« 2023年6月 | トップページ | 2023年8月 »

2023年7月

閑話休題 Vol.76「和菓子」(2)

<祭典>全国菓子大博覧会:「お菓子の博覧会」は明治441911)年に東京・赤坂溜池の山会堂で「帝国菓子飴大品評会」

 

五感:「味覚」食べておいしい/「嗅覚」小豆などの素材のほのかな香りを楽しむ/「触覚」楊枝で切るときや、歯ざわり、舌触り「視覚」目で楽しむ/「聴覚」菓銘と呼ばれる名前 

意匠や菓銘は、古典文学や日本の歴史、風土、四季の移ろいなどの自然をたくみに取り込んでいる。

 

<種類>水分30%以上が生菓子、10%以下が干菓子。その間が半生菓子。

原材料や製法で「もち菓子」「焼き菓子」「練り菓子」に分類。

もち菓子:おはぎ、赤飯、関西風桜餅、すあま、羽二重餅

蒸菓子:饅頭、軽羹、ういろう、ゆべし

焼き菓子:平鍋もの―どら焼き、関東風桜餅、今川焼、たい焼き、茶通/オーブンもの―栗まんじゅう、月餅、桃山、カステラ、黄身雲平/干菓子―ボーロ

流し菓子:琥珀羹、羊羹、水ようかん

練り菓子:練り切り、こなし、求肥、雲平

揚げ菓子:生菓子―あんドーナツ、揚げ月餅/干菓子―かりんとう、揚げ煎餅、新生あられ、揚げ豆、揚げ芋

あん菓子:石衣

おか菓子:最中、鹿の子餅、州浜

砂糖漬け菓子:甘納豆、文旦漬け

打菓子:落雁

押し菓子:志ほがま、村雨

掛け菓子:雛あられ、おこし、五家宝

飴菓子:有平糖、おきな飴

豆菓子:炒り豆

米菓:あられ、煎餅、八ツ橋

 

<用途による分類>

並生菓子(なみなまがし、「並菓子」とも)、朝生菓子(あさなまがし、朝生)と上生菓子(じょうなまがし)

その他に、茶席菓子、引菓子(ひきがし)、式菓子、蒔もの菓子、縁起菓子、工芸菓子

 

<材料>豆類と餡 粉類・米粉 砂糖。鶏卵を例外としつつも植物性の原材料が原則。

 

 

参考文献:「本の万華鏡」/「和菓子の歴史」青木直己(ちくま学芸文庫)/Wikipedia

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.1

〇ヴォーカリストの悩み

 ヴォーカリストをめざして学ぼうとしている人は、たいていは、どのようにすれば、そうなるのかに悩んでいます。とりあえずは練習を始めたものの、どうすれば上達できるのかに苦慮しています。独習であれ、誰かに教えてもらうにしろ、実際に多くの人がやっているトレーニングは、“でたらめ”といってもよいもので、それをやったとしても、さほど上達しようもないものがほとんどです。

つまり、努力してもうまくならないどころか、努力さえもできないケースが多いのです。これは、日本の音楽界にとっても、大きな損失です。

 一方でヴォーカリストになるための努力を自然と、しかも確実に自分の身につけることができた本当にごく少数の人がいるのも事実です。

 とはいえ、芸ごとで伝わるとしたら、そんなに楽なことはありません。最も肝心なことが、伝わりようもないから、芸なのです。

 しかし、私は、努力している人なら、最も大切なことに気づいてもらうことはできると思っています。そこで、その気づきの契機を与えるためのアプローチの方法を述べていきたいと思います。

〇声を自由にする

 

私自身、日本人、外国人問わず、多くのヴォーカリストに接して、確信したことが3つありました。

 1つめは、声が自由に出るようになれば、飛躍的にヴォーカル力は伸びるということです。一流といわれるヴォーカリストには声を出す身体と技術があります。彼らと同じ発声のできる身体になることを基本のトレーニングの目的とします。

そのためには、今の声(多くの日本人の出している声)をおいて、基本から徹底します。つまり、1オクターブ声が完全に使えていたら、1フレーズぐらい彼らと同じように歌えるのに、歌えないということは、声に問題があるということです。

しかしこれは、新しい声を作るということではありません。声の出し方を正して、あなた自身の最も理想的な声を発見し、歌に使えるところまで鍛えていくことなのです。

この点で巷で行なわれている多くのヴォイストレーニングやヴォーカリストの指導は、今の声を前提に伸ばそうとしています。今の声とは、日本人の一般的な発声の状態です。本当はもっと楽によい声の出るはずなのに、そのようにできていない発声を指します。

 その声は、録音してみて、聞いてみればわかります。その声の多くは、決してプロの声でも音楽的に聴こえる声でもないはずです。自分でも嫌な声だと思ってしまう声でしょう。これを原点に戻さず、部分的な処置をしていると、何年たっても後で伸びないのです。本人はトレーニングで伸びたと思っているかもしれませんが、徹底して鍛えれば、10の声を20にできたのに、1112で満足しているわけです。これは、声を判断する耳ができていないからです。

〇センスと感性

 2つめは、表現すべき音(音楽)のイメージ、いわばセンスや感性とよばれるものです。感じるだけでなく、感じたことを声の表現で伝えるところに、ヴォーカリストの才能が問われます。この才能にも開花させるトレーニングが必要です。

これは、向こうのアーティストのように、1つめの条件が満たされていると、声と同時に完成していく場合が多いのですが、日本人の場合は、1つめの条件を持たぬため、器用にまねて歌えるだけのヴォーカリストになりがちです。そういう人は、まわりからうまいと評価されるために、結局、歌や声の本質がわからず、声も歌も表現も限界がきます。

しかし、この状態でも、ほとんどの人がヴォーカリストとしてのプロ活動ができてしまっている国が日本です。歌は自分の思うところまで、うまくなればよいし、総合力ですから、別の面での才能が秀でている人は、それでも構わないわけです。ただ、トレーニングで効果をあげていきたい人は、基準のトレーニングをする必要性を知っておくべきでしょう。

 ところで、1番目の条件を満たしている人は声量や身体だけでもっていけるから、勢いだけで歌って、生じ通じてしまうので、2番目の条件を疎かにしがちです。今の時代、この2つの条件を共にそなえた人がほとんどいないのは、残念なことです。

〇ヴォイストレーニングのスタンス

 3つめは、トレーニングへの取り組み方と考え方です。レッスンそのもの以上に、今の若い人には、ものの考え方、もう少し具体的にいうと、アーティストの精神やポリシーといった部分が必要に感じます。

昔、芸人は師匠の家に住み込んで、全く教えられないところで芸を盗んだといいます。「本当のことを身につけるには“場”が大切」と私は常にいっています。よい“場”には、雰囲気があり、気が満ちているからです。できるかぎり、その“場”の雰囲気を、“気”とともにあなたにおくりたいです。

 私の研究所では毎月、会報を出しています。ちょっとした休憩中や、合宿、研修などで私が話をするようなことが、精神的な支えになっているからです。いわば、マニュアルにできない、最も大切なものです。それも伝えられたらよいと思っています。

あなたが、自らにどのようなヴォーカリストになりたいかを問いかけ、その方法を自分自身に最も似つかわしい方法で決め、自信をもって日夜、トレーニングに励めるようにすることが目的です。

○やり方ではなく、あり方

 ヴォイストレーニングで、どういう方法が正しいのかというと、これこそが、難題です。私自身は、今は、方法、やり方ではなく、そのあり方、つまりどのレベルの深さでやれているかの問題と考えています(私の方法とやらもまた浅いレベルに誤用され、時に成果と逆行している例を少なからず知ったからです)。

 比較的、目的や基準のはっきりしている声楽の中でさえ、本当に正しいトレーニングができている人は少数です。それは、次のような言葉からも察せられます。

「今日の歌手たちは、発声について間違って考えるように教え込まれたために、自分たちに与えられた才能や能力を発揮できないばかりでなく、声そのものを壊してしまって、歌手としての生涯を全うできないという事態に直面させられています」(コーネリウス・L・リード「ベルカント唱法」音楽之友社)

○トレーナーの選び方

トレーナーの選び方は、トレーニング方法を正しく行うのと同じくらい難しいのです。特にポピュラーの世界では、あたかも基準がないかのようなので、尚さら大変です。

声においては、すぐれた歌唱を行うプロ歌手が、必ずしも、あなたにとってよいトレーナーであるとは限りません。むしろ、こういう人は、ヴォーカルアドバイザーというべきでしょう。ましてや、トレーナーが勉強不足、育てる経験不足だと、日々、伸びているような錯覚をしたまま、いつになっても、本当の意味では上達しないというような指導を受けて終わってしまうことがほとんどです。

 まずは、声で判断することです。ヴォイストレーナーが悪声や頼りない声であれば、これは失格でしょう。

 次に、声の技術を見ます。いくらトレーナーがよい声であっても、あなたはその声をまねるのではなく、自分自身の声を磨き、歌に使うために習得するのです。根本の声づくりとその使い方を見るしかありません。

 その人の声そのものをまねるのはよくありません。手本は、あくまで声の感覚と使い方を得るためにあります。多くの人が、教えた人の悪いくせばかりを受け継いでいます。1人ひとりの声は違うのです。

トレーナーの耳がよいこと、判断力が高いことは、さらに大切な条件です。

 育てたプロの名を挙げて宣伝文句にする人がいますが、これも実績というよりは、何度かそこを訪れただけという程度のことが多いのです。第一に、そういう人が育てたという人の声や歌を聞いて、感動しましたか。単に有名だというのと、声の力、歌う力とは、あまり関係ないのです。だいたいは、すでに選ばれた人の歌声の調整をするのと、多くの皆さんが必要とするように、ゼロから声をつくっていくのとは、全く違うのです。日本の音楽スクールやトレーナーは、私がみるに、そこに対応できていないのです。

 理論や方法は、誰でも持てます。トレーナーは、誰を育てたかで決まります。習う側は、それを見抜く眼と耳を持つことが大切です。

・正しい方法ではなく正しく行う

・自分の目的をはっきりさせる

・経験や実績の豊かなヴォイストレーナーにつく

○メニュやノウハウは、やればよいものではない

 少なくとも、ポピュラー音楽全般、特に歌唱に共通する正しいトレーニング・メニューというものはないでしょう。私もたくさんの本にメニュを公開してきましたが、メニュは手段であり、正しく使わないといけないのです。それは各人ごとに、目的ごとに異なります。極端な話、その日の状態によって違うこともあれば、いつ本番をするのかによっても変わるでしょう。トレーニングの期間についても、同じことが言えます。結局、正しい方法となるノウハウは各人各様です。それを自分で決めていくことができるようになるということです。決めるためにどうするかを学んでください。

 いろいろな方法での可能性を模索する自由度を失わないことです。自由にやるほど、逆に類型のパターンが出てきて、どういう時に、どのメニュを処方すればよいのか、経験的にわかってくるはずです。声の問題が、心や身体にあることなどに気づくこともあるでしょう。

 ヴォイストレーナーは、長期的かつ総合的視野を踏まえた漢方医のようでなくてはいけないと思います。ところがその場しのぎで対処する人がとても多いのです。これは、当の習いたい人が付け焼き刃的指導を求められることが多いためです。求められることに何とか対応さぜるをえないトレーナーには、親切な指導ほど弊害になることとなってしまいがちなのです。

○自らメニュを創造する

 ですから、あなたは自分自身のトレーニングのためのメニュを自分で考えて、どんどん試みていけばよいのです。しかし、それが悪い方向に向かわないためには、優れた歌や音楽を入れておき、それで正すようにするしかありません。トレーニングは試行錯誤の連続です。壁にあたるのを恐れず、続けることです。そしてある時、そのレベルでベストのことができたら、わかってきます。その繰り返しで、レベルを深めていきます。できたということを身体で覚えるには、このようにして、やるべきことをやって待つしかないのです。

 ですから、それに気づく材料を適切に処方するのが大切です。

○基礎を深める

 最初のレベル(これをレベル1としましょう)で、たまたまベストのことができたとしたら、そのレベル1でのベストを確実に出せるようにしていかなくてはなりません。そして、レベル1でのベストが出せるようになると、それは当たり前のことになります。さらに、1つ高いレベル(レベル2としましょう)におけるベストを目指すのです。

 この繰り返しで、レベルを深めていくのが、基本トレーニングです。つまり、メニュが123と進むのでなく、同じメニュにおいてこなせるレベルが123と深まるのです。

 それにつれ、多くのメニュに対応できる力がついてきます。応用力をつけるために、いろんなメニュを利用していくのです。

 何よりも大切なのは、どのメニュも少しでもより深いレベルでこなしていくように努めることです。この時に得たレベルの深さが基礎の力となるのです。目的は、柔軟に繊細に自由に応用のきく声を得ることです。

 それとともに、舞台を踏み、自分の声、身体などの状態を把握できるようにしていきましょう。心のみならず、身体で声を聞くことができるようになります。このことが、さらに高いレベルをこなすための判断基準を作っていく上に、なくてはならないことなのです。

「基礎教育のためのヴォイストレーニング」 Vol.11

〇自分の首をしめる声

 

“借金で首が回らない”といいますが、本当に首の筋肉がこわばり、首が回らなくなるらしいです。すると声も、出なくなります。押し殺された声になります。

 元気なさそうに暗い声を使う、スネたふりをする、子どもっぽい声を出す、すべては、あなたの首をしめることになります。

 私は仮病を使ったことがあります。ほとんど治りかけていたのを、まだ具合の悪い振りをしていたのです。そして、声を力なく出していたら、本当に気分が滅入って具合が悪くなってきました。

 病気に逃げると、病気に慕われて、本当に病気になってしまうのです。

 人間の心身は、とてもきわどいバランスをとって成り立っています。気を抜き、息を抜き、声を抜くと、しぼんだ風船のようになってしまうのです。そのときには、身体は、まわりの病原菌のえじきになってしまいます。恐いことですね。

 逆に、あなたが、気を入れ、息を入れ、声を出したら、風船のようにパンパンに膨らみ、何ごとをも跳ね返します。気合いを入れ、「イエイ」と叫んでみてください。

 暗い声を使いたくなったら、ニコッと笑い、その気分を吹きとばしてください。

 

 自分に否定的な言葉やネガティブな声を使うのをやめましょう。言葉のクセは、なかなかとれません。まず声だけでも、明るくしましょう。

 カラオケで悲しい歌を悲しく歌うのは、悪くありません。少し救われます。他の人に、あなたの悲しさが伝わります。

プロの歌手は、悲しい表情で歌い切ったら、ニコッと笑います。あなたの心の悲しさを少しもちあげて、何かを気づかせ、そっと解消させてくれます。それが芸です。

 人は、救いを求めるのです。悲しいことを喜んで言ってはなりませんが、声をあまり暗くする必要はありません。陰気にしていると、幸福も逃げてしまうからです。

 

〇ストレスで声が出なくなる

 

 マイナスイメージのいきつくところ、発声の機能に何ら損傷がみられないのに、声が出なくなってしまうことがあります。

 ストレスによって、心身にはいろんな変化が生じます。そのなかでも、声は比較的、大きな影響を受けます。

ヒステリーで声を張り上げる人もいます。

 落ち込んだときの声は、暗くこもってしまいます。心を閉じたことも、声はまわりに伝えてしまいます。

 「一人にしてくれ」というときには、声は出しません。声からその人の状態がわかります。

 でも、こういうことも笑いとばすことで解決できるのです。

 

 ストレスは、生きていくための刺激です。それをプラスに受けとめるかマイナスに受けとめるかは、あなたしだいです。受け身になるほどに、つらく、攻め手になる方が楽になるのです。すると、楽しくなり、生活のリズムを取り戻します。人の心身は、そのようにつくられています。

 あなたはジェットコースターやバイクは好きですか。それに動物を乗せたらどうでしょう。状況がわからないままに乗せられたらパニクって、恐怖で大嫌いになるでしょう。あなたも嫌いなら、絶対に乗りたくないでしょう。好きでも具合が悪いときは、無理でしょう。自ら選んでストレスを受けるのは快感ですが、強いられて受けるのは不快です。ジェットコースターで手を上げ、声を出して楽しむ人は、そのストレスを心身と声で大きく解放しているのです。

おもしろいですね。ためたら暗くつらくなるばかりの声が、発散させたら、明るく楽しくなるのです。スポーツや、コンサートなど、声を思い切り出せるところをキープしておきましょう。

 

〇ダイエットは声に悪い

 

 ダイエットは、声によくないのですが、スタイルと声と、どちらをとるかといわれたら、多くの人はスタイルをとるのかもしれません。過度のダイエットは、健康のためによくありません。声のためにもマイナスです。

 かつて声のよいのは、太った歌手と決まっていました。太れば声がよくなるのではありません。しかし、身体が楽器ということでは、体格は関係します。大太鼓と小太鼓では、迫力が違いますね。

 声も迫力だけで勝負するわけではありません。太く深い音色では、チェロにかなわないバイオリンにも、オーケストラの重要なポジションにあるのです。

 そういうことが求められるのは、強さを求められた時代の男性です。かつては身体が大きく強い男たちの時代でした。多産の時代は、女性も太っていて健康というのが求められたものです。しかし、日本では少子化で、遠い時代となりました。

 魅力的な声は、健康が売りもの、健康な身体がベースです。声によい食べものについては、諸説ありますが、栄養価の高いものなら、構いません。

 

〇はっきり言えないとややこしくなる

 

 何ごとも、常に主導権は、自分にあると思いましょう。明らかな嫌がらせを受けても、無理してがまんしようと、心を閉ざしてしまうのではありません。気にせず放っておくか、どうして嫌がらせに合うのかを考えることです。

 自分のどこが悪いかと反省するためではありません。まずは、事実を客観視するためです。

もしかすると、嫌がらせだと、自分が一方的に思い込んでしまったのかもしれません。何ごとも頭で決めつけないことです。“君子危うきに近寄らず”、は、君子になってから考えたらよいでしょう。

 ニュースなどの情報だけで判断して行動するのは、あなたの人生を狭く平凡なものにします。あなたの声、言葉一つで、どんな人とも、良好な関係を築くことも可能です。大きな成功を手にした人は、こういう小さなことを一つずつ、自分のプラスになる人間関係に転じていったのです。

 

 世の中に出て、何年かは、いろんな人に振り回されてみるのも、とても大きな勉強です。人間の嫌なところ、くだらなさも体験し、実感してください。その時期が過ぎて、一生、振り回されていては、先はありません。

 でも、あなたから縁を切る必要はありません。すべての人にうまく関わっていこうと考えなくすればよいのです。それでも、あなたは、たいして不自由なく、生きていけるでしょう。

 はっきりと自分に言ってみましょう。声のトーンを変えて「私には必要ない」と。

 

〇声は一人ひとり違う

 

 私は、ぶりっ子やカラオケ声といった、ものまね声をあまり評価しません。よく思わないのは、声は生まれつき、それぞれの身体に備わった楽器の出すものだからです。自分に合った使い方があるからです。磨いたり鍛えたりしていく可能性もあり、また、限界もあるのです。

 「どんな声にもなれる」という人もいます。音響加工を加えると、ずいぶんと脚色も、演出もできるし、発声もある程度、変えられます。ものまね声も、そっくりにできます。しかし、そうするほど、声は本来のパワー、その人自身の魅力を発揮しないのです。

 声にも指紋と同じく、一声でその人をほぼ特定できるだけの個人差があるそうです。証拠能力も高いそうです。犯罪捜査や本人認証などにも、それは使われています。一人として同じ声はないからです。

 ところで、私はフランスのオペラ座のヴォイストレーナーから、「なぜ日本人の声は二通りしかないのですか」と言われたことがあります。彼女に言わせると、「日本人は男の声、女の声、その二つ」。

耳のよくない人なら、そんなものかもしれませんが、トレーナーとして最高の耳をもつ彼女が、そんなことを言うわけがありません。「フランス人は、一人ひとり違っている、一人でいくつもの声をもっている」と。

日本在留の長かった彼女の言うことで、私はこれを「人に好かれる声になる」という拙書の推薦文カバーに、日本人へのメッセージとして入れました。

最近は、声への関心は高まり、嬉しく思います。しかし、まだまだ、実効果は出ていません。あなたがその先駆けを切ってください。

 そこまで、多くの人は、自分の声に関心がないのです。たとえば、ある国にいったら、全員が同じ色の口紅を塗っていた、そんな感じと思ってください。私たち日本人は、声に対して口紅さえ塗っていないくらいにみえたかもしれません。

 

〇日本人には、日本人の声

 

 日本人が金髪にしたり、パーマにしたりする、これはもったいないことでしょう。日本人は、羽織はかま着物が似合い、洋服は合わないとまでは言いません。“ざんぎり頭を叩けば……”から150年を過ぎ、体格もよくなり、スーツの着こなしも板についてきました。しかし、背広などは、肩幅のある向こうの人に合っているのです。日本人の体型や、歩き方などには、着流しが一番です。

 グローバル化の時代、身体に洋服、口に英語でもよいでしょう。しかし、それを国際化と思ってはいけません。日本というのは、舶来主義で、向こうのものばかりに目を向けてきました。そんな時代があったからこそ、追いつけ追い越せたのですが、今は自国を、足元をみつめるときです。

 今ほど日本が文化やスポーツで世界の注目を浴びている時代、日本人が尊敬されている時代はありません。海外に学びに行く。それはよいとして、そこで日本の芸能や歴史、風土、食べもの作法など、尋ねられて答えられますか。彼らは、遠い国にいて、日本を学んでいるのに、日本人が日本について語れないとしたら。

 日本人の女性は、今も世界の人気者、長い黒髪に象徴される美しさには、オリエンタル、エキゾチックを越えて、憧れともなっています。着物を着ると、向こうの美女さえかすんでしまう。なのになぜ、向こうのまねをして、向こうのものを身につけるのでしょう。ブランド品のよさはあるとしても。

 日本人の男性も、評価をあげてきています。昔より、支配階級の民族は、被支配階級の女性と結ばれました。女性が自分よりも下とみる国の男性を選ぶことはなかったのです。日本の男性も国際的に進出して、大きな評価を得ています。もう日本一でなく、世界一でないと、というご時勢なのです。

「観念と歴史」 No.383

人それぞれに、好みの問題、やってみないとわからない問題、どうしょうもない問題があるものです。

しかし、共通している部分は、間違いなく存在します。そこを対象とするからこそ、問いと解決策が出てくるのです。

その根拠は人間観、世界観、価値観といった理想像、あるべき姿に対する観念が、源となっています。

 

意見や考えは、観念から生じます。

それは歴史から生じ、歴史は存在から生じるのです。

どんな身近な問題も突き詰めれば、根本的な存在にたどりつきます。

 

そのために今、世界で起こっていることと共に歴史を学んでいくことです。

最先端のことと古い時代からのことが、大きなヒントとなるでしょう。

ブログ移動のお知らせ

2023年7月より、「ヴォイストレーナーの選び方」は、「夢実現・目的達成のための考え方と心身声のトレーニング」ブログへ移動になります。 引き続き、ご活用ください。

« 2023年6月 | トップページ | 2023年8月 »

ブレスヴォイストレーニング研究所ホームページ

ブレスヴォイストレーニング研究所 レッスン受講資料請求

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

発声と音声表現のQ&A

ヴォイトレレッスンの日々

2.ヴォイトレの論点