閑話休題 Vol.81「薙刀」(1)
〇特徴
薙刀は、奈良時代から平安時代にかけて出現した、相手を薙ぎ斬ることを目的にした日本固有の長柄武器。「太平記」に最も登場する武器で、南北朝時代に普及しました。
薙刀は、間合いが広く、斬る以外にも刺突や打撃を与えられます。刃の先が大きく反っているのが特徴で、刃の長さによって「大薙刀」と「小薙刀」に大別されます。
長い柄の先に反りのある刀身を装着し、「長刀」(“ながなた”とも読まれた)と言われていました。「刀」に打刀が生まれると「短刀」と区別するために呼称した「長刀」と区別するため、「薙刀」となりました。
長巻(ながまき)は、長大な太刀を振りやすくするために柄をそのまま長く伸ばした柄の長い刀で、薙刀は、刀の柄を長くしただけではなく刀身と柄も斬撃に特化させたものです。
柄の先に反りのある刀身が付いており、刀剣に近い。
突くと斬るを目的に使われ、刀身は平均約30cm~60cmの長さ。
柄(拵え)は平均約90cm~180cmで刀の鍔がある。
全長約210cm超の「大薙刀」もあり、通常のは「小薙刀」とわけられる。
槍とは違い、柄の断面が楕円形。
戦場では刀身は剥き出しであるが、平時には刀身には鞘が被せられていた。
槍と違い地面に突き立てることはないため、石突は先尖形ではなく半月形など石突側でも斬り付ける用途に向いた形。
水軍用もあり、柄が短く、艪としても用いられるように石突が翼状。
実戦用は、必要最低限の金具に漆塗。
熨斗付薙刀(のしつきなぎなた)や銀蛭巻ノ薙刀(ぎんひるまき)のように、柄に装飾を施したものもある。鍔は小振りなものが主流、
鍔のないものもあるが、大太刀のように大型の鍔を持つものもあり、鍔付薙刀とも呼ぶ。
遠心力を利用して、腕力を要せず使用できる薙刀は扱うのには技術が要ります。その長さを利用して、敵を自分の懐に入れないようにして、距離を保ったまま、薙ぎ払うか突くなどの攻撃を繰り出すためです。
刀よりも遠い間合で戦える
長くも短くも扱える
切るだけでなく、打つ、祓うなど多彩
左右を持ち変えて使える
重量があるため、衝撃が強い、
両手を広げて持てば扱いやすい
反りがあり、ひっかけることができる
腕だけでなく全身足腰を使うため、身体操作を学ぶのに適切。
欧米では、日本の薙刀はヨーロッパの長柄武器であるグレイブ、パルチザン、ハルバードなどと類似の武器。グレイブと比較して、薙刀は刀身の部分が日本刀のようになっています。中国の青龍刀も似ています。
アニメ映画もののけ姫で、サンが持っているのが槍、ゴンザがアシタカに曲げられたのが大太刀、タタラ場の人々が手にしていたのが薙刀。地侍や鎧武者にも長巻を使う者がいます。
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