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「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.10

〇暗い声の人は、明るい声にして幸運を

 

暗い声を明るくする方法

舌がうまく前に動かないと、こもります。喉の奥、舌のつけ根に響きがこもっているのです。これは、寝起き状態と同じです。舌を高くし、前に声を集めるようにします。話し声も、やや高めにするとよいでしょう。

「イ」の口形で、アエイオウを言います。

「イエイアイオイウ」「イ」は、もっとも明るい母音です。(明るいものから順に「イエアオウ」、子音のtがイの位置と同じです。)

「ガナタラバパ」をくり返す。(タラは、舌先で発します)

「バベビボブ、パペピポプ、マメミモム」

声をのみ込むような状態で、奥の方でしゃべっているようであるなら、軟口蓋と歯を意識して、唇を使う音で顔面にもってくるようにします。(バ、パ、マ行がよいでしょう。)

 

〇太った方が、声が出るのか

 

オペラ歌手などのイメージからでしょうか。「太った方が声が出やすいのですか」などと聞かれることがあります。体格のよさや首の太さなどは確かに、声に有利な要素のひとつかもしれません。しかし、そうでないから不利ということではありません。無理に体型を変えようとしなくてもよいでしょう。

声楽家のなかには、太っている人の方がよい声だというイメージもあり、体重を増やしたり、胸筋などを鍛えたりしている人もいます。役者などは、役作りにも関わるでしょう。人それぞれです。

ただ、極端なダイエットは声によくありません。「変えられないものは考えない」「変えられるものも、その必要性をまず考える」ことでしょう。その上で判断してください。

 

・暗い声

エネルギーが弱い、声が小さい、聞き取りにくいというのが暗い声といえる。肺から声帯を振るわせる空気のスピードが遅くなればなるほど、周波数が小さく、力強く張れば張るほど、声は高くなるということがいえる。

 

・明るい声

声が明るいというのは、発声にエネルギーを費やしているということがいえる。

 

〇声は似させても無理がくる

 

声には、先天的なところと後天的なところがあります。厳密には、指紋と同じで、“一人ひとり”声紋は違うので、他人と全く同じにはなれません。声帯や発声器官での限界もあります。

男性が女性の声でしゃべろうとしても、不しぜんになります。もしその声を自分の普段の声として使うのなら、仕事にも耐えられないでしょう。あなたのイメージも異なってきます。できたら、選ばない方がよいでしょう。そこが楽器を学ぶことと違っています。

相手とあなたの骨格、声の発声器官などが近ければ、似せるのは比較的容易です。しかし、あまりお勧めしません。声や歌は、けっこう加工できるので、それをわかりにくくしてしまいます。

成果をあげたいなら、好き嫌いはさておき、「自分がもって生まれた楽器をきちんと使いこなすことに目標を絞る」ということです。つまり、神様が、あるいはあなたの先祖代々、ご両親が与えてくれた「あなたの体という楽器を目一杯、生かすこと」こそが、もっとも有利なことだということに早く気づいてください。

 

〇日本人の声に、メリハリ、インパクトはつくのか

 

欧米圏の言語を話す人の声との大きな違いの原因となっているのは、高低アクセントと浅い発声ポジションで成り立つ日本語そのものの性質、そしてコミュニケーションに対する日本人の考え方です。

たとえば、日本とは、それなりの年齢をした女性が子供のように甘えた声ではしゃいだ話し方をするなど、声への偏ったイメージづくりがあります。大人としてのよい声のイメージがもてないといってもよいでしょう。

日本人では、声をぶつけあい主張し合うような風潮がなく、明瞭に断定する表現をさける傾向にあります。つまり、声にメリハリなどがあまり必要とされなかったのです。話し方も声もあいまいなものの方がよかったのです。

この音声への認識力の弱さと、その効果的な使用法への無頓着さは、寡黙なのをよしとした日本の文化、風土の影響を抜きに語れません。そのため、音声表現力においては、日本は未だ三等国から脱しえていないのです。

 

〇誰でもなりたい声になれるわけではない

 

ヴォイストレーニングに対して、

「どんな声でも出ますか」

「高い声、大きな声が出ますか」

「せりふや歌がうまくなりますか」

「声帯など発声器官も変わりますか」

などと聞かれることがあります。

声という音の発信源としての楽器が体ですから、声帯など、自分のもつ発声器官で決まることが大きいのです。体格、首などと、発声器官も、大きく関係します。

声帯を中心とした発声器官自体は、トレーニングで変わっていくところもあります。そこが、変わらなくても、声の出し方で変えることもできますので、心配する必要はありません。

「心配することが、発声を一番悪くする」のです。

 

〇喉に力が入っていませんか。

 

喉をあける方法

次の順でやってみてください。

1.あごをひく

ほとんどの人は、あごがまえに出ているので、斜めうしろにひくことです。胸の位置を少しあげてからひくと、首や喉を圧迫しません。親指であごを強く押してみてください。この状態で声を出すとよいです。

2.舌は平らにする

喉がつまる原因の一つに、舌が硬くなることがあります。舌根(舌の奥の方)が盛り上がると、口の中が狭くなり、変に共鳴した、つめた声となります。すると、音色も発音も不安定になります。舌が平らになった状態を鏡で確認して声を出してみましょう。

喉は下がって口の奥が広くなり、下あごが下方に開いて首と近づきます。口は縦に開く感じです。

 

・喉声(強く喉を使った声)

喉の筋肉に力を入れて発声している。実際につぶしてなくとも、つぶした声よりも、もっと喉に力を入れている人がいます。同じ喉声でも、人によって声が違う。それは共鳴体の違いと、発声の仕方の違いが関わっている。口の形、大きさなどによっても声は変わる。

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