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2023年12月

閑話休題 Vol.81「薙刀」(1)

〇特徴

 

薙刀は、奈良時代から平安時代にかけて出現した、相手を薙ぎ斬ることを目的にした日本固有の長柄武器。「太平記」に最も登場する武器で、南北朝時代に普及しました。

薙刀は、間合いが広く、斬る以外にも刺突や打撃を与えられます。刃の先が大きく反っているのが特徴で、刃の長さによって「大薙刀」と「小薙刀」に大別されます。

 

長い柄の先に反りのある刀身を装着し、「長刀」(ながなたとも読まれた)と言われていました。「刀」に打刀が生まれると「短刀」と区別するために呼称した「長刀」と区別するため、「薙刀」となりました。

長巻(ながまき)は、長大な太刀を振りやすくするために柄をそのまま長く伸ばした柄の長い刀で、薙刀は、刀の柄を長くしただけではなく刀身と柄も斬撃に特化させたものです。

 

柄の先に反りのある刀身が付いており、刀剣に近い。

突くと斬るを目的に使われ、刀身は平均約30cm60cmの長さ。

(拵え)は平均約90cm180cmで刀の鍔がある。

全長約210cm超の「大薙刀」もあり、通常のは「小薙刀」とわけられる。 

 

槍とは違い、柄の断面が楕円形。

戦場では刀身は剥き出しであるが、平時には刀身には鞘が被せられていた。

槍と違い地面に突き立てることはないため、石突は先尖形ではなく半月形など石突側でも斬り付ける用途に向いた形。

水軍用もあり、柄が短く、艪としても用いられるように石突が翼状。

実戦用は、必要最低限の金具に漆塗。

熨斗付薙刀(のしつきなぎなた)や銀蛭巻ノ薙刀(ぎんひるまき)のように、柄に装飾を施したものもある。鍔は小振りなものが主流、

鍔のないものもあるが、大太刀のように大型の鍔を持つものもあり、鍔付薙刀とも呼ぶ。

 

遠心力を利用して、腕力を要せず使用できる薙刀は扱うのには技術が要ります。その長さを利用して、敵を自分の懐に入れないようにして、距離を保ったまま、薙ぎ払うか突くなどの攻撃を繰り出すためです。

刀よりも遠い間合で戦える

長くも短くも扱える

切るだけでなく、打つ、祓うなど多彩

左右を持ち変えて使える

重量があるため、衝撃が強い、

両手を広げて持てば扱いやすい

反りがあり、ひっかけることができる

腕だけでなく全身足腰を使うため、身体操作を学ぶのに適切。

 

欧米では、日本の薙刀はヨーロッパの長柄武器であるグレイブ、パルチザン、ハルバードなどと類似の武器。グレイブと比較して、薙刀は刀身の部分が日本刀のようになっています。中国の青龍刀も似ています。

 

アニメ映画もののけ姫で、サンが持っているのが槍、ゴンザがアシタカに曲げられたのが大太刀、タタラ場の人々が手にしていたのが薙刀。地侍や鎧武者にも長巻を使う者がいます。

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.6

〇音質と音色を出すバランスを

 

 同じピッチ(音高)で同じ強さの声でも人によって差があります。その音色が魅力的な声の人も、そうでない人もいます。ヴォイストレーニングにおいては、ことば(歌詞)やピッチ、音程、声域や声量よりも、音色、音質を優先すべきだというのが、私の考えです。

 音質とは、複合する音の倍音構成、つまり、基音と倍音とが密集したり分散している配置関係のことです。音質は、そこに含まれる倍音の数、振動数、強さなどで決まります。その振動の集合したものが母音の帯といい、これが母音の音質となります。

 倍音は、母音の帯の外部にある部分音ですが、そのあり方によって、音色の感じが違ってきます。光沢があるとか、鋭い、やわらかい、重いなどという音質は、ここから生じるのです。

 この調和がくずれると、声がひずんで聴こえます。この調和を私はバランスということばで表わしています。

 まず、単音のトレーニングです。それが確実にマスターできたら、ちょっとした変化に対応していきます。音の表情に、耳をよく傾けることです。ピアノやギター(できたら、サックスがよい)の音色をよく聴いて、その通りに声を出してみましょう。向こうのヴォーカリストが、トランペットやギターなどと掛け合いで声を出しているのを聞いたことはありませんか。

 ヴォーカリストには、ことばという特権があります。しかし、それがなくとも、スキャットや「ラララ」でも歌えるのです。そこで通用する力を求めたいものです。(音色とリズムだけでも、歌が成り立つのは、スキャットわかることでしょう)

 

[音質を獲得するためのトレーニング]

 ( )内の音程をとって、自分の最も出しやすい音から始めて、高音、低音へ動かしてください。

1.「ラーラーラー」(ミミレ)

2.「バーバーバー」(ミレド)

3.「ヤーヤーヤーヤーヤー」(ミレドレミ)

4.「ゲーゲーゲーゲーゲー」(ドレミレド)

5.「ガーゲーギーゴーグー」(ドドドドド)

6.「あなたに」(ソミレド)

7.「こいびとよ」(ソファミレド)

8.「あいたいね」(ソミドミソ)

9.「ゆめのよう」(ドミソミド)

10.「アラアラア」(ソドミドレ)

 

〇声量を引き出す

 

 大きな声をしぜんに出して気持ちよく歌っていた人が、レッスンで大きく出すことを禁じられ、つまらなくなってやめたというのは、よくある話のようです。

 確かに、統一した音声を獲得するために、喉の酷使や明らかに間違った発声は禁じなくてはなりません。身体で歌うといっても、身体の力をストレートに使うわけではありません。

 ただ多くの場合、相手の状態によらず、小さな声しか使わせず、誰にでも同じマニュアルを押しつけている人も多いようです。

 ポピュラーに関していうと、一流のプロとなった人が皆、そんなトレーニングを経たとは、到底思えないでしょう。必ずしも小さく出すところから始めるべきだとは思えません。喉が疲れ、練習ができず、やると確実によくない方向にいく場合は、声量を出すのはやめるべきですが、それ以外の理由でやたらと制限してはならないと思います。

自己流で喉を痛めたから、ヴォイストレーニングに行く人の多い日本では、レッスンは、こうなりがちです。私からみると、それは繊細な神経、ていねいさ、声の配慮、品質に欠けているのに過ぎません。声を壊したことからくる経験もまた、身体や喉を知るのに、その人に入っているのです。子供には親の苦労はさせたくないと、一見、親切で、リスク回避に専念します。本当の意味で、“先生”なので、生徒はほとんどがこのパターン、その人のファンです。

 逆に言うなら、喉さえ疲れず、負担にならないのであれば、できる限り、大きな声を出してみるべきではないでしょうか。

 プロのヴォーカリストが、いかに声を使うことができるかを知ると、弱々しい声でこわごわ調整しているトレーニングの無力さがわかります(ただし、喉を壊していたり、本番のための調整トレーニングは、まったく別です)。

 大声は喉を痛めるから使わせない、というトレーナーの多くは、無理に高い音域や複雑な曲を長い時間トレーニングさせているからです。つまり、悪い喉の状態をキープさせているから悪くなるのです。自分ができたことが、必ずしも人にできるものではない(またその必要があるとは限らない)、その逆もあるということです。

 たとえば、ドミソドソミド、ここで低いドから高いドまで1オクターブにわたるトレーニングなどは、よく使われているようです。しかし、これを初心者が本当にこなせるはずはありません。こなせたら、すでに歌うのに充分すぎるプロの技術をもっているということだからです。

 

[声量を得るためのトレーニング]

1.下のラから上のラまで、1オクターブ、半音ずつ上がっていきましょう。「ハイ」で。

2.下のラから上のラまで、1オクターブ、半音ずつ上がっていきましょう。「ラー」で。

3.下のラから上のラまで、1オクターブ、半音ずつ上がっていきましょう。「マー」で。

4.半音で4つ(レ♯、レ、ド♯、ド)でハミング。

5.半音で4つ(レ♯、レ、ド♯、ド)で「ラ」。

6.「ん(ハミング)ーラーんー」(同じ音で)

7.「ん(ハミング)ーラーんー」(ミレミ)

8.できるだけ大きな声で「ハイ」

9.できるだけ大きな声で(ハアーイ」

10.できるだけ大きな声で「アオイアオ」

 

 こういう課題を大声でやれば、当然、喉を壊すばかりか、悪いくせもつきます。間違った発声でも出しているうちに、歌らしくなっていくけれど、声ができてこない、急がせるからです。

 試しに、もっともうまく出せる1音(音高)だけにしてみてください。かなりの声までしっかりと出せるようになります。そうやって、声や身体について理解していくことの方を優先すべきなのです。

 ヴォイストレーニングを受けずとも、歌えるヴォーカリストの多くは、自分の耳と表現すべきものは何であり、どうあるべきかということに真摯にとり組んできた人です。

 こうなると、トレーニング方法を見わける眼にも大いなる勉強が必要です。

いつも、こう問うてください。今、やっているトレーニングが、自分がめざしている声や歌の、どの部分をつくるためにやっているのか、それがわかっているのかと。

 

〇深さとパワーのある声をめざす

 

 楽譜の読みから始めるピアノの練習が苦痛なように、出ない声で歌わされるトレーニングも楽しくないはずです。なら、やめましょう。

 私は、明らかに間違ったところや相当の危険なレベルでしか注意しません。身体から自由に声が出るようになるまでは充分に自分の身体や息を感じ、思いっ切りやってもらいたいからです。

できないからやるのですから、最初はできっこありません。それを忘れてはなりません。そこに細かな注意をしたら、委縮するだけです。できることを少しでも見つけ、自信をつけると共に、それを全力でやらせる期間を充分にとることです。

 できることは、できるのだから何も言わなくてもよいし、できないことは言っても仕方がないのです。中途半端なトレーニングを急ぐより、できているかできていないのかを、その人のレベルから高いレベルへと自分自身で判断できる耳を養うことこそ、最も大切なことなのです。

 そのためには、まず声を「より強く、より太く」していくことです。すると、できないということがはっきりして、そのギャップを埋めるためにトレーニングか効果をもたらします。

日本人のもつ感覚「長く、高く、響かして」では、いい加減になります。これは、結果でよいのです。「強く大きく太く」していくべきです。はっきりと声で伝え、歌を扱うには、身体から捉えた深い声が必要となるからです。

もちろん、そう思われない人も、そう歌わない人もいます。日本では、この条件がなくても通用する歌い手も少なくありません。でも、あなたが、本当に上達するなら、ここにポイントを絞り込まないと、難しいのではないでしょうか。

 

[声をより強く、太くしていくトレーニング]

1.「あいの」(ドレミ)

2.「あまい」(ミファソ)

3.「とおく」(レミレ)

4.「マリア」(ラドド)

5.「ひらすら」(シドレレ)

6.「ふたりの」(ドレミファ)

7.「いのちかけて」(レミファミファソ)

8.「あおぞらに」(ソソラソファ)

9.「よあけまで」(ドソソソソ)

10.「ひかりに」(ファミレミ)

「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.4

〇外国人(欧米人)の方が声では有利

 

外国人との発声の大きな違いの原因となっているのは、日本語の浅い発声、日本人の生活様式など、さまざまです。姿勢一つとっても、私たちはどうしても猫背になりがちで、響く声を出すのにひと苦労です。言語を発するポジションも、喉のあけ方も違います。

頭骸骨も、鼻、あごの形なども、民族によってかなり違いがあります。その違いは共鳴体にも変化をもたらしています。たとえば、共鳴体が違うと声や言語も違ってくるのです。

共鳴体の違いは、声の違いを生むとともに、民族によって出しやすい音と出しにくい音という差異も生んでいます。その民族にとって出しにくい音を使った言語はなじまないので、それぞれの民族に適した言語体系が形成されていくのです。

英語教育による影響をもっとも強く受けているのが、海外生活の経験がある子どもです。同じような体格の子どもであっても、海外で生まれ育った子どものほうが20ヘルツほど声が低くなるという調査結果があります。体格的な理由以上に環境や文化が声に影響を与えているのです。

 

〇日本人も音声に関心を

 

日本人は、話し声も小さく、メリハリ、響き、パワーに欠けます。しかし、外国人は総じて身体についた声で、明るくはっきりと発しています。

もう日本人も、体格、骨格や背の高さなども外国人と変わらないようになりました。きちんとした発声を身につけることができれば、同じように声が出せるはずです。

ただ、声を引き出すのは、必要性ですから、言語、文化、風土の問題の方が大きいのです。日本では、異民族、異言語にさらされてきた多くの外国人ほどに、音声に対する関心や表現力が必要にせまられなかったのです。

とはいえ、邦楽では、80歳でも朗々とした声を出す人もいます。歌う声も、話し声もトレーニングしだいで克服できるのです。

 

〇英語に、パワーや勢いをつける

 

日本人の英語の発音は、とてもよくなりました。しかし、発声とリズム(強弱)がまだよくありません。

口先で英語を器用に発音しているだけでは、英語らしい雰囲気で聞かせているだけといってもよいでしょう。声は前に飛ばないし、強い息にのっていない。歌も声の芯や深い息がないので、私は、その一声で、およそ日本人だとわかります。

欧米の言語は、強い息を発し、舌、歯、唇で生じさせる子音を中心とします。日本語にないパワー、勢いがあります。それがしぜんに深い声や多彩な音色につながるのです。そこまで耳と声で捉えている人は、日本人には稀でしょう。

しぜんな発声と呼吸を身につけた身体があってはじめて、外国人と対等に声で渡り合える実力につながるのです。ですから、身体からの深い息を深い声にするようなトレーニングを続けることです。

 

〇日本語と英語との違い

 

日本語と英語のニュースで、同じ内容を伝えるためにどれだけの時間を要したかを測定してみました。その結果、日本語では14秒、英語では21秒でした。さらに、10分間で何音節話しているかを調べると、日本語では160、英語では110でした。

日本語では少ない時間内に多くの語数を費やし、より多くの情報を伝えようとしていることがわかります。つまり、日本人は早口だということになります。このスピードの違いは、英語ではひとつの単語を伸ばして話したり、強調するための間などが多く見受けられるのに対し、日本語では比較的どんどん言葉を進めていってしまう違いによるのでしょう。

 

〇性格と声

 

日本人の声の大きさは、欧米人の声に比べると小さいといえます。音圧にして、34デシベルほどの違いがあります。日本人にとっては、人前で話すことや声を大きく出すことは、まだまだ抵抗があるのでしょう。欧米人は、そういう恥ずかしさを逆手に取るようなところがあります。

洋画や海外のドラマなどを見ていると、自分が失敗をして恥ずかしくてしょうがないというときに、ひときわ大きな声で笑い飛ばす、なんていうシーンが少なくありません。自分の感情をどんどん前に押し出していくのです。

 そういうふうに、声で伝えるというのは、日本人にはあまりみられません。楽しいときには豪快に笑い、怒ったときには派手に怒声をあげるとよいのです。

「自立して知的に協力する」No.388

緒方貞子さんが尊敬していた聖心女子大学初代学長マザーブリットは、

Be independent 、

Be intelligent、

Be cooperative、

この3つを備えた人間を育てようとしていました。

自立、知的、協力、この3つをしっかりと備えるのは、なかなか、難しいことです。

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