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「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.6

○姿勢が悪い人は、声も悪い

 

・トレーニングの姿勢

発声の基本は立った姿勢となります。でも、最初から立ったときに、お腹からの声を出すのはなかなか難しいものです。発声に呼吸も伴った、理想の姿勢(フォーム)を身につけるのは、プロでも、今もって課題としている人が多いほどです。

そこで、座ったり、寝ころんだりした姿勢から、習得していく場合もあります。

よい姿勢とは、無理のないしぜんでリラックスをしたものです。

最初は姿勢を意識するだけで、身体に力が入りやすくなります。何もかも力で固めてしまいがちです。これでは、すぐに首や肩がこり、疲れてしまいます。

長時間その姿勢で保てないようなフォームは、よくないのです。だからといって、楽な姿勢がよいというのではありません。

大きな鏡の前で、練習してみましょう。よい姿勢のつもりでも、そうでないことがほとんどです。外見からもチェックできます。

 

・よい姿勢の声

<姿勢がよいと声道がまっすぐになるので、声の通りがよくなり、ノイズが少なくなる。3000ヘルツ前後の成分がよく出ている。>

 

・悪い姿勢の声

(身体を前かがみに曲げたとして考えると)、姿勢が悪いときは、声道が狭くなり、声の通りが悪くなるため、スタンディングウェーヴ(定在波)が出てくる。

【スタンディングウェーヴ(定在波)】…波のように行ったら戻ってくるという動きのこと。どの世界でもあるが、声の世界でもこういう波形はある。>

 

・理想的な姿勢のチェックリスト

発声の基本姿勢について

まず両足は少し間を開けて(1015cm)、つま先を開きぎみ(約60度)に立ちます。

肩から腕は力をぬき、手をだらっと下げます。

顔は少し上向きにし、視点を定めます。目線がきちんと定まると、意識が集中し、うまくリラックスできます。

上向きにしすぎると、あごが上がって声が出にくく(焦点を集めにくく)なります。

とはいえ、慣れないうちはどこかに力が入ってしまうものです。

実際の練習では、力が入らないように(とくに喉に)、身体をしなやかにして固めずに行なってください。前のめりにも、まっすぐにもならない程よい感じでやってください。

理想的な感覚は、次のチェックリストのようなものですが、そこから入るのがよいとは限りません。気づいたら、そうだったという結果オーライでよいのです。

 

「結果として、リストのようになっていること」をいつか確認してください。これを同時に、すぐにはやれません。発声と姿勢との両立は、感覚や身体が伴わないと無理なのです。共に身について、しぜんにこなせるまでには、時間がかかるものなのです。

 

しぜんでゆったりとした楽な姿勢 → 楽、しなやか、美しい

顔はいく分上向き → あげすぎない

目はしっかりと見開き → 目に力を

視線はまっすぐより少し上に → 声の線の先に集中する

舌先は前歯の裏。舌の両側を奥歯につける →舌は平たく

頭はやや後ろに、下あごを少しひく、上あごより前に出さない → うなじを伸ばす

肩、首に力を入れない → 肩は少し後方にひき、まっすぐおとす

首は立てる → 首を傾けると喉を圧迫する

胸をはり、やや上方に広げる → 胸は広げたまま高く保ち、おとさない

腕は力を抜く → だらっと下げる

お腹は引っ込める → 下腹部はゆるめ、内側へ吊り上げる感じ

背筋はきちんと伸ばす → ただし、まっすぐにして張りすぎない

お尻の筋肉を肛門の方向へ締める → 少しヒップアップする

ひざから太モモの内側を前方にまき込む感じで骨盤を前に少し出す

かかとは少し(1015cm)開く → 重心は開いた足の中心にもっていく

つま先の方を60度程度に開く → 体重はやや前方(両親指)へ

 

○身体を柔らかくすると、声も温和になる

 

よい声のためには、身体をいつも柔軟にしておくことです。それが自分の身体、ひいては呼吸を思い通りに動かせるコツだからです。そうでなくては、よい姿勢(フォーム)もできません。

とくに、首や肩の筋肉が凝っていると、声をコントロールする筋肉にも影響が出ます。マッサージしたり、柔軟体操をして身体を柔らかくしておくことは、声をむやみに出したり、歌うことより、よほど大切なことです。毎日欠かさずにやりましょう。

身体が固い人やいつも凝っている人は、よく全身の筋肉をほぐしておくことです。そのうち、「声と呼吸、身体との関係がつかめてくる」でしょう。呼吸や発声のトレーニングは、それ自体が目的ではなく、むしろ「深い息で深い声を確実に扱える」ように「結びつきを強化、調整する」ことが目的なのです。

リキみは、ひざを曲げたり、身体を動かして解放しましょう。「休みを途中にたくさん入れる」ことです。身体の一部分に力が入りすぎてしまうときは、身体の他の部分に意識をもっていくと、力が抜けてきます。もっと早く力を抜くためには、その部分に力を入れて抜くこともできます。

 

・身体が固いときの声

<たとえば緊張して話しているときや身体の状態があまりよくないときのように、身体が硬くなると声も硬くなる。データ上は、体調がよくないときや姿勢が悪いときにやや似てくる。>

 

身体が柔らかいときの声

<「おはようございます」

比較的、美しい声の波形に似ている。>

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