« 「最強トレーニング」 Vol.4 | トップページ | 閑話休題 Vol.99「香道」 »

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.24

〇歌のレベルについて

 歌は誰でも歌えます。しかし、ほんの少しさわりの部分を聞くだけで次のような段階での差があるのがわかります。このことを、わかっている人は少ないようです。

レベルA.誰でも歌えるレベル(今の器のなかで)

メロディ、ピッチ、リズムが正確であり、口先でなんとか歌えるのが、一般の人か、ちょっとうまい人です。

レベルB.うまく歌えるレベル(今の器のなかでのコントロール)

イメージと発声とを一致させ、歌らしく歌えるのが、カラオケ上級者です。

レベルC.すごく歌えるレベル(プロの器のなかでのコントロール)

身体、息も含めて、ヴォーカリストとしての統合的な要素をもち、イメージを全身で表現できるようになってはじめて、プロといえます。

 ブレスヴォイストレーニングは、プロの器づくりとそのなかでのコントロールをめざしています(多くのヴォイストレーニングがレベルBを最高としているのは、日本のプロといわれるヴォーカリストのレベルが低いからですが、タレント、アイドルでないからこそ、これからプロになろうという人は、レベルCをめざさないといけないはずです)。

ことばからメロディへのトレーニング

1.朗読をする

2.リズムをとり、リズム通りに朗読する

3.譜面からメロディを感じる(声は出さなくてよい)

4.ヴォカリーズ(母音)で歌う

5.自分のキィでメロディをつけて歌う

〇自分の声は聞けない

 音楽はイメージを重視して、できるだけトータルに捉えることです。自分で出した声を音楽性に照らしあわせて判断するのは、難しいものです。全体の流れやイメージがわからないまま、部分的に加工してばかりいると、うまく聞こえないものです。

 スポーツなどでも、自分のフォームをあとでビデオでみるのはよい勉強になります。しかし、みながらやっても、どうしようもないでしょう。やるときには、思いきってやるしかないのです。イメージした通りに身体は動いてしまうのですから、原因はイメージにあり、修正はそこで行なうべきなのです。

 同じようにピアニストが自分の音を聞きながら、チェックするわけにはいきません(すぐれたピアニストは、イメージで演奏を進めていっているはずです)。ヴォーカリストは、自分の生の声は聞けません。ですから、歌の途中での修正などはできないのです。そういうことから、音に関するイメージづくりと身体の感覚との結合はとても大切なことなのです。

 イメージをしっかりもったら、そこに音、そして声がついていくかどうかをチェックするのです。歌は人前に提示していくのですから、思いっきりのよさ、吹っ切った気持ちでやることも大切です。

 自分の好きなフレーズ(48フレーズ)を自由に思いのままに表現してみましょう。メロディ、ことば、リズムを変えてもよいでしょう。

 原曲よりも、よくなりましたか。

 伝えたいものが表現できたら、その表現の気持ちを残したまま、正確に歌ってみましょう。

(参考)楽器と声との違い

楽器…調律は済んでいます。 筋肉コントロール、つまり弾く技術がいります

声…調律が必要です=発声コントロール 発声技術は、初歩レベル(ことば)では皆、もっています。これをメロディ、リズムの処理ができるようにしていくことが必要です。

〇集中力について

 音楽とともに流れる時間は止まらず、待ってくれません。そこで、すべてを正しく行なおうとすると、何よりも集中力が不可欠となります。

1.立っている

2.姿勢のキープ、視線を集中

3.発声(ゆっくりと) 声に集中

4.イメージ 音(ピッチ、リズム)に集中

 このように、一点へ集中するとリラックスできます。それも目的の一つです。

 それぞれについて、集中力をきたえるトレーニングをやってください(音読30分、続けることなど)。

〇ピッチをイメージして表現するトレーニング

 歌は、テンポの速い曲も少なくありません。口が早くまわることも必要ですが、できたら、早口ことば(これを感情を込めていうのは、結構難しいので)よりも、ピッチをイメージできる速さであげられるようにしていくべきです。口先でテンポをとって速く読むことを競っても、表現が薄まってはどうしようもありません。早い歌詞、リズムもヴォーカリストは、できるだけゆっくりと時間をかけてこなし、ことばのなかに情(情景、心情)を充分にふくませておくことです。結果として速度だけを調節すべきです。速くしたり、遅くしたりすることによって、少しも伝えるものを失ってはいけないのです。

1.楽譜を目で見て、ピッチ、進行、フレーズをゆっくりとイメージする

2.ピアノでゆっくりと弾き、感じます 

感じたままに声にする

3.感じたことを少しずつ速く感じていきます 

そのまま声にする

4.正しいリズムを感じ、正しいテンポに整えフレーズを形成する

 つまり、速いということは、速いことでさらに緊迫した感情が加わらなくてはいけないのです。

 好きな曲のフレーズを速くするトレーニングをしましょう。メトロノームなどを使ってやるとよいでしょう。速さによって、曲のイメージがどのように変化するのかを感じてください。そして、自分の速さを決めて、それを基準に毎日、トレーニングしてください。テンポの感覚も難しいものです(最初は同じテンポなのに速く感じたり、ゆっくり感じたりすることが少なくありません)。慣れていってください。

〇楽譜からトータルイメージで捉える

 野球の選手は、落下しているボールをとるのに数値で計算はしません。これは、バッターのスイング、打ったときの音、風の方向、強さなどのデータから、どういう球道で飛んでくるのかが、瞬時にトータルのイメージとして浮かぶからです。

 ヴォーカリストにとって、このデータの基本となるのが楽譜にあたります。データ通り歌うのではなく、データから多くのものを読みとり、感じ、それを表現していくのです。

 楽譜の読み方については、楽典で最低限は知っておくとよいでしょう。フレーズ中心にトレーニングをしてきましたが、歌一曲を大きなフレーズでいくつかの構成に捉え、それを楽譜で確認してみてください。

〇呼吸上に歌うこと

 息は吐くと入ってきます。しゃべりまくった次の瞬間に、一気に入ってきます。このしぜんな動きの延長上に歌もあります。たいていは、歌はしゃべるよりもハードな動きになります。しかし、身体が鍛えられたら息をそのまま、声にするようにといっています(ただし、深い息でないとできません)。本当は、その間に「発声法」などという媒体が入ってはいけないのです。

 話し声での息や共鳴は、声と息との結びつきや共鳴においては、それなりに合理的なものです。これをヴォイストレーニングのベースにすることができます。口先でしゃべっている人が、全身で語りかけるようになったとき、そこに歌が生まれるのです。

 全身で語りかけてみてください。

1.おかあさん

2.ワーッ

3.ヤァーヤァー

4.オーイ

5.ヤッホー

6.エーイ

7.ファイト!

8.イクゾー!

« 「最強トレーニング」 Vol.4 | トップページ | 閑話休題 Vol.99「香道」 »

3-2.歌の話」カテゴリの記事

ブレスヴォイストレーニング研究所ホームページ

ブレスヴォイストレーニング研究所 レッスン受講資料請求

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

発声と音声表現のQ&A

ヴォイトレレッスンの日々

2.ヴォイトレの論点