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2024年3月

閑話休題 Vol.84「薙刀」(4)

〇分類

 

薙刀は、形状によって分けられます。

 

巴形薙刀は、「女薙刀」とも呼ばれ、形状や長さに明確な規定がない薙刀です。一般的には、鋒/切先(きっさき)の方が強く反り、身幅が広がっているのが特徴。

江戸時代に制作された婦人用薙刀の形状、巴形薙刀という名称も江戸時代になってから付けられました。木曽義仲の愛妾、巴御前にちなんで命名、その由来に巴御前は関係がないという説もあります。

 

静形薙刀  「男薙刀」とも呼ばれ、形状や長さに明確な規定がない薙刀です。一般的には反りが浅く、身幅の先が狭い、いわゆる菖蒲造の日本刀に似ているのが特徴。静形薙刀術、静流は、鬼から剣術を習った源義経が、その剣術を薙刀術に応用し、静御前だけに教えたことがはじまりと言われています。

 

筑紫薙刀  室町時代、九州地方の大名「大友家」を中心に、筑紫地方で盛んに使用された薙刀です。最大の特徴は、柄に収める茎(なかご)がないこと。

刀身の棟側に「櫃」(ひつ)という輪状の金具を付け、そこに柄を通すという特殊な構造をしています。鋒/切先(きっさき)の方が強く反り、身幅が広がっているのが特徴。

中国大陸より伝来した各種の長柄武器から発展したものと考えられているが、農器具「草刈大鎌」「枝切大鎌」の長柄鉈から発展したという説も有力である。このため、鉈長刀、無爪鉈長刀とも呼称する。「鉈長刀」の呼び名は、『大友興廃記』でも度々登場し、大友氏ではこの武具が重用されていた。

大阪府羽曳野市の壷井八幡宮には神功皇后所持との伝承がある薙刀が収蔵されており、この形式である。

 

袋薙刀  安土桃山時代になり、筑紫薙刀と同じように刀身の峰側に櫃を持ち、この部分に柄を挿し込んで固定して使用する形式の長柄武器が出現した。これらは「袋薙刀」と呼ばれ、瀬戸内の水軍衆を中心に用いられている。

「袋槍」とは違って刀身の根元がソケット状の「袋穂」になっているわけではなく、筑紫薙刀とほぼ同じである。違いは、刀身の形状が薙刀とほぼ同じ冠落造りや菖蒲造りの刀身形状を持つものから鎬の無い平造りのもの、ほぼ半月形に近い形状のものまで多岐に渡っていることと、櫃が二つあるものが多く存在する。

 

鍵付薙刀  鍔の代わりに鍵(鉤)の付いた薙刀。薙刀本来の動作に加え、鍵で引っかけることが可能。戸田派武甲流薙刀術が使うことで知られている。

 

日本式眉尖刀  中国大陸より伝来した眉尖刀から発展したもの。中国式の眉尖刀とは違い日本刀や薙刀と同様の重ね構造で刃金が存在するとされるが、身幅が広いという特殊な形状である。現存する流派では元戸隠流(忍術)の武神館が使用。実際に昔から日本で使われていたかは不明。

 

 

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.9

〇声域と声量を確実に拡げる考え方

 

高音を出したいとか声量が欲しいというのが、ヴォイストレーニングをする直接の動機の人が多いようです。高音がうまく出ないのを高音部での発声の方法がわからないからと考えてしまうのでしょうが、そんなことで無理なトレーニングをやっても、結局、いつまでも身につかないのです。問題は、そこにあるのではないからです。なぜなら充分にトレーニングされた身体にとって、高音域や声量を出すときに間違いは生じません。出るか出ないかだけであり、声域や声量は、大した問題ではなくなってしまうからです。

 身体を充分に使い、高い音をとろうとしたら、正しくなくては一声にもならないからです。悪いくせをつけて、発声すると喉をつぶしかねません。しかし器用に中途半端にできてしまうと、気づかずにそのまま直らないし、鍛えられないのです。

 なぜできないのかというと、そこまでの発声(中音域、低音域)がよくないからです。適当に出しているから、身体も息もついていないのです。そこまで間違ってくせをつけて出してきたから、高音域になるとそのくせがさらに拡大され、限界になるのです。こういう声そのものの判断がまったくできていないことが問題なのです(残念なことに、日本のヴォーカリストの大半も、ここに当てはまります)。

 そもそも、日本人が考えている発声が、大して身体も息も使わないから、仕方ないのです。単に、音を届かせたり、力でがなるだけです。これではノイズは生じても、声を音楽的にひびかせ、歌にすることはできません。それを音響技術が、カバーしてくれているのです。

 ピアニストを考えてみればわかるでしょう。聞きたいのは、感性からくるタッチに秘められた表現なのです。音に届いているとか音程がとれているとかいう次元のことではないのです。

 基本トレーニングを続けることによって、誰でも歌うのに充分な声域と声量は、獲得できます。しかし、鍛えるところは、身体と感覚しかないのです。正しく使われる声は、身体のあるかぎり、声、そして声がもたらす音楽の可能性を追究できるのです。少なくとも、トレーニングは確実に伸びるところ、つまり身体に土台をおいてやるべきだというのが、私の基本的な考えです。

 

〇フレージングの概念

 

 フレージングとは、聞き手にしぜんに、かつ最大の表現力をもって、歌を伝えるためになくてはならないものです。

 その目的は、ヴォーカリストが1つのフレーズを何度も繰り返して、「決まった」という表現を求めて発見し、決定していくことだといえます。曲や詞の解釈、さらにヴォーカリストの個性までを、そこに凝縮させていくことです。フレーズの繰り返しと変化が歌を構成するのですから、フレージングは単一でなく、一曲のなかの構成からも考えられるべきでしょう。

 

「あなたゆえのわたし、わたしゆえのあなた」という文を、1)あなた 2)ゆえの 3)わたし 4)わたし 5)ゆえの 6)あなた とわけてみて、それぞれを順に強調して読んでみましょう。

 身体の使われ方、言いやすさ、ノリ、伝えやすさ、伝わりやすさとかなりの変化が生じるでしょう。

 もう少し具体的に意味をもたせるため、次の文でやってみましょう。意味というのは、思い入れとなってくるものです。

「あなた、そんなことを、どうして、わたしにおっしゃるのですか」順番もいろいろと組みかえてやってみましょう。

 

 フレージングは、ことばでなく音で組み立てていくものです。一番わかりやすいのは、音の組み立て(構造)の専門家である作曲家、つまり、楽譜から聞かせどころを見つけ出していくのです。

 そこには、ピッチ、テンポ、各種の音楽記号(クレッシェンド、リタルダンドなど)がついています。さらに、演奏上の原則(4拍子なら、強、弱、中強弱、3拍子なら、強、弱、弱といったもの)もあります。分散和音なら、つなげてはいけないとか、テヌートなら、ひびきをおいていくとか、2拍3連なら、心持ちゆっくりなど、感覚的からくるルールもあります。

 そういうものをすべて総合し、歌の見せ方は、ヴォーカリストのフレージングの組み立てを中心に決まってきます。誰もが耳に心地よいと感じ、そこにハマると浮き浮きする、その感じの出し方などです。これは、プレーヤーに直接、学ぶことをお勧めします。

 

[プロミナンス(強調)のトレーニング]

強調するところを変えて言ってみましょう。

1)あなたゆえのわたし わたしゆえのあなた

2)あなた、そんなことを、どうして、わたしにおっしゃるのですか

3)夢を見ていた、遠い日、誰も知らない僕は

4)まっ白な雲、青い空、光る窓ガラス

 

ことばのなかでの強調([ ]を強調しましょう)

1)[あ]なた[ゆ]えの[わ]たし

2)あ[な]たゆ[え]のわ[た]し

3)あな[た]ゆえ[の]わた[し]

 

リズムをとりながらいってみましょう。

  あなたゆえのわたしわたしゆえのあなた

1)123123123123123123

2)123412341234123412

3)1--2--3--1--2--3--

4)1-----2--3-----4--

 

〇呼吸とフレージング

 

 歌は聞き手ののぞむように、気持ちよく聞かせ、さらに、ときたまそれを裏切るようにして新鮮な驚きを与えることが望まれます。期待よりも音を長くしたり、強くしたりするのも、快感をもたらします。その人の新解釈、フレーズ上でのアレンジを加えることにより、さらに魅力を増し、感動を呼ぶのです。

 いわば、それこそがオリジナリティ、個性であり、表現です。その人の歌い方や声と結びついたところで唯一できることだから、価値があることなのです。もちろん、お客の方にも好き嫌いは生じるかもしれませんが、それを超えて納得させるところに大きな意味と喜びがあるのです。

 このフレージングの妙は、同じ歌を違うヴォーカリストが、ほぼ同じテンポ、構成で歌うときに大きな差として現れます(たとえば、「愛の讃歌」、「枯葉」、「オール・オブ・ミー」、「サマータイム」など、ジャズ、シャンソン等には、多くの人が歌っているスタンダード・ナンバーがたくさんあるので聞き比べてみるとよいでしょう)。ヴォーカリストのみならず、他のパートの演奏も比べてみるとよくわかります(特にサックス、トランペット)。

 その感覚は、まさに呼吸そのものです。はまったときにはアウンの呼吸、それを超えて感動したときは、まさにアー、ウンウンとうなるしかなくなり、そのプレーヤーに息をつめられたり、解放させられたりしてしまいます。

 フレージングを考えるときには、呼吸、つまり、吐くこと、そして吸ってまた吐くことの動きから、感じていくとよいでしょう。次に、声で実感していきます。

 歌詞を読むのもそのためです。同じ歌詞が繰り返されるとしたら、そこに何らかに意図や意味を見い出し、変化を表現しなくてはなりません。すると、息の吐き方が違ってきます。(ブレスの違いが、次のフレーズを決めます。)

 一般的に曲の構成は、ピークを中心に、そこまでは盛り上がらせて、そのあとは、それを収縮していきます。

 メッサ・ディ・ヴォーチェ(ディクレッシェンドから、クレシェンドして、さらにディクレッシェンドしていく)などは、フレージングの基本トレーニングです。強いということを高いということにおきかえると、音を上げていって下げるトレーニング(ド-レ-ミ-レ-ド)でも、これと同じことをやっているといえます<ブレスヴォイストレーニングでは、このように低中音域※を声量におきかえてマスターしていきます>。

 

[呼吸のコントロール]

次のことばを読んでみましょう。

1)あなたの腕で私を強く抱きしめて

2)遠い思い出、やがて消えゆく面かげに

 

息で、自分の好きな歌詞を読んでみましょう。

 

息を多く吐いて身体から読んだあと(息よみ)、同じように身体を使って強く太く言ってみましょう。それからメロディをつけて歌いましょう。

1)アオイアオ(ドレミレド)

2)しろいくも(ドレミレド)

3)とんでもない(ドレミファミレ)

4)いなかのお地蔵(ドレミファソファミ)

 メロディやことばを変えてやってみましょう。

 

 

「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.7

〇声を聞いたら、どんな姿勢かわかる

 

立った姿勢は自由すぎて、最初はうまく定められず、声が出にくい人もいます。そのときは、イスに腰かけてやるのもよいでしょう。このときも、背筋を伸ばし、肩の力をぬいて(あがらないように)腕に力を入れないようにすることです。背もたれに寄りかかったり、身体が前かがみになったりしないように注意します。

誰でも、疲れたとき、寝るときは、しぜんと寝ころびます。これが楽な姿勢だからです。

発声のフォームも、リラックスをした姿勢という点では共通しています。寝ころんで声を出して、呼吸と発声の感覚や結びつきをつかむことです。

腹式呼吸は、仰向けになって息を吐いてみるのが、一番わかりやすいでしょう。その姿勢で声を出し、身体に力が入ってしまうところがないかをチェックしてみてください。次に座った姿勢、その次に立った姿勢と、順にやります。

 

・寝た姿勢 

<声がストレートでなく、腹式発声が行われていないことがわかる。>

 

・座った姿勢

<寝たときと立った時のちょうど中間の波形となる。>

 

・立ち姿勢

<腹式発声が行いやすい。同じエネルギーを使うなら、立って声を出すのが一番効率よく発声できるといえる。一般的にも、歌うときには立った方が声がよく出るといえる。>

 

〇気を入れると声も遠くまで飛ぶ

 

「人前で話すと、声が届かない」とか、「電話で何度も聞き返される」といった相談を受けることがあります。そういう人は、総じて声に覇気がありません。

健康状態は、すぐに声に出ます。身体が弱くなると、息がしっかり吐けなくなります。こういう声はよく思われません。

つまり声よりも、その人自身に、話すときに必要な「気」が満ちていないところが問題です。声もコントロールするものである以上、しっかりと伝えたければ、「気」の力や集中力は、人一倍必要です。

もちろん、呼吸機能、とくに吐く息が弱い人、腹筋が弱くて強い息の出せない人は、身体づくりから必要です。

次に、話し方の問題です。話そうとするのでなく、本気で伝えようとしてください。すると、その人なりの話し方が出てくるものです。それらを、よりよい方向ヘブラッシュアップしていくことです。

心を込めて伝えようとしたら、それなりに伝わるものです。伝える目的や強い意志のないところで、声だけ届かせようというのでは無理です。その上で、よりよく伝えられるためにトレーニングが必要なのです。

話すことはプロという意識でとりくむべきです。少なくとも、テンションは、外国人の平均レベルまでは、到達したいものです。

 

〇腹筋は、声を支える

 

発声のためには、腹筋運動が有効であると考えられてきました。腹筋は鍛えないよりは、鍛えた方がよいですが、腹式呼吸そのものに直接、効果的とはいえません。腹筋運動での筋肉の強化は、多くのスポーツの選手に必要ですが、声にとっては実際に腹式呼吸に使われる呼吸機能(内側の横隔膜に関わる筋肉や肋間筋など)を鍛えることです。

声は息によってコントロールされ、息は身体でコントロールします。それに関わる筋肉は、一連の呼吸運動(息を吐くこと)によってトレーニングすることです。

もちろん、適度にお腹の筋肉を鍛えておくことは大切なことです。他の人よりずいぶんと弱い人には、必修かもしれません。あなたがアスリートなら、多分、充分です。何事も「その人の現在もつ条件で違う」のです。腹直筋を、鍛えることで、お腹を固めてしまうなという人もいます。

 

〇声は共鳴しないとよくならない

 

声帯だけの声(喉頭原音)では、プープープーというブザーのような音にすぎません。

口の中には口腔、鼻の中には鼻腔と呼ばれる共鳴腔があります。口腔には舌、歯、唇があり、声帯でできた声は、ここで共鳴を起こします。そして、口の外に出るときに、調音されて言葉になって出るのです。

 

共鳴を増すためには、声を少し低めで大きく出して、喉がビリビリといわないように気をつけて、胸の中心に響きを感じてみましょう。決して押しつけたり、勢い(息や身体の力)で雑に荒っぽくやらないことです。もともと声が高めで、喉をしめないとうまくできない人は、頭部の響きから入ってもよいでしょう。

 

<胸の響き>言葉としては、「ハイ」、「ハオ」、「ガイ」、「ナイ」、「ライ」などから、もっともやりやすい言葉を選び、やってみましょう。頭や顔でなく、喉に響くようなら、もっと低くしましょう。

手を当ててみて、胸、肋骨、背骨、尾てい骨と、下のほうまで響いているかチェックしてみましょう。最初は少しも響かなくてもかまいません。あごを出さずに、首や肩、舌などの力は抜くことです。肩があがらないようにします。

 

<頭部の響き>次に高めの声で、「マア」「ナン」「ニャー」「ネエ」などて、顔面や鼻の響きを感じましょう。もっと高くすると、頭に響くように感じますか。このときも、胸部の響きを感じられたら、すごくよいです。

共鳴を頭部、胸部と分けるのでなく、そこに一本の線があって、喉に負担をかけずに自由にバランスを変化できるようにイメージしてみてください。ともに、喉の奥を広くあけるような感じです。

 

「自立する」 No.391

自立とは、依存を切ることではありません。

自立できている人とは、依存先が、たくさんある人ともいえます。

 

でも、依存しないでいるのです。

むしろ、多くの人に依存されているのです。

つまり、備えのある人、

備えあれば憂いなし、の実現している人です。

 

子供なら、いじめたり、いじめられたりせず、

いじめられた子に頼られ、

いじめっ子を制することのできるような存在でしょう。

 

大人なら、いじめをなくそう、などと唱えるのではなく、いじめられたら、どうするかを具体的に教えられる人でしょう。

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