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「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.14

〇ハミング

 

ハミングは口を閉じることで障害物をつくり、高い周波数が出てきません。「hun」「hu」は鼻から空気が抜ける音で、「n」は口を閉じた音です。声の周波数は出ていません。

ハミングだけでは、何を歌っているのかわからなくとも、基本周波数は出ています。たとえば、音楽のメロディラインのキーがよくわかるということです。基本周波数の変化が、音階の違いです。歌声ではなくとも、メロディはとれるのです。

 

〇ハミングのトレーニング

 

声帯をきちんと合わせ、充分に声の響きとして、コントロールするのに、ハミングは、よく用いられます。長時間続けても、喉を痛める危険が少ないので、調子の悪いときの調整にも使います。

鼻のつけ根に響きがくるようにしてみてください。なめらかに、一音一音をつなげていくことです。口は最初は閉じて、次に少し開いて行なうとよいでしょう。

ハミングが苦手な人は無理にやらなくてもよいでしょう。ナ行、マ行の音を使いましょう。

 

[声を柔らかくする]

次の音で練習しましょう。

ンガングンギンゴング(ガ行は鼻濁音)

ナネニノヌノナノ、ンナンネンニンノンヌ

マメミモメモマモ、ンマンメンミンモンム

 

〇裏声とファルセットについて

 

音声学上では、声区という考えがあります。これは低声区、中声区、高声区と三つに分けます。低声区を胸声区、高声区を頭声区と二つに分けている場合もあります。さらに、仮声区=ファルセットというつくり声を、その上におきます。

ファルセットとは、falsettoで、これはfalse、嘘の、間違った、偽の、といった意味です。ヨーデルとかハワイアンでおなじみの声です。

一般的に、裏声といわれているものも、いくつかあります。

 

・響きを頭に逃がし、頭の一部から出ているように聞こえる声

音色はぼやけて、声の方向性も厳密にはコントロールできないものです。強くはできません。とくに、日本人のアマチュア、ママさんコーラスなどによく見られます。

 

・地声と裏声の間のような声

半裏声と言えます。しぜんな呼気だけで小さい音を身体で出せます。身体は、脱力した状態を保ちます。息の支えを乱さないように少しずつ大きな声にしていく練習をしていくとよいでしょう。

 

・裏声をやや強めたような声

シャープな響きとなり、強く出すことができます。高音域と中音域の境もスムーズに、調節できるようになります。

 

〇ファルセットの難しさ

 

よく歌を歌うときに、腹式発声のことをいわれると思いますが、それは声の聞こえがよいということ以外に、音が安定するのです。喉の筋肉だけでもピッチを変えようとすれば、変えられるのですが、逆にちょっとしたことで変わってしまいます。肺からの空気流で音を変える場合は、お腹で支えるので、安定して同じ音を出せるのです。

ファルセットというのは、喉の筋肉を使うので、ふらつくことが多いのです。ファルセットにすると、音が安定しないということは、よくあることだと思います。逆に、ファルセットで歌いこなせるということは、高度なテクニックだといえるのです。

黒人のファルセットがなめらかなのは、黒人の筋肉を見てもわかるとおり、喉の筋肉もしなやかなのではないかと思います。個人差があると思いますが、声帯も強いし、体格、身体の柔軟性の違いもあるでしょう。

 

・ヨーデル、ファルセットの声

地声も出ているが、それよりも高い声が出ている。声帯の筋肉が張っている状態でこういう声を出すと、筋肉が収縮する。

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