閑話休題 Vol.98「盆栽」
お盆に土や砂、石、コケなどを配して、自然の景色をつくり、鑑賞する。中国や日本の伝統芸術。庭園、盆栽、生け花と同様に、自然の美を立体的に写実、表現しようとする立体造形芸術である。樹木単体の容姿から自然の美を想起させる盆栽とは異なり、配置や景色の工夫をこらす。
〇歴史
盆景は、盆石(ぼんせき)、盆庭(ぼんてい)、盆山(ぼんさん)などと呼ばれ、形として表現。
鎌倉時代1309年制作といわれる春日権現験記絵。
1620年(元和6年)、桂離宮を造営するにあたり、桂宮の指示で庭師に庭の見本、箱庭の始まり。中国からも盆景の技法が伝来。
江戸時代には盆景の本が出版。
1870年ごろ橋本市蔵が盆景の復興。
1890年ごろ和泉智川が化土(けと、泥炭の一種。挿し木を植え付ける)で山岳や奇岩などを造型する方法。盆景は発展。
1916年の昭和天皇立太子礼に、日比谷公園で菊花展と共に出展される。
〇手法
モチーフとしては、岩上の松や奥山の滝瀑など。
化土を用いた盆景では練ったものを金属製のヘラで岩石に造型。
人や動物、家屋を表現するために、焼き物、木彫を配置。一般的に長期に保存することはできない。
「縮小」極小主義 ミニチュアリズム、ジオラマ、箱庭
一寸法師や桃太郎や牛若丸 “小さな巨人”「小人」小人伝説 日本神話にはスクナヒコナ
「ひな」「まめ」「小屋」「小豆」
「細工」「小細工」
ごはん茶碗、文庫本、コンサイス辞典、カラオケルーム、カプセルホテル、ウサギ小屋
トランジスタ、ウォークマン
万葉集 萩は141首 藤 桜 日本では美「うつくし」は、「くはし(細し)」
短編小説 掌篇小説 岡田三郎、武野藤介、川端康成、俳句
6つの「縮み志向」の型「『縮み』志向の日本人」(学生社1982年)で李御寧(イ・オリョン)
[入籠(いれこ)型] 「込める」、俳句で「の」による入籠、「東海の小島の磯の白砂に…」。
[扇型] 扇子は落語、大相撲などで見立てる。折り畳み傘、カップヌードル、着物たたむ。
[姉様人形型] こけし、盆栽、模型、フィギュアやミニチュア志向。
「仮名」や「どうもどうも」を使う。
[折詰弁当型] 行器(ほかい)、曲げわっぱ、破籠(わりご)、提げ重、重箱など松花堂弁当 (栄久庵憲司は「幕の内弁当の美学」)
「詰める」のが日本人、「見詰める」「詰めが甘い」「張り詰める」「大詰め」「詰め込み学習」「缶詰」
[能面型] 「動きを止める美意識」「動きを縮めている」
歌舞伎の見得、お茶のお点前、剣道の仕草、相撲の仕切り、弓の準備、書道の呼吸、小笠原流の礼法
[紋章型] 「凝る」凝り性 日本の紋章 「組」「名刺」
「引き寄せ」美の一部を引き寄せた。小さくしながら大きなイメージ「いけどり」「寄物陳思」借景、枯山水の石立 石庭
「見立て」 生け花(活花・立花)にも転用。曾呂利新左衛門が6尺の鉢に桜を盛って吉野山に見立てた。
室町期の華道書『仙伝抄』では、生け花のための枝ぶりには、「陰、陽、嶺、滝、市、尾」を感じるようにと指南。
「縮みの歴史は、ハサミの歴史」利休の朝顔一輪、着物の裁縫、折り紙、盆栽、俳句の「切れ字」
「座」の文化、侘び茶、草庵、「囲ひ」(茶室の古い呼称)、躙口(にじりぐち)、床の間の花器、茶掛け、露地、飛び石など「市中の山居」の縮景
一期一会「時を切る」
「数寄」の文化 「寄席」「寄席鍋」
「縮みあがる」「縮こまる」「小さきもの」「盆景感覚」
“編集”取り交ぜ、組み合わせ、数奇のフィルターが必要、過剰で余白のないのはよくない。
「アワセ・カサネ・キソイ・ソロイ」(松岡正剛)
参考文献:Wikipediaほか
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