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閑話休題 Vol.83「薙刀」(3)

○女性と薙刀

 

戦場から姿を消した薙刀は、武将の正室などが城を守るために用いる武具となりました。槍は、突き刺したり叩いたりする必要があるため、腕力の弱い女性には扱いづらいですが、薙刀は、振り上げれば、重力によって振り下ろせます。

江戸時代には、帯刀は男性の特権となります。女性の武芸、護身用の武具として、薙刀を所持するようになり、武家への嫁入り道具のひとつになりました。

近代になっても女性のたしなむ武道となり、ひらがな表記のなぎなたとなります。戦う日本人女性キャラが使う主な武器と言えば薙刀でしょう。薙刀に「号」をつける場合は、女性の名をつけるのが慣しです。

 

薙刀術が武家の女性のたしなみとされたのは、鎗や刀は重く、それに比べ、遠心力を活かせるため、あまり腕力を必要とせず、護身用の長物としてもふさわしかったからでしょう。

女剣士達が用いた薙刀は、江戸時代には薙刀術として、武家の子女が身に付ける武芸となりました。非常時に、主君やその正室などが城や屋敷から逃げる時間を稼ぐために、腰元が応戦する武具にも、薙刀が用いられたのです。そして薙刀全体が小振りな造りになっていったのです。

薙刀術は、競技人口の9割が女性を占める武道なぎなたへと繋がり、武術や精神が、現代の女性に受け継がれています。

 

○三人の女性

 

中野竹子 幕末期にあたる1846年生。会津戦争で若松城下の女性達と共に「婦女隊/娘子隊」(ふじょたい/じょうしたい)を自ら結成します。飛弾を受けて重傷を負い、妹に介錯させて自決。23歳で、非業の最期を遂げたのです。

 

巴御前 合戦に参戦した女武将であり、薙刀の使い手としても知られています。平安時代後期、信濃国出身の巴御前は、「源義仲/木曽義仲」の側室。「平家物語」において「一人当千」の猛将であったと評されていた一方で、「源平盛衰記」には、「長に余る黒髪を、後へさと打越て、額に天冠を当て、白打出の笠を着て、眉目も形も優なれけり。歳は二十八とかや」とあり、上品で見目麗しい女性でもあったと。

1184年(寿永3年)には、「治承・寿永の乱」「源平合戦」における戦いのひとつ、「粟津の戦い」苦戦を強いられた源義仲軍は、たった5騎となるまで追い込まれることに。巴御前は、敵将恩田八郎の首をねじ切る武勇を見せました。源義仲は討死します。刃の反りが深い大ぶりな姿の薙刀が、巴御前の名前を取って「巴形薙刀という名称でも分かるように、男性武将顔負けの勇将であった巴御前に、女性の武具である薙刀を結び付けることで、強い女性としての理想像である。

 

立花誾千代(たちばなぎんちよ) 女城主としても名高い戦国時代の女武将。1569年「女子組」(おなごぐみ)を結成。外部からの攻撃があった場合に備えて、薙刀を持って武装していました。1600年、関ヶ原の戦い、加藤清正軍の進軍を妨害したと伝えられています。

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