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2025年9月

閑話休題 Vol.102「書道」(1)

今回は、成田の書道美術館、鶯谷の(台東区立)書道博物館を見学、上野の東京国立博物館「国宝東寺ー空海と仏像曼荼羅」で風信帖を学びました。空海、そして日本の文字を掘り下げてみます。 

 

〇空海(弘法大師)と書「風信帖」

 

空海の篆書、隷書、楷書、行書、草書、飛白のすべての体、入木道(じゅぼくどう:書道)の祖 書流は大師流、五筆和尚。後七日御修法を行います。

真跡としては、「風信帖(ふうしんじょう)」(1通目の書き出しの句に因んで『風信帖』と呼ぶ。国宝指定名称は『弘法大師筆尺牘(せきとく))。聾瞽指帰(ろうこしいき)、灌頂歴名(かんじょうれきめい)、崔子玉座右銘(さいしぎょく ざゆうのめい)。

 

空海の著書、聾瞽指帰(ろうこしいき)には、雑体書法(飛白書含む)が見られます。特殊な雑体書や飛白書に魅了され、密教の思想を書で表現しようとしたのでしょう。

性霊集(巻四)には、「飛白の書一巻、亦是れ在唐の日、一(ひと)たび此の体をみて試みに之を書す」。嵯峨天皇に鳥獣の飛白一巻を献納。

五筆(ごひつ)とは、両手、両足及び口に筆をくわえて文字を書くことで、空海は五筆和尚(おしょう)ともいわれます。「梵書(ぼんしょ)を能くし八体に工(たく)み」と賞賛されました。

空海が学んだ長安の青龍寺東塔の義真阿闍梨(ぎしんあじゃり)が「恒に故空海大法師の聡明にして五筆を兼ねるを讃ず」と言ったと、円珍が書き残しています。

「空海久しく翰(かん)(ぼく)を閲し、志画一(かくいつ)に深し。安禅(あんぜん)の余()(げき)、時に六書の秘奥を探り、持()(かん)の暇(いとま)、数(しば)しば古人の至()()を検(けん)す」[「李邕(りよう)が真跡の屏風を進むる表」(『性霊集』第四)意味は、わたくし空海は久しい以前より書に関心を持ち、書の道を深めたいと願っておりましたが、禅定(ぜんじょう)の合間に、時には漢字の字形の意味を探り、瞑想の間に暇を作っては、古人の名筆の真意を見極めようとしております。

 

王義之(おうぎし)、(307?~365? 東晋時代の官人、能筆家 行書、草書に特に優れ、書聖)、顔真卿(がんしんけい)、(709785? 唐の官人、能筆家、隷書を楷書に取り入れた筆法)の2人に影響されます。この2人を選んだ眼力に感服です。六朝時代(222年~589年)は、詩文と書が芸術を二分していたのです。つまり、中国の書が最高レベルでした。

 

〇空海と50音字

 

「いろは歌」(47音)は、十世紀後半に作られたもので、その前の空海の時代には、日本の音は四十八音 ア行の「エ」とヤ行の「エ」の区別がありました。

 

空海は、自著の『篆隷万象名義(てんれいばんしょうめいぎ)において、すべての漢字に反切(はんせつ)を施しています。すると、すべての漢字が子音と母音(または複合母音)に分けて書かれます。サンスクリットの音韻学の、母音が(日本風に読むと)アイウエオとなり、子音はカサタナハマヤラワに相当するのを組み合わせ、「五十音図」ができるのです。空海は、反切と悉(しっ)曇学(たんがく)の両方を、日本人として最初に理解したといえるわけです。

 

空海が『聾瞽指帰(ろうこしいき)』を書いた料紙は竪(じゅ)簾目(れんめ)(縦にすだれ模様の入った)の白(はく)麻紙(まし)。中国からの輸入品。空海は、長安で筆作りを学んできて、その製法を日本の職人に伝えました。

特に、文房具にはこだわりました。そのなかでも「文房四宝」とは、筆、墨、紙、硯のことです。

琴、古楽器、古硯、名石、古銅器、帯飾り、古鏡、盆栽、古墨跡、筆架、筆先、水滴、古今石刻、墓誌拓本、法帖、古画、古画幅、山水盆、香木、名筆、古印などを棚に飾り、鑑賞する文化になりました。

 

〇空海とことわざ

 

「能書は必ず好筆を用う」「臨地(りんち)は字を逐()いて変ず」[「東宮に筆を進むる啓(けい)」(『性霊集』第四)]

「弘法も筆の誤り」嵯峨天皇からの勅命を得、大内裏應天門の額を書くが、「應」の一番上の点を書き忘れ、まだれをがんだれにした。「誰にでも間違いはあるもの」から「書き直し方さえも常人とは違う」というほめ言葉まで。

「弘法筆を選ばず」性霊集には、よい筆を使うことができなかったので、うまく書けなかったとある。「弘法筆を選ぶ」逆に転じた言い回し。

「護摩の灰」弘法大師が焚いた護摩の灰と称して灰を売りつける、旅の詐欺師。旅人の懐を狙う盗人全般を指す。

 

〇文字と文化

 

中国も日本も漢字は、およそ5万字です。「中華学海」は85千字超。

日本では、常用漢字2136字(2352音と2036訓の4388音訓)と人名漢字861字です。

文字は、新たな語彙を生み出すものとなります。語彙の数は、まさに文化なのです。

中国では、BC1400年の甲骨文字で3千、漢で9千、六朝で18千、唐26千、明で33千、清で42千と増えました。

これが、5万字ともなると、二字熟語だけで25億もの組み合わせの可能性が出てくるわけです。

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.27

〇ヴォーカルフレーズのトレーニングの考え方

 

 ここでは、私が実際にやっているワークショップに基づいて、述べていきます。私自身は、その日のメンバーの顔でメニューを決め、そのメンバーの調子、反応で、メニューの出し方や進行を即興で決めて進めています。いわば、このワークショップは、ヴォイスアーティストである私のライブです。トレーニング生はもはや生徒でなく、アーティストとしての表現を私に返してくれるところであり、本物がときにうごめく場に至福を感じることもあります。

 ワークショップは、実験の場ですが、その人の声の力、音楽性が瞬時に試されるところです。その基準が本当に身についたら、人をうまいと感心させるのではなく、感動させるすごいヴォーカリストになれるのです。ここでは、トレーニングのやり方の一端を示しましょう。

 

〇声で音声イメージを表わす

 

 ここでは、1曲のまえに1フレーズ、プロと同じように歌えることを徹底してやっていきましょう。

 プロの見本を聞いて、プロとして共通であるべき要素だけをとり込み、その人の個性やくせは参考にして、自分の表現をそこに出すという手順を踏んでいきます。

 多くの日本人ヴォーカリストは、言葉とリズムと音程しか表わせません。それでは、歌の1割に過ぎないのです。もっとも大切なものは声と、その声でいかに音声イメージを表わすかということです。

 言葉から歌にするトレーニング、さらに私のワークショップでのコメントを再現しておきます。同じ課題でやってみてください(ワークショップの形、題材は、毎回変わりますが、ねらいは同じです)。

 

〇昔の歌を使う理由

 

 模範はカンツォーネ(ファド、シャンソン、ジャズ、ゴスペルも使います)です。これは、次の理由からです。

 

1.初心者にとって、日本語を音楽的に処理するのはとても難しいことです。また、英語は発音することと、声を身体から出すことが難しいところが多く、発音ばかりに気がいき、なかなかスムーズに声が出てきません。それまでに歌っていた悪い癖が出やすいこともあります(海外で育った人などは別です)。

 

2.日本人にとって、イタリア語は読みやすく、見よう見まねで短いフレーズならその場でできること。

イタリア語自体が音楽的であり、身体作り、フレーズなど、声楽界で日本人の声作りに実績があること。作りが大きいため、トレーニングに最適であること(45年がんばっても、とても同じようにできない器の大きさがある)。なかでも、カンツォーネは、ポップスのあらゆる要素を含み、盛り上がりも大きく(2オクターブ近い曲も少なくない)、メロディが美しいため、歌の基本を知るための題材として学べることが尽きません。多くの個性的かつ声の魅力に富み、トレーニングに必要とされる基本の力をしっかりともったヴォーカリストが多いことも好都合です。さらに、当時の一流のヴォーカリストには日本愛好家がおり、彼らが日本語で歌ったものが少なくありません。加えて有名な曲の多くは、日本語の訳詞があるため、日本語をポップスとして正しくこなすトレーニングも同時にできるからです。1960年頃の録音は、ヴォーカリストの身体や息がストレートに伝わり、わかりやすいのも、トレーニングの見本としてはありがたいことです。

 

3.現在の日本のヴォーカリストに見本となる人があまりいないこと。

ヴォーカルも表現活動ですから、私自身は今ということと日本(日本人)ということをかなり重要視しています。ですからこれらはすべて、ヴォイストレーニング(プロの声を身につけ、音楽を学ぶこと)において、このように考え、こうやる方が効率的であるということで、こういう歌を歌うようにということではありません。日本のヴォーカリストで、自分で満足して活躍できている人はそれでよいのです。そうでなくて、トレーニングを必要とする人に、効果の上がるようにアレンジしているわけです(歌を教えるのでなく、歌で教えています。歌はその人がつくり出すものだから教えられません)。

 

〇教えられないことを学ぶこと

 

 教え方にはいろいろな教え方がありますが、それでもやはり、99パーセント教えられない部分があって、そこは力をつけ、耳を鋭くし、鍛えられた身体と感受性豊かな心で盗っていくしかないのです。そのためにも、自分の中で判断していく絶対的な耳を早く持つことです。

 それから、あるレベル以上の仲間のなかで、比べてみるというのは確実な上達法になるでしょう。アマチュアとプロというのはみかけはそんなに差があるわけではありません。しかし、本当は、アマチュアとプロとは雲泥の差があり、さらにプロの中でも、ものすごい差があるものなのです。その差が何なのかを知らなければなりません。

 歌が好きといってもレベルがあって、歌うのが好きだというのは、これは皆そう言って歌い始めるし、トレーニングをするわけです。その好きのレベルが全然違います。本当に好きな人と、それからまあまあ好きだという気になっている人といろいろといます。ですから、歌が好きでたまらないということが歌に表われることです。その気持ちは誰も止められないし、活動の原点でしょう。

 すると、好感の持てる歌い方になるし、人を魅きつけます。同じプロのヴォーカリストのなかでも歌が好きだ、というまま出ていく人と、誰もがうまいと認める技術をきちんと持って出ていく人とがいます。簡単なのは歌うのが好きだという気持ちが伝わる方です。技術があるというのは、音楽の場合、本当にしっかりとしたところで培われたキャリアやセンス、血筋みたいなもの、その人に流れているものが必要です。ものごころつくまでに、音楽面で豊かなものが入っている人と、20才位から本格的にというのでは、相当、違います。日本人にはそういうベースの部分は著しく欠けています。それならばなおさら、そこまでのことを早くやらなければならないでしょう。歌は、その人の力量が全部、外に現われてしまいます。ないものを出せとはいえませんから、結局、黙るしかなくなります。

 トレーニングでは1つのフレーズをやってもらうことが多いのですが、それだけでも勝負です。それが何回か繰り返して1曲になっているのですから、そこで勝負しないと、いつまでたっても1曲もまともに歌えないということになります。1フレーズで粘っていろんなことに気づいてほしいものです。そこで気づく力の差が、実力の差なのです。

 

〇声の力で感情表現をすることを心がける

 

 自分の表現がどのくらいできているのかの判断の基準を、1つずつ作っていって欲しいと思います。自分の評価基準をきちんと作っていけば、モノ真似や、聞いた通りの歌い方にならないはずです。歌い始めた途端に入っていた感情が全部抜けては何にもなりません。どれだけ読みの練習をしても、歌に隙があってはダメです。

 歌を聞いて、多くの人は少しムーディで、おおらかに歌っていてと、表層ばかり捉えています。そのために、プロの歌い手が楽々と歌っているように聞こえます。でも、プロとアマチュアの身体は全然違うのです。身体の使い方が同じことなどありえません。実際、フレーズ1つだけでも汗をかくものです。アマチュアは、汗ひとつかきません。身体ができていないのに、身体ができている人より楽なはずないのです。上面だけなでていると、いつまでたっても本当の表現にはなりません。

 段階はありますが、もし100%のうち10%を表現できるのなら、その10%を絶対に殺してはいけません。表現できる10%の力をすべて(100)出せばよいのです。100%のものを薄めて表現していたら、いったい何が伝わるというのでしょう。

 聞いている人が何かそこに感じられるように歌えていますか。言葉でも、メロディでも同じです。自分が表現できることを完璧に伝えようと自分で意識していないと、単に声で歌いこなすだけのマシンになってしまいます。

 身体ができていて余裕を持って歌える人が歌っているのを表面だけまねて、似たような感じに歌うと、ノラリクラリとなるのでしょう。

 プロと同じ高さで同じ長さのフレーズをとろうとするところから間違っています。プロと同じ寸法でとろうとしたら、かなりの身体がいります。キーが少し高ければ、それだけ身体を使います※。

 声のポジショニングを、完全に捉えましょう。そこを完全にキープしていて、息をきちんと送り込むのです。どこにもよりかからないし、どこにも何もつかない声で、その中心をつかんでいると1つの線が出てきます。

 フレーズが大きいと、どうしても声が細くなったり絞られたりしがちですが、身体の力のバランスが、そのまま感情表現になります。こういうのが大人の歌です。歌を悲しそうな声で、または朗々とした声で歌うのは簡単なことなのです。ここで目指すのは、声の力で感情表現することです。「楽器と同じように、声をつかんで動かして使えるようにし、その上で言葉を乗せていく」ことをやっていきましょう。言葉をメロディに乗せる方法もありますが、身体の強さを持たないでやっていると上っつらだけの歌になってしまいますので、気をつけましょう。

 

〇最初は、大きく器を作れ

 

 音域は高くも低くもないところでやりましょう。そこでさえきちんと(やや低めを勧めます)、できていないことを知るとともに、何ができないのかを気づいていかないといけません。ギャップは、みえてはじめて埋まっていくのです。ワケがわからなくても表現してみないとダメです。

 例えば、フォームのできた大リーガーのバッターが、フーッと振ってスタンドに打球を入れているようにみえても、そのマネをしてはダメなのです。素振りをするところから始めなくてはいけません。基準を作ってください。要は表現できればよいのです。思いっきりやってみてください。大きな声で歌えということではありません。身体を使うことを惜しまずに一所懸命にやることです。ひとつのものをグッとまとめてから相手に渡し切るのです。それは、ややもすると乱暴にみえる場合もありますが、身体の力を目一杯使って力をつけるのは、今しかできないことです。ただし、喉ははずしてください。力を使うことが目的ではありません。

 

〇課題を自分のスタイルにひきずりこめ

 

 最初にやることは、うまくまとめることよりも、課題を大きく広げて身体全体でしっかりと受け止めて返すことです。声と感情を表現のうちに一致させることです。歌があって、ではなく、自分の身体があっての表現というスタンスに立ってください。

 タ行やカ行、「し」や「い」や「う」などは、弱点となりやすいところですから、後まわしにしましょう。日本語は言葉を転がしていくこと自体が難しいからです。

「最強トレーニング」 Vol.7

〇ケースバイケースの声の使い方

 

話では、自分のいいたいことを伝えるのですから、相手を迷わせず、自分の話についていきたいと思わせたいものです。話が終わったら、くどくど語らず、そこでサッとひくというのも大切です。

 引き際の好感度も含めて、さわやかな印象を残しておくのです。

 そのために必要なことは、次の六つです。

 

(話し手に求められること) (聞く人の反応) (声の使い方) (例文)

1.明確な意図(方向) -こっちかい   やや強く張りのある声  「こちらにいらしてください」

2.信頼と安心感 -ついていくぞ   落ち着いた低くおごそかな声  「ご安心ください」

3.聞く人の利益 -ついていきたい   高めに明るく楽しそうに  「このようにすると、うまくいきますね」

4.具体的な方法 -ついていける   しっかりとゆっくりとした声で  「そのまま続けてください」

5.要所、ポイントのまとめ -ついてきたぞ   はっきりと明瞭で芯のある声  「このようになりました」

6.投げかけ -わかった、やれそうだ ありがとう   元気に快活にはずむように  「そうです。そのとおりです」

 

 これに必要なのが、1.話し手の態度、2.声での伝達技術、3.話の内容と価値、4.受け手の理解と納得です。

 つまり、話の内容もさることながら、それをどのように声で組み立てて、指し示し、相手の心に届かせるのかということです。

 

〇話の主筋をキープして、枝葉は声でそらす

 

話は本筋からそれても構わないのですが、それが聞く人にわからないことも少なくありません。つまり、ちょっとした脱線や余話も、聞く人によっては、その位置づけを説明しないと伝わりにくいものです。

うまく構成して話をのせていけば、聞く人は正しく判断できるようになるのですが、聞く人にも、いろんな人がいます。そこで迷いが生じると、話の効果が半減してしまいます。そういうときは、一度、話の流れを説明するとよいでしょう。わかっている人にも確認できて安心感がもたらされるし、一区切りともなります。

 いつ本筋がそれて、いつ戻ったのかを、声を少し変えて明示すると、とてもわかりやすくなります。声は大きさ、速さ、語り口と、いろんな変化をさせることができます。こういった枝葉は、話の腰を折っているのですから、適当なところで戻すことです。

話の幹だけでは、建前、能書きで、理屈としては通っても、納得してもらえるわけではありません。幹をより太く通すために、枝葉にそらすのですから、そこでわかりにくくなったら意味がありません。

 そういうときは、具体的な体験談を入れましょう。話がふくらみ、興味がひきたてられるようになります。もちろん、不要な枝葉は、思い切って捨てるべきです。

 枝葉である以上、幹とつながっていなくてはいけません。わかりにくいときは、そのマップを黒板で明示するくらいの親切心があってもよいでしょう。)

 

〇声での転換のトレーニング

 

ことばとともに声を変えることで、内容の転換をスムーズにできます。

<話をそらすとき>

「ちょっと脱線しますが」

「あ、そういえばちょっとこんな話があります」

<話を戻すとき>

「では、話を戻しまして」

「もとい(古い)」

「ちょっと話がそれましたね」

 

〇話を切り替えるときの声の使い方

 

声で次のような変化をさせてみましょう。

1.ゆっくりと

2.おもむろに

3.声をひそめて

4.息声をまぜて

5.低い声で

 

〇話に信頼性をもたせる声の使い方

 

話に信頼性をもたせるためには、話し手の態度に加え、声の使い方で補えます。

話のなかで、あまりに調子よく、よい話ばかりが続くと、まゆにつばもつけたくなります。

そういうときは、少し声を落としましょう。(低くして、ゆっくりと)いくつかの欠点も、あえて伝えるとよいでしょう。これは、結果として、よいところを強調して伝えることになります。

話にはいろんなタイプや切り出しがあります。ときに警告や不安をあおることにも、声はとても有効に使えます。

 

〇結びは余韻

 

何事も、結びは、もっとも大切です。エンディングが決まりそこなったら、どんなよい話も失敗です。そこだけでもうまくいけば、それまで、失敗していても救われます。ともかくここ一番の自信をもって、明るくさわやかにいい切りましょう。

話は、口から発されては消えていくから、確かなものとしては残りません。発されているところから消えます。残るのは、最後のフレーズの感じだからです。

 つまり、最後の(締めの)ことばと、声の余韻が話の印象の決め手となります。鐘の音と同じで、終わったあとに心に聞こえるものがあって、感じるのです。

 映画評論家の故淀川長治氏の「さよなら さよなら さよなら」、水野晴郎氏の「映画って本当にいいですね」

この二人の名は、名セリフとともに記憶されています。そういえば、捨てぜりふというのも、ダメ押し的に働いてくるものですね。

 

〇話の終わり方

 

「それではまとめておきます」、「本日、話したことは〇〇でしたね」のように、きちんとした声で、話を終わらせます。

□「終わりにします」とはいわなくてよい

□だらだら語りつなぐのはよくない

□終わるまえに、終わることを匂わせておくとよい

 

  • まとめることばのトレーニング

1.「要するに、これまで私の話してきたことは、一言で申し上げると…」

2.「本日の話のポイントは…」

3.「これまでの話をまとめてみますと、…ということになります」

要点を強調し、要領よくまとめましょう。

 

  • 締めのことばのトレーニング

1.「本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました」

2.「ご静聴ありがとうございました」

丁寧に、感謝の気持ちを込めていいましょう。

 

〇強く主張するエンディング

 

願望の結び、決意の表明というエンディングもあります。雰囲気を盛り上げて、力強く短く結ぶのは、選挙演説でおなじみですね。

それに対して、問題提起型というのは、断定せず、聞く人に考えてもらうときの、エンディングです。自分の結論を強いず、考えてもらうのです。

 

1.決意表明型

「必ずお役に立てます!」

「皆様のお力添えにかかっています!」

「皆さんのご協力を切に望むしだいであります!」

「私は〇〇ということを肝に命じ、断固として、〇〇する所存です!」

「必ずしや〇〇であると信じています」

「この決意で一杯です!」

「〇〇〇〇でありたいものです!」

「〇〇〇を、ここでお約束致します!」

 

2.問題提起型

「これからは皆さんは〇〇してください」

「〇〇していこうではありませんか」

 

  • 来客への挨拶と別れ際のひとことのトレーニング

ていねいにゆっくりと名残惜しさを声ににじませてみてください。

1.「遠いところお越しいただきましてありがとうございました」

2.「お寒い中をご来社いただきましてありがとうございました」

3.「本日はお忙しい中をわざわざお運びいただき恐れ入りました」

4.「わざわざご足労いただきましてありがとうございました」

5.「では、明後日にお待ちしておりますので」

6.「では、あとはよろしくお願いいたします」

7.「部長の××さんにもよろしくお伝えください」

8.「お気をつけてお帰りください」

9.「では、ご連絡をお待ちしております」

「表現者の時代」 No.409

表現は言葉にした時点で固定されるため、

完成の見極めが難しいものでした。

 

モーツァルトのように

最初から完成させた作品をつくれるのが理想ですが、

未完成でも発表し、後に修正・更新することで

力をつけるプロセスに入ることが、大切です。

 

早く発表する機会、ツールがあるので、

今の時代は、チャンスにあふれています。

 

どうぞ、ポジティブに活かしてください。

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