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閑話休題 Vol.78「風呂敷」(2)

明治期以降は広く普及し、結納などハレの日の必需品となりました。また商品を運んだり、学校に教科書や道具を包んだり、日常生活になくてならないものでした。

大正から昭和の初期、化学染料が国産化され、人造絹糸(レーヨン)の製造やスクリーン捺染及びローラー捺染が普及しました。 今も続く店もあります。

それ以降、結納、宮参りなど格式ある場面や商売に、学校に通うランドセル替わりにと、なくてならない存在でした。

 

戦後は、染色技法も開発され、絹や木綿以外の化学繊維も使われるようになり、さまざまな風呂敷が作られるようになりました。終戦から昭和30年代にかけて、多くの風呂敷屋ができました。

それは、昭和30年代まで続きます。昭和40年代は、ナイロンの風呂敷が引き出物などを包むのに普及し、大量生産されます。

製造では、手織機から力織機へ、小幅から広幅織物へ、自家生産から工業生産へ、天然染料から化学染料へと移ります。西洋の技術での大量生産の技術革新が行われました。

 

昭和40年頃には、ナイロンの風呂敷(ボカシ染め)が引き出物などを包むのに大量生産されました。また、記念品としても使われました。昭和45年頃に生産はピークを迎えます。

その後、紙袋やレジ袋の普及、近代化する中で、古臭いとか面倒でなど、使われなくなってきました。ポリ袋、紙袋に押され、急速に生活の場面から消えていきます。

 

最近では、エコグッズとして見直されています。「もったいない」というキーワードで風呂敷が取り上げられました。日本文化を見直す風潮にも相まって、海外でも認知され始めています。

 

<製造と用途>

絹と木綿の素材加工方法によって、ちりめん、家紋などを入れた紬(つむぎ)、夏用の着物と同じ絽(ろ)などの風合いがあります。現代ではこれらに加えてレーヨン、ポリエステル、アセテートなどの化学繊維が加わります。

 

大きさは、古くから織物の一反(幅約35cm40cm、長さ約12m)を利用して無駄なく裁断し縫製し、若干の長短があって正方形ではありません。短辺約34cm、長辺約37cm鯨尺九寸のものを一幅。一反を五等分して縫製したものを一反風呂敷(六幅)といい、おおむね畳二枚分の大きさが最大。

現在では、一幅の倍となる約68cm×約71cmの二幅、その倍の四幅、六幅と呼ばれる、それぞれ約204cm×207cmの整数倍、中幅と呼ばれる約45cm四方のもの、二四幅と呼ばれる約90cm四方のものが主流です。

 

二幅や中幅は、結婚祝いやお中元などの慶弔用です。二四幅は買い物に、四幅は引越し・帰省。六幅は、江戸で布団の下に敷き、災害発生時に家財道具を入れ、そのまま包んで逃げるのに使ったものです。

現代では、二幅・中幅・二四幅が主流で、四幅はコタツ掛けに、六幅はテーブル掛けや壁飾りに使われています。基本となる結びは「一つ結び」と「固結び(真結び・かなむすび)」。

 

<文化>

正月に食するおせち、春には花見弁当、秋祭り等で料理を詰めた重箱などの包みや日本酒等の持ち運びに使います。結び方を組み合わせたりします。

 

「泥棒が盗品を風呂敷に包んで背負う姿」で描かれている「唐草模様」も元来、吉祥文様であって、めでたいものです。唐草は伸びて限りがなく延命長寿や子孫繁栄の印として縁起が良い物とされていました。

 

ことわざとしては、「大風呂敷を広げる」「風呂敷を畳む」

古典落語には「風呂敷」という演目があり、間男(まおとこ)の噺がでてきます。長屋噺「火焔太鼓」、人情噺「文七元結」(ぶんしちもっとい)などに、小道具として使われています。葛飾北斎など、江戸の浮世絵作家が描く絵にも出ています。

 

風呂敷に似たものは、アジアや南米、東アフリカにもあります。中国では「包袱」(パオフー)、韓国では「褓子器」(ポジャギ)、東アフリカでは「カンガ」などです。

 

 

参考文献:風呂敷いろいろ京都掛札/風呂敷の知識(宮井株式会社)/風呂敷の歴史(丸和商業)/Wikipediaなど

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