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2024年2月

閑話休題 Vol.83「薙刀」(3)

○女性と薙刀

 

戦場から姿を消した薙刀は、武将の正室などが城を守るために用いる武具となりました。槍は、突き刺したり叩いたりする必要があるため、腕力の弱い女性には扱いづらいですが、薙刀は、振り上げれば、重力によって振り下ろせます。

江戸時代には、帯刀は男性の特権となります。女性の武芸、護身用の武具として、薙刀を所持するようになり、武家への嫁入り道具のひとつになりました。

近代になっても女性のたしなむ武道となり、ひらがな表記のなぎなたとなります。戦う日本人女性キャラが使う主な武器と言えば薙刀でしょう。薙刀に「号」をつける場合は、女性の名をつけるのが慣しです。

 

薙刀術が武家の女性のたしなみとされたのは、鎗や刀は重く、それに比べ、遠心力を活かせるため、あまり腕力を必要とせず、護身用の長物としてもふさわしかったからでしょう。

女剣士達が用いた薙刀は、江戸時代には薙刀術として、武家の子女が身に付ける武芸となりました。非常時に、主君やその正室などが城や屋敷から逃げる時間を稼ぐために、腰元が応戦する武具にも、薙刀が用いられたのです。そして薙刀全体が小振りな造りになっていったのです。

薙刀術は、競技人口の9割が女性を占める武道なぎなたへと繋がり、武術や精神が、現代の女性に受け継がれています。

 

○三人の女性

 

中野竹子 幕末期にあたる1846年生。会津戦争で若松城下の女性達と共に「婦女隊/娘子隊」(ふじょたい/じょうしたい)を自ら結成します。飛弾を受けて重傷を負い、妹に介錯させて自決。23歳で、非業の最期を遂げたのです。

 

巴御前 合戦に参戦した女武将であり、薙刀の使い手としても知られています。平安時代後期、信濃国出身の巴御前は、「源義仲/木曽義仲」の側室。「平家物語」において「一人当千」の猛将であったと評されていた一方で、「源平盛衰記」には、「長に余る黒髪を、後へさと打越て、額に天冠を当て、白打出の笠を着て、眉目も形も優なれけり。歳は二十八とかや」とあり、上品で見目麗しい女性でもあったと。

1184年(寿永3年)には、「治承・寿永の乱」「源平合戦」における戦いのひとつ、「粟津の戦い」苦戦を強いられた源義仲軍は、たった5騎となるまで追い込まれることに。巴御前は、敵将恩田八郎の首をねじ切る武勇を見せました。源義仲は討死します。刃の反りが深い大ぶりな姿の薙刀が、巴御前の名前を取って「巴形薙刀という名称でも分かるように、男性武将顔負けの勇将であった巴御前に、女性の武具である薙刀を結び付けることで、強い女性としての理想像である。

 

立花誾千代(たちばなぎんちよ) 女城主としても名高い戦国時代の女武将。1569年「女子組」(おなごぐみ)を結成。外部からの攻撃があった場合に備えて、薙刀を持って武装していました。1600年、関ヶ原の戦い、加藤清正軍の進軍を妨害したと伝えられています。

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.8

○子音のトレーニング

 

 アーティキュレーションとは、明瞭な発声と、発音、音声の形成、継ぎ目をつなぎ合わすことです。母音はアタックせず、舌、唇を使いません。なめらか(スラー)に流れるので、レガートを中心とする歌唱の基本トレーニングに使うのです。

 それに対し、アタックするのが、子音です。これは、舌、歯や唇を使います。

 舌は、子音を作るとともに、母音につなげる準備をしています。正しく舌を使うとともに、必要なとき以外は舌を平らに保ち、力を抜いておきましょう。舌が邪魔してはいけません。

 参考までに、主な発音もあげておきます。

 

「ラ」

lよりも縮こまり、やや後方につき、舌根が固くふくらみます。したがって、喉の奥の開きが狭められ、声は奥に入ってこもってしまいます。「ダ」に近いです。下あごが固くなり、ガクガクと動きがちです。

 

l

舌をやわらかく薄く扱い、先端(舌の先の裏側)を軽く上の前歯の先(軟口蓋)につけます。舌根は固くなりません。下あごは動きません。

 

r

巻き舌で舌の先を軟口蓋を利用して震わせます。

 

(参考)gli(リ)イタリア語

軟口蓋に舌の表面(lと逆側)をつけ、舌の両側から息を出しながら舌の上の歯の根元をずらすように前に移動して発音します。

 

f」、「v

日本人は、hbになりがちです。下唇の上に軽く、上の歯を押しあて(かんで)息を押し出すのです。やわらかく唇を使います。水戸黄門のように「ファッファッファッファッ」と笑ってみましょう。「フ」は唇を閉じない、上下の摩擦音です。

 

「∫」(シュ)

上下の歯の間に少し隙間ができて、唇は柔らかく膨らませ、つき出して息を押し出します。唇やアゴの力が抜けているのです。日本語のシュは、唇を少しとがらし、上下の歯もほとんど閉じています。

 

n

これも、外国語では上あごに舌の先がついて、瞬間的に鼻に抜け、音となりません。

 

[アタックの強さを変えるトレーニング]

 次の5つを、強、中強、中、中弱、弱の順に発音してください。

sa、sesisosu

ga、gegigogu

ta、tetitotu

da、dedidodu

ka、kekikoku

ba、bebibobu

 

[アタックからレガ-トにするトレ-ニング]

ka-akeekiikookuu

ga-ageegiigooguu

ba-abeebiiboobuu

ta-ateetiitootuu

da-adeediidooduu

pa-apeepiipoopuu

ba-abeebiiboobuu

 

○日本語のトレーニング

 

 あまり速いテンポでトレーニングすることはよくありません。早口ことばのように速いスピードで声を使おうとして、いくら間違えずにスラスラと速く言えたとしても、不自然になるだけです。本当に伝えたいときに、そんなことはしないからです。

 声の響きのトレーニングでも、あまりよいトレーニングになりません。

 100キロの球がまともに打てぬバッターに、150キロの投球マシーンでトレーニングさせるでしょうか。結果としてフォームがくずれるだけです。フォームさえ身につきません。こういうときは、確実にミートできる球でしっかりとフォームを整えつつ、感触を身体で覚えていくものでしょう。つまり、目的が、あたればよいというものではないからです。

 充分に息と身体を使いましょう。ことばを発し、その分、空気が入るのを待って、こなしていくことです。

 最近の曲は速くなっていますから、リズムにのせて早口で、歌えることも必要です。しかし、口だけが速く動いても伝わりません(それでよしとしているのが、J-POPにもたくさんあるのは残念ですが)。ピアノでも速弾き競争はありません。そういうトレーニングは、つけ焼き刃にすぎず、いつまでも、速くうまく言えないことになります。速く言えるようになっても、意味や情感を伝えられなければ何にもなりません。時間と競って速く言うトレーニングは、最初は無用です。悪いくせを助長する原因となります。

 声がしっかりしていくと、1曲3分という時間はとても長くなるのです。そういう時間感覚が身につけば、歌詞を伝えるのは簡単です。しぜんと人が驚くほど多くのことばを短い時間に盛り込めるようになってきます。

 口でなく、感覚が働き出すからです。正しい発声は、おのずと機敏性をもたらしてくれます。その結果、自分で速く感じず、聞いている人にも速く感じさせず速く言えてしまうようになります。ことばのトレーニングは、まず相手に伝わるようにゆっくり、しっかりと読むところから、始めましょう。

 

50音のトレーニング]

 カ行からラ行までを読んでみましょう。

 読むパターンとしては、

アエイオウ

イウエアオ

アエイウエオアオ

アエイオウオアオ

などがあります。

 

○ことばのトレーニング

 

 一息で5音くらいまでをひとくくりで一拍のつもりで読んでみましょう。

 

○詩を読むトレーニング

 

 心に思い浮かべ、その情感や風景が伝わるように読んでみましょう。呼吸、間あい、声の大きさ、スピード、すべてに注意して構成してみましょう。

 

○歌詞を読むトレーニング

 

 歌詞をよく読んで、自分なりの解釈、さらにストーリーをつくり、オリジナルといえる読み方(歌い方でもよい)にまで高めてみましょう。

「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.6

○姿勢が悪い人は、声も悪い

 

・トレーニングの姿勢

発声の基本は立った姿勢となります。でも、最初から立ったときに、お腹からの声を出すのはなかなか難しいものです。発声に呼吸も伴った、理想の姿勢(フォーム)を身につけるのは、プロでも、今もって課題としている人が多いほどです。

そこで、座ったり、寝ころんだりした姿勢から、習得していく場合もあります。

よい姿勢とは、無理のないしぜんでリラックスをしたものです。

最初は姿勢を意識するだけで、身体に力が入りやすくなります。何もかも力で固めてしまいがちです。これでは、すぐに首や肩がこり、疲れてしまいます。

長時間その姿勢で保てないようなフォームは、よくないのです。だからといって、楽な姿勢がよいというのではありません。

大きな鏡の前で、練習してみましょう。よい姿勢のつもりでも、そうでないことがほとんどです。外見からもチェックできます。

 

・よい姿勢の声

<姿勢がよいと声道がまっすぐになるので、声の通りがよくなり、ノイズが少なくなる。3000ヘルツ前後の成分がよく出ている。>

 

・悪い姿勢の声

(身体を前かがみに曲げたとして考えると)、姿勢が悪いときは、声道が狭くなり、声の通りが悪くなるため、スタンディングウェーヴ(定在波)が出てくる。

【スタンディングウェーヴ(定在波)】…波のように行ったら戻ってくるという動きのこと。どの世界でもあるが、声の世界でもこういう波形はある。>

 

・理想的な姿勢のチェックリスト

発声の基本姿勢について

まず両足は少し間を開けて(1015cm)、つま先を開きぎみ(約60度)に立ちます。

肩から腕は力をぬき、手をだらっと下げます。

顔は少し上向きにし、視点を定めます。目線がきちんと定まると、意識が集中し、うまくリラックスできます。

上向きにしすぎると、あごが上がって声が出にくく(焦点を集めにくく)なります。

とはいえ、慣れないうちはどこかに力が入ってしまうものです。

実際の練習では、力が入らないように(とくに喉に)、身体をしなやかにして固めずに行なってください。前のめりにも、まっすぐにもならない程よい感じでやってください。

理想的な感覚は、次のチェックリストのようなものですが、そこから入るのがよいとは限りません。気づいたら、そうだったという結果オーライでよいのです。

 

「結果として、リストのようになっていること」をいつか確認してください。これを同時に、すぐにはやれません。発声と姿勢との両立は、感覚や身体が伴わないと無理なのです。共に身について、しぜんにこなせるまでには、時間がかかるものなのです。

 

しぜんでゆったりとした楽な姿勢 → 楽、しなやか、美しい

顔はいく分上向き → あげすぎない

目はしっかりと見開き → 目に力を

視線はまっすぐより少し上に → 声の線の先に集中する

舌先は前歯の裏。舌の両側を奥歯につける →舌は平たく

頭はやや後ろに、下あごを少しひく、上あごより前に出さない → うなじを伸ばす

肩、首に力を入れない → 肩は少し後方にひき、まっすぐおとす

首は立てる → 首を傾けると喉を圧迫する

胸をはり、やや上方に広げる → 胸は広げたまま高く保ち、おとさない

腕は力を抜く → だらっと下げる

お腹は引っ込める → 下腹部はゆるめ、内側へ吊り上げる感じ

背筋はきちんと伸ばす → ただし、まっすぐにして張りすぎない

お尻の筋肉を肛門の方向へ締める → 少しヒップアップする

ひざから太モモの内側を前方にまき込む感じで骨盤を前に少し出す

かかとは少し(1015cm)開く → 重心は開いた足の中心にもっていく

つま先の方を60度程度に開く → 体重はやや前方(両親指)へ

 

○身体を柔らかくすると、声も温和になる

 

よい声のためには、身体をいつも柔軟にしておくことです。それが自分の身体、ひいては呼吸を思い通りに動かせるコツだからです。そうでなくては、よい姿勢(フォーム)もできません。

とくに、首や肩の筋肉が凝っていると、声をコントロールする筋肉にも影響が出ます。マッサージしたり、柔軟体操をして身体を柔らかくしておくことは、声をむやみに出したり、歌うことより、よほど大切なことです。毎日欠かさずにやりましょう。

身体が固い人やいつも凝っている人は、よく全身の筋肉をほぐしておくことです。そのうち、「声と呼吸、身体との関係がつかめてくる」でしょう。呼吸や発声のトレーニングは、それ自体が目的ではなく、むしろ「深い息で深い声を確実に扱える」ように「結びつきを強化、調整する」ことが目的なのです。

リキみは、ひざを曲げたり、身体を動かして解放しましょう。「休みを途中にたくさん入れる」ことです。身体の一部分に力が入りすぎてしまうときは、身体の他の部分に意識をもっていくと、力が抜けてきます。もっと早く力を抜くためには、その部分に力を入れて抜くこともできます。

 

・身体が固いときの声

<たとえば緊張して話しているときや身体の状態があまりよくないときのように、身体が硬くなると声も硬くなる。データ上は、体調がよくないときや姿勢が悪いときにやや似てくる。>

 

身体が柔らかいときの声

<「おはようございます」

比較的、美しい声の波形に似ている。>

「初めてと最後」 No.390

子供のときや若いときには、初めてみるものが多く、

歳をとると、これが最後かと思って、みることが増えます。

だからこそ、それを逆転させてみなくてはならないと思います。

常に、両方からみるように心がけるとよいと思うのです。

なんでも初めてみるかのようにみましょう。

それを見るのは、もう最後だと思ってみましょう。

モノだけでなく、人に対しても、そうするとよいでしょう。

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