「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.15
失われた声を取り戻す心を感じ声に表現する
ヴォイストレーニングメニュー100
ここでは、声のうまく出ない人や初心者、あるいはグループ(劇団・声優など、声をプロとして使っていきたい人たちも含む)でのトレーニングとして、楽しく効果的な材料をご紹介します。うまく工夫して使ってください。
1.赤ちゃん泣きのトレーニング
仰向けになって、赤ん坊のつもりで、泣き声をあげてください。いきなり、やろうとせず、赤ん坊の気持ちになり切るところから始めます。
嬉しい、笑み、寂しい、誰もいない、ぐすん……そこからべそをかいて、そして……「アーンアーンアーン」泣いて泣いて泣きじゃくって、すっきりとなるまで楽しみます。泣き声に感情移入して、酔ってみます。この感覚を取り出します。
気が済むまで泣いたら、次の点をチェックしてみましょう。
□両肩さがる
□胸は拡げる
□下腹ひっこむ
□喉は開く
この機会に思いっきり若返りましょう。発声については、あなたも赤ん坊なのです。そして、生まれたばかりのときのエネルギーを感じ、元気になりましょう。
生まれたときから出発しましょう。大声で泣くというのは、訴えること、まさに表現です。横隔膜も活発に動きます。
疲れを感じたら、静かに休みましょう。赤ん坊の泣き声くらいに、人の心に働きかける声を感じましょう。
2.喃語のトレーニング
生まれてからしばらくすると、赤ん坊は、見よう見まねで大人のすることをまねし始めます。ことばにならないことばで、声を発し始めます。その時期のことばを喃語といいます。
それでは、何か思いを伝えるために、どんな音でもよいですから、適当に組み合わせて、力一杯、表現しましょう。でたらめことばをぶつけるのです。仲間とやっても、鏡に向かってやってもよいでしょう。
例)「フニャームアー」
「タララ」
「マームン」
「ウー」
3.簡単なことば(母音)のトレーニング
次のことばを一度、読んでみたあと、似たようなことば(母音中心)で、自分の気持ちを即席に表してください。
アーアーアー
エーエーエー
イーイーイー
オーオーオー
ウーウーウー
アーエーイーオーウ
アエ アイ アオ アウ
エア エイ エオ エウ
イオ イウ イア イエ
オウ オア オエ オイ
ウア ウエ ウイ ウオ
アエイ エイオ イオウ オウア
4.強いことば(子音)での表現トレーニング
「ダダダーン」「バキュンバババ」「ビシャーン」「バボビン」など、子音を中心に、ことばを組み合わせて、自分の持つ気持ちを強い感情として表現してみましょう。
5.でたらめ外国語のトレーニング
何語でもよいですから、その国のことばらしく発して、会話をしてみてください。お手本は、タモリ氏の中国語です。難しければYouTubeなどで、よくわからない国のことばを似たように復唱してみるとよいでしょう。
6.ちゃんとした外国語のトレーニング
NHKなどの外国語放送をかけて、よく聞いてできるだけ大きな声で復唱してみましょう。自分の耳にきれいに聞こえ、まねしやすそうなことばを選ぶとよいでしょう。特にラテン系の言語、イタリア語、スペイン語などは、おすすめです。
7.英語でシャウトのトレーニング
次のことばを格好よくシャウトしましょう。
Yes!
No!
Hey!Hey!Hey!
Yah!
Oh!
Du!Du!Du!Da!Da!Da!
ことばにします。
One!Two!Three!
Dance!
Sing!
Laugh!
Long!
Moon! Maria!
その他、考えつくままに、発してみましょう。
8.胸郭を拡げ、息を感じる
動物のように四つんばいになってみましょう。
1)背のなかに向けて息を入れます(吸気)。犬のように「ハッハッハ」あるいは「ハアーハアー」と息を吐いてみましょう。よくわからない人は、そのまま数分間駆けまわるとわかります。
2)脇の下から胸(助間筋)を拡げる
最初は、息を吸う感じがあるかもしれませんが、やがて逆に拡がった分だけ息が入ってきます(上胸部のみで入れるくせをとってください)。
3)背骨のまんなか、腰のうしろに中心を感じられますか。
9.心を響かす音
ものまねをしてみましょう。感性をとぎすましながら、イメージの風景を拡げてみましょう。太鼓や鐘の音などは、人の心に何ともいえぬ情緒をもたらすものです。人間太鼓、人間鐘になれますか。
次の例にとらわれず、自分の好きな音に変えてみてください。
太鼓のまね「ドーンドーンドーン」
鐘のまね 「キーンコーンカーンコーン」
10.耳をすます
ジョン・ケージに<4分33秒>という曲があります。4分半もの時間、演奏者はじっと座っているだけです。その間にザワザワと周囲から聞こえる音が、曲なのです。
耳を澄まし、他の人の咳払い、足の床にすれる音など、いろんな音を感じてみましょう。
いろんな場で、5分近く、沈黙して、耳に神経を集中してください。
さらに、いくつか、普段はゆっくりとあまり聞いたことのない曲をじっくりと味わってみてください。
1)沈黙
2)日本の童謡を聞きましょう
3)ゴスペルを聞きましょう
4)オペラを聞きましょう
5)グレゴリオス聖歌を聞きましょう
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