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2023年11月

閑話休題 Vol.80「大和魂」(2)

<歴史

 

明治に入り、西洋のものが流入すると、岡倉天心らによって、日本流に摂取すべきという主張が現れ、和魂洋才が用いられます。和魂漢才のもじりで、大和魂の本来的な意味を含んでいましたが、西洋の知識や文化を必要以上に摂取することへの抵抗感もありました。

 

欧米列強に対抗できる国家づくりを目標に、欧米を模倣した中央主権的な国家体制が整備され、国民の統制教育も整備されました。それまでの自由主義的傾向の教育から、中央集権的・国家主義的傾向へと変わる過程で、大和魂は、日本精神として、国家忠誠心的な部分が強調されました。

 

1894年8月「支那征伐大和魂」鬼石学人

日清戦争が始まった頃には「銀の匙」(1913~1915年)中勘助で「朝から晩まで、大和魂とちゃんちゃん坊主でもちきってゐる」と。

 

1900年、新渡戸稲造の「武士道」に“Yamato Damashi, the Soul of Japan”「大和魂は遂に島帝国の民族精神を表現するに至った」として宣長の歌を引いています。

 

夏目漱石は「吾輩は猫である」で、巷に大和魂が溢れている状況を皮肉って「大和魂は、それ天狗の類か」と(190510月、日露戦争直後、発表の6章(「ホトトギス」)。

 

日露戦争以降の帝国主義の台頭に伴い、国家への犠牲的精神とともに他国への排外的・拡張的な姿勢を含み、日本精神の独自性・優位性の表現に変容。明治天皇も大和心、大和魂を詠んでいます。(1904年、3首)

 

第二次世界大戦期には、軍国主義的に、現状打破、突撃精神を鼓舞するのに使われました。日本の国家(国体)を支える日本人(臣民)の大和魂となります。

 

 「大和魂に磨きをかけて生産性を戦い抜くことである」(19439月、武田春爾 戦時安全訓)

「砲の不足は大和魂で補え」(中内功の談)

 

戦前のタバコの名称、敷島、大和、朝日、山桜。戦艦名、関島、大和、朝日。

神風攻撃隊、敷島隊、大和隊、朝日隊、山桜隊。

 

1967年「大和魂と星条旗」竹下トマスK    アメリカ移民日系人

 

2004年 なでしこジャパン 新語流行語大賞2011年 

 

2011年から 侍ジャパン WBC野球チーム

 

発言「大和魂を貫いてまいります」豪栄道/「大和魂で戦う」K1渡部

21世紀に入り、大和魂と入った本が、たくさん発行されるようになります。

 

2020年「大和魂」田中マルクス闘莉王(サッカー選手)幻冬社

 

アカツキ5(オリンピック女子バスケット2021

 

2021年ヘビメタバンド「LOUDNESS」が40周年、新曲をNFT(非代替性トークン)で販売。8/5日夜、初披露、新曲「大和魂」

 

<映画>

 

「大和魂」“The Man Who Laughs Last”(アメリカ)

早川雪洲氏がワーナー・ブラザース映画のために米国で出演録音した英語版映画。原作は雪洲氏が十八番ものとして上演した舞台劇(エドモンド・ジョセフ脚色、マレイ・ロス監督)。

長崎の名家の息子オトヤはスペインの血をうけた混血児ロジエタを愛していたが、ジムという男はオトヤを恋敵として憎み、一夜だまし討にし、ロジエタを誘拐して逃れる。10カ月後、南海の小港にジムとロジエタは姿を見せる。ジムはロジエタを監禁し、彼女は逃れようとしている。ジムはロジエタが意に従わないので嘆く。そこへ死んだと思ったオトヤが入って来る。オトヤはロジエタが自分を愛していること、長崎のピストルの件はロジエタの関知しないことを知り、ジムと最後の決闘をする。倒れたジムに向ってオトヤは笑う。「おれは勝った。10カ月前、長崎で貴様は笑った。勝って笑った。しかし、今はおれがこうして笑っているぞ。最後に笑う方が勝つのだぞ」

 

参考文献:「大和魂のゆくえ」(2020年)島田裕巳(インターナショナル新書集英社)/WikipediaWeblioほか

 

 

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.5

〇鼻声、喉声をやめる

 

 鼻にかけると鼻声、押しつけると喉声になります。どちらも意図的に声にしようとするところで、すでに間違いを犯しています。理想とする声は、そのどちらでもないところ、特に最初は不安定で頼りなく感じるところにあります。

 本当の正しい声は、出てしまうのです。最初はそうはいきませんから、このバランスを少しずつまん中にとっていくことです(日本人がよい声と思うところは、演歌などでわかるように、やや上に無理に集めているところにあると思われます)。

 余計な力を抜いてみましょう。もちろん、すべてがたるんでしまうのもよくありません。

 間違ったままの声をそのまま使おうとすると、間違った発声となり、問題がいつまでも解決していきません。いつまでも喉は疲れやすく、壊れやすい状態から抜け出せないのです。疲れが回復せず、ベストな状態を維持できないことから、喉にも精神的にもプレッシャーなどがかかることが日常となり、よい状態が得られなくなるのです。

 まずは鼻声、喉声をやめることです(ここでいう鼻声は、わざと上に響かせようとした[方法]のことで、その人の声質、あるいは病気で鼻にかかっている声を指しているのではありません)。

 

[正しい声を得るためのトレーニング]

1.声を出して、テープにとって聴いてみましょう。

2.口やあごを動かさず、腹話術のつもりで「会いたい」といってみましょう。

3.上(頭)のひびきを使わずに地声で「あまいことば」といってみましょう。

4.勢いのよい声で「ハッ」と掛け声をかけてみましょう。

5.「イエイ」「ヨオ」など、ノリのよい声を大きく出してみましょう。

6.「ガヤダ」と20回言ってみましょう。

7.「アー」と20秒、伸ばします。

8.「エー」と20秒、伸ばします。

9.「イー」と20秒、伸ばします。

10.「オー」と20秒、伸ばします。

鼻や喉にかかっていないかチェックします。

 

〇ナチュラルヴォイスの発見

 

 発声器官とか筋肉などは、意識すると、逆にその部分を緊張させ、解放できなくなるものです。バッターやピッチャーが、腕や手首を意識して、よい結果になることはないはずです。そこを使うからといって、そこに意識を持つことはないのです。

 発声器官の図やビデオを見ても、実際の器官の具体的な動きをイメージしてトレーニングしない方がよいでしょう。(科学的な発声原理や生理的解剖図を知るのはよいことですが、実践であるトレーニングがそれにとらわれてはいけません。

なぜなら、多くの理論は仮定されては否定され、そのことと実践とは、結びついていないからです。トレーニングで視野が狭くなるときに常識としてやっていることがおかしくないかを考えてみるために必要というくらいのものです。

たとえば、「強く大量の息が、高い音や声量をもたらすのでない」というようなことは、原理から証明しなくとも、音色を変えることを考えてみれば、誰でもわかります。でもトレーニングするのは、感覚での統御のためであり、そこから離れなくてはならないのです。

 空手家は実演をアップで、スローモーション、タイム入りで見なくとも、うまく習得してきました。見るのはよいのですが、そんなことを考えると、できなくなります。

意識の持ち方は大切です。むしろ、メンタル・トレーニングの方法に学ぶことです。私は、「喉は、ない」と思うようにイメージさせています。

 

○欧米のトレーナー

 

 欧米のポップスのヴォイストレーナーには、喉の締め方や使い方を教えている人もいますが、それは一般の日本人にはハイ・レベルです。そのトレーニングは、部分的であり、それをマスターした人と似た体質(声帯、言語、音楽環境)がなくては、あまり効果があるように思えません。喉を完全に解放できて初めて使えるものですから、多くの日本人には逆効果になりかねません。

彼らにはみえない、日本人特有の問題を、彼らのやり方で解決するのは、よほど素質に恵まれた人にしか不可能です。その結果が、今の日本のレベルです。

 喉から意識を離して自分の声に集中できるようにすることです。それも頭や眉間よりもまず、胸の中心、ハートに、意識も声の出口のイメージをもっていきます。歌の原点はハートです。

 意識はお腹(丹田)におくのですが、胸のところから始め、そこに声との一体感を感じていくとよいでしょう。鏡をみてください。首から上だけで声を出そうとしているようなら、間違いです。一声出したときの姿勢で、その人の力の判断ができるくらいです。

 肩から上には、力を入れないことです。固定させて、口もあけたまま、あご、口の中などは動かしません。

 このことによって、最もしぜんなあなた自身の声(ナチュラルヴォイス)を発見し、獲得していきます。

 

[ナチュラルヴォイスを見つけるトレーニング]

 次の順で、なるべくしぜんに、できるだけ大きな声でやってみましょう。

1.「アーエー」

2.「エーイ」「オーイ」「ウーイ」「アーイ」

3.「ハマヤラワ」

4.「アカサタナ」

5.「ナニヌネノ」「マミムメモ」

6.息を吐く感覚で声にすることを目指します。「(ハァー)アー」

7.床かイスにすわって、「ハイ」「ラオ」「ララ」を同じようにそろえて言ってみてください。

8.自分の最も声がうまく出ていることばでやってみましょう。

9.自分の好きな歌の最も好きなフレーズのみ、歌ってみましょう。

10.「ラララ……」で簡単なフレーズを歌ってみましょう。

2音、3音が1音に聞こえるように継ぎ目をなくすことです。

 

〇統一された声 バランスのチェック

 

 それでは、統一された声の見わけ方について述べておきます。

 

1.高い音と低い音の強さが均一 音色、音質が音高(ピッチ)によって異ならない(同質性)

 高い音はキンキンになったり、かすれて自分のコントロールできないところで響きます。ある一定の高さから上は、高くなるほどヴォリューム・ダウンし、中間音や低い音もまた、ヴォリューム・ダウンするような声では使えません。

 

2.ヴォリュームが出る(声質)

 ヴォリュームのある声を出すことは、胸でしっかりと声をつかまえておき、そこに息をより強く送ることで可能となります。そのとき、高音ではバランスよく響きが集まり、大きく聞こえるのです。

 弱すぎる声も不安定なら使えません。

 

3.ことばをシャウトできる(応用性)

 声を出そうとがんばるほど、喉にかかるのはよくありません。やわらかく、しっかりとヴォリュームのある声が出てこないといけません。

 

4.ピアニッシモにできる(柔軟性)

 統一された息のコントロールと流暢な流れが伝えられないと、上の響きへの移行がしぜんでなく、弱く保つことができません。

 自分が好きになれ、素直にしぜんに聴こえる声をめざしてください。その声を「コクとキレのある声」といっています。これは、鋭く強く思う存分出せて(キレ)、しかもやわらかく響き、小さく微妙にコントロールできる、味のある(コク)声ということです。

 

5.持続できる 再現できる(再現性)

 喉が疲れやすく、声を出しているうちに音質も変わってきます。

 

[声を統一するためのトレーニング]

 次のトレーニングで確認してみましょう。

1.下のドから上のドまで、1オクターブを、「ラー」で上がっていきましょう。

2.下のドから上のドまで、1オクターブを、「ハイ」で上がっていきましょう。

3.「ラア」「テエ」「ニイ」「フウ」「モオ」の2音目を大きく叫んでみます。

4.「ヘイ」「イエイ」をシャウトします。

5.「カコク」「サセス」「タトツ」をシャウトします。

6.「カアア」「マアア」「ラアア」をシャウトします。

7.高い音で、4,5,6をシャウトします。

8.「ムー」「ミー」「レー」を高音で小さく出してみましょう。

9.「ルー」「ラー」「レー」を中間音で小さく出してみましょう。

10.「ハァー」「マァー」「ラァー」を低音で2030秒、伸ばしてみましょう。

 

「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.3

〇録音すると変な声になる理由

 

自分の声は、空気中に出されて、自分の耳の鼓膜を通して聞いている声と、自分の身体を通じて内耳から入る声と、二つを同時に聞いています。しかし、他人が聞いている自分の声は、空気中を伝った声だけです。つまり、自分で聞いている自分の声と第三者が聞いている自分の声とは、異なっているのです。

 

ヴォイスレコーダーで再生したあなたの声は、空気中を伝わったもので録音されていますので、ふだん、あなたの声として他の人が聞いている声に近い声です。あなたにとっては、聞き慣れない声で、変な感じがするものでしょうが、慣れましょう。

「声は他人がどのように聞くかということが問われる」のですから、録音された声がどうであるかが、あなたの思い込みの声のイメージよりも重要なのです。

録って再生した他の人の声をあなたが聞けば、その人とわかるでしょう。そのくらいに、あなたの声も正しく録れているのです。自分の声だけが変という人もいますが、他の人の声も、その人がプロでもなければ、それなりに変な声ですから、安心ください。

 

〇自分の声は自分で感じるより少し高い

 

実際に、自分の声として聞いている音には、骨伝導の音が混ざっています。骨伝導とは、自分の声が骨を伝わって鼓膜を振動させることです。

自分の手を口の数センチ前に当てて「あ」と言ってみましょう。手を当てずに言うときの音を聞き比べると、明らかに違って聞こえるでしょう。手を当てなかった場合は、はね返りが少なく、骨伝導で聞きとっているのに対し、手を当てた場合は、そのはね返りの方から聞くことで違うのです。

骨伝導によって伝えられた音と空気中を伝わった音と伝わるものが違えば、音自体が違ってきます。空気や骨だけでなく、水中を伝わった音、金属を伝わった音なども、違った音となります。

このような現象を「物質によるフィルター効果」とよびます。伝わるものによって、ある音が強められたり、反対に弱められたりとフィルタリングの効果が違ってくるのです。

骨は低い音をよく通すという性質を持っているので、骨伝導で聞いている自分の声は周りの人が聞いている音よりも少し低く感じられます。

 

〇楽音と非楽音

 

音は、楽音と非楽音とに分けられます。楽器の音のように、音の高い低いをハッキリ感じることのできる音は、楽音と言われます。それに対し、周波数成分が多すぎて音高を特定できない音、たとえば、せせらぎの音などを非楽音と呼びます。

音響学的にいうと、聞きやすい声が楽音になります。これは、言語音のなかでは、周期的な波形を示す母音にあたります。それに対し、不快感を与えるのがノイズ(雑音)です。子音の多くは、非周期的な波形を示します。 ノイズを含まない楽音、つまり、母音が多く含まれていることばは、聞きやすい声になりますので、発声トレーニングには、アエイオウが使われるのです。

日本語は、ほとんどが母音で終わる音節です。ですから、周期的な波形を示す楽音で美しく聞こえるのです。 音響的には、イタリア語、スペイン語、フランス語などのロマンス系語や、マライ、ポリネシア語と似ています。

母音が一番、聞こえがよく、次に濁音の有声子音、清音の無声子音の順に耳ざわりよく聞こえます。清音とよばれる子音が、最も不規則な非周期波を描きます。

 

〇清音と濁音

 

金田一春彦氏の指摘では、日本人にとって清音のp、t、k、sは、鋭、軽、小、美を表し、濁音のb、d、g、zは、鈍、重、大、汚を示しているそうです。hはpより上品、直音はより上品な感じとなる。ヒラヒラはピラピラより品があるということです(『指定音語、指定態語辞典(角川書店)』)。

さらに、k、tは堅さ、sは摩擦感、rは滑らかさ、h、pは抵抗感のなさ、mは柔らかさを示します。この感じをそのまま、トレーニングに使ってみるとよいでしょう。

 

堅いがっしりした声にするには、「カケキコク」「タテツトツ」

息もれ音やマイクノイズを防ぐには、「サセシソス」

舌、口を滑らかにするには、「ラレリロル」

楽に声を出すには、「ハヘヒホフ」「パペピポプ」

やわらかく声を出すには、「マメミモム」

 

〇声で犯人がわかる声紋分析

 

日本で声紋が初めて裁判で証拠採用されたのは、昭和51年の京都地裁の現職裁判官K判事補のニセ電話事件でした。彼は、検事総長を名乗って、当時の三木武夫首相に電話をかけ、有罪となりました。

大韓航空機撃墜事件で意味不明だったKAL機との最後の交信テープを解析されました。

声にも指紋のように一人ひとりを特定づける要因があるとして、声紋という言葉を使い、同一人物の証明は、周波数分析装置(ソナグラフ)で声の周波数や強さ、変化のわかるグラフをつくります。この特徴が一致しなくてはならないのです。周波数分析装置は、音声を周波数(縦軸)、時間経過(横軸)によって、音圧を濃淡模様のグラフに描き表わします。これが声紋(ヴォイスプリント)です。

声紋がなぜ固有なのかについては、その人特有の口の開き方や口の容積までが調べられるからです。声だけを調べるのではないので、たとえハンカチで声を変えて話していても、その人かどうかわかるのです。さらに分析にあたっては、声帯の振動、電話回線、老化での変化まで、すべての要因を加味します。

「熱狂について」 No.387

この夏は、いろんなスポーツで日本人選手が活躍して、多くの人が熱狂しました。

 

ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカさんを思い出しました。

「日本人に伝えたい本当のメッセージ」で、「熱狂は危ない」ということを述べていました。

 

スポーツでの熱狂は、しばしば、大騒動になることもありますが、日本人の場合、川や池に飛び込むくらいで、平和なものです。

ゴミを拾って帰るほど、冷静です。

でも、そういう瞬間を選手たちと分かちあえたら、全身全霊で味わえるのは、人間ならではの歓喜の瞬間です。

戦争と違い、スポーツでの熱狂は、いいものです。

全国各地のお祭りと共に、こういう機会が還ってきたことを喜びたいと思います。

 

 

#ムヒカさんは、世界で最も貧しい大統領と言われた人です。

日本でも7年前、来日して、ブームになりました。

給与の9割を貧しい人に寄付し続けたのです。

 

そのほかの語録

「貧乏とは欲が多すぎて満足できない人のことです」

「政治とは全ての人の幸福を求める闘いなのです」

「世界を変えられるわけではありませんが、あなた自身は変わることができるんですよ」

「人生で最も重要な事は勝つ事ではありません」

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