かも体験しないことが、もったいないことなのです。
だから、行動しましょう。「はい、声を出しましょう」ということです。
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