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「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.13

〇喉声と鼻声

 

声には、楽器である身体の出口から分けて、喉声と鼻声の2種類があります。鼻声とは、風邪をひいて鼻が詰まっているときの声、鼻をつまんで出したときの声です。要するに、鼻腔を通さずに出した声で、鼻を使わない声が鼻声なのです。喉声とは、鼻と口を使った声全般のことです。

 

〇鼻にかかりことばがはっきりしない

 

鼻にかかるのがあまりにひどい場合、鼻の病気(蓄膿症、アデノイド)かもしれません。耳鼻咽喉科にいってください。

すぐに鼻にかかってしまう人は、鼻にあまり抜けないように意識してください。「ナ」を出した状態のように、軟口蓋が下がっているのです。(開鼻声)

それに対し、鼻づまりのような声(閉鼻声)は、その逆のことが起きているのです。

ことばが言い切れずしどろもどろになっている人は、はっきりとことばを言い切るトレーニングをしましょう。

 

・鼻にかかる声、鼻づまりの声

一般的に鼻声というと、鼻から出てくる声と思うが、日本語では、鼻から出てこない声のことを鼻声という。鼻で共鳴されて出てくるのは、3000ヘルツ以上の成分が出ない。

 

・鼻に抜ける声

高い周波数成分が鼻から出ていることがわかる。ことばのフォルマントというのは、3000ヘルツまでは何を言っているかというのはわかる。「子音」は高周波なので、これがきれいに出るとすっきりと聞こえる。(「さしすせそ」がきれいに出るとさわやかに聞こえる。)

 

〇イキミ声、つめた声を直す

 

イキミ声は、浪曲の浪花節、落語漫才の上方、河内音頭の特長です。出産のときのイキんだ声のように、喉をしめつけ、胸も圧迫します。

トレーニングでは、舌根があがらないように、指やスプーンを入れておさえさせるトレーナーもいます。

しぶい声は、時代劇の侍の「拙者は」という声です。これも、喉、あご、胸に力が入っています。

つめた声というのは、浪曲声、荒れた声、ドスの効いた声を想像してください。口をあまり開かず、喉を押しつける声です。

発声障害なら治療する必要があります。声の使いすぎ、空気の悪いところで声を出すこと、飲みすぎ、たばこの吸いすぎも、原因となります。これらを治すには、喉の力を抜くことからです。口先に声をソフトにもってくるイメージにしてください。

舌が邪魔したり、あごしか動かしていない人、舌が長いことでそうなる人もいます。こういうときは、舌の動きをトレーニングしましょう。「タカラ」ということばを繰り返すとよいでしょう。

 

・だみ声

日本独自の歌、声明、義太夫、長唄、浪花節などには、ほぼすべてだみ声が使用されている。倍音、すなわち高調波と息の摩擦などによるノイズ音がたくさんのっている声といえる。

だみ声であれば高調波がずっと上のほうまでに伸びていく。

 

〇頭のてっぺんに響かせたキンキン声をやわらかく

 

声も声帯のところだけでは、喉頭原音と呼ばれる、鈍い音にすぎません。この喉頭原音が声道に響いて、話し声や歌う声となるのです。共鳴は、声を伝えるときには、なくてはならないものです。

音は空気中を伝染するのですから、声の響かせ方は、重要な要素となります。声量のコントロールや言葉のメリハリを決めていきます。この響きを邪魔して活かしきっていないなら、もったいないことです。

声がキンキンと響いている人は、大半は頭(顔)の方だけに無理に響かせているからです。自分には快感でも、浅く広がった響きは聞き苦しいし、ことばが聞きとりにくくなります。響きがうるさくない人のは、深い声を柔らかく扱っているからです。

一昔前の日本のおかあさま方が、電話に出たときのようなキンキンする声は、聞いていて疲れるものです。これは、ていねい、上品なイメージの場合もありますが、度を過ぎると不快です。

とはいえ、逆に地声、生声をストレートに響かせて使う人にも、疲れさせる印象になる人がいます。度を超えないように録音を聞いて調整しましょう。

 

・キンキン声

基本周波数が高く250くらい。かん高い声の成分は4000ヘルツくらいのところまで出てくる。通る声以上に、耳に障る声。

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