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「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.28

〇姿勢とフォーム 

 

  • 「ハイ」

息と呼吸を中心に基本トレーニングをやりましょう。まず「ハイ」と大きな声で言ってみましょう。身体全体がひびくようにします。腰を中心に、身体をまっすぐ伸ばしたときに身体の線がでてきます。それに添っていくようにします。 

日本は姿勢が悪いです。あごが出ていて、猫背になります。まず、胸の位置をあげてみましょう。お腹がでるのではなく、骨盤から下が前に入ります。声を出すときに息の抵抗を感じたまま、腰を中心に意識してみることです。 

「ハイ」と言ったときに、肩が動いたり、首に力が入らないようにします。常に姿勢を正すことを忘れないでください。声を息とともに身体に馴染ませてください。歌のときはいろんな形があってもよいのですが、声を覚えるときは声を出すのにベストの形にすることです。 

立った方がいろいろと自由にできます。大きなことも、ひびかせることもできる代わりに、あるレベルまでいかないうちは、うまく使えない人が多いのです。どこかを固定して、声を正しく出す感覚をつかんでいくことです。そこでレッスンでは、最初は身体を曲げさせています。曲げたときの方が感覚がつかみやすいからです。立っている姿勢というのは難しいものです。後はそれぞれにまかせています。一番、声が出るという方向に身体をあわせていくのです。 

 

〇声を身体で捉え、息を吐く 

 

  • 息で〔ハイ〕と言って、声で「ハイ」と言う。最初に矯正する部分は、身体の中心で声を出すということです。身体全体(胸中心に)をひびかせて、その上に声をのせるようにしていきます。そんなに高くない声、大きくない声に関しては、身体で捉えるのが基本です。日本人の場合、ひびきを意識すると喉にきます。上にひびかせようとして、口蓋にぶつけて同時に喉をしめてしまうのです。それで悪いくせがついていきます。最初の1年間は、息が充分に吐けるようにすることです。喉を開いて声を出すことを覚えることです。歌に結びつかなくても、そこの部分を覚え、鍛えましょう。身体というのは、最初に鍛えておかないと、歌をまとめてから(フォームができたときに)身体をつけようとしても無理です。順番としてそのときにしかできないことを、優先してやっていくことです。声の技術的なことに関しては、年数がたってからもできます。むしろ、あとの方がよいわけです。

身体を使えているか、使えていないかをチェックしてください。それには、息や身体が変わってきているかどうかを目安にしてください。 

意識して欲しいことは、高い音のところと息とを結びつけていくことです。日本人の発声の間違いというのは、上の音になってくると、どんどん息が使えなくなってくることです。そして身体も使わなくなってきます。高い音とかより低い音というのは、普通のことと違うことをやるわけですから、当然、より身体で支えなければできないはずでしょう。 

高くなると息はきつくなるかも知れませんが、息を吐いていくことです。その息を使って声を出していくというのが原則です。高くなればなるほど、息を吐いていくことです。息と声の差をなるだけなくしていくことです。身体と息を結びつける。息を声を結びつける。最終的に身体と声が結びつけるようにしていきます。 

(この上限は、話す声の 1 オクターブ上くらい、喉をしめなくてはいけなくなったら、それ以上、高い音はやめましょう。) 

 

〇息読み 

 

息を吐いてから「ハイ」と言葉にする息読みも、深い息で声にしたときにも変わらないでいえるためのトレーニン グです。自分で息を吐くのと声を出すのと同じ感覚になる わけです。できるだけ息を深く吐けるようにして、それか ら長く伸ばしていきます。こうすると息が身体に結びつい ていくわけです。それを背中で感じていくようにしてくだ さい。 

 

〇胸の中心にひびく 

 

  • 胸に響くように意識して、「ハイ」「ラオ」と言う 声が出にくいときは深呼吸から始めましょう。深呼吸を しながら身体を少しずつ動かしていきます。なるだけ 1 日の時間をヴォーカリストの呼吸で過ごすことです。夜だけ練習する人も多いのですが、朝起きたらヴォーカリストの状態にしておいて日常の会話でも、喉のロスをさせないことです。毎日のトレーニングによって、最初は声が胸に、やがて身体全体に共鳴してきます。胸の中心に声が宿ってくる感覚になります。それを私は声のポジションといっています。

声のポジションをとるには、上から下におしつけてはよくありません。背中の方から胸の前に声が出てくるという感覚です。胸にポジションがあるというのは、便宜的に考えるのです。なるだけ深い声をイメージしてやってみましょう。なるだけシンプルにまとめていくことです。どこまで凝縮し、どこで解放できるかということです。中途半端にしていると、表現力を伴う芸事にはなりません。 

口に関しては、あまり動かさないことでしょう。口を大きくしてやろうとすると、声自体を失う場合が多いです。発声して声ができてきたら、そこで調音し発音するのです。 言葉の発音トレーニングは、発声よりも調整と考えてくだ さい。 

 

  • 「ア・エ・イ・オ・ウ」(スタッカート)のトレーニング。 「ハイ」「ア」「エ」「イ」「オ」「ウ」

スタッカートは、基本的にポジショニングの確認の練習と思ってください。「アエイオウ」であれば5 回息を吐くと考えてください。息で「アエイオウ」としたときと同じ感覚で声も出ていないといけません。「ハイ」と言ってから「ア エイオウ」と言ってみるとよいでしょう。身体で「アエイオウ」と出し、口先で出さないことです。身体はさぼってはいけません。喉で邪魔をしてはいけません。息を吐いて 身体が使われている感覚を「アエイオウ」といったときに くずさないことです。 

「ハイ」といったときに、腰や胸の位置を動かさないことです。首も同じです。あごは前に出ないようにしてください。完全に息を声にします。 

難しいのは、「ハイ」とにぎったまま、押しつけないことです。深いところの声の芯だけを残して、あとは邪魔させないで、ひびかせるというより声の線を出していきます。身体の内側に全部引いておいてから、解放させます。ポジションの問題は息の深さの問題です。より深くとったほうが有利です。 

このときに大切なのは、上にいけばいくほど息で支えることです。 

高くなったときに、より深いところで息を吐いておいて 「ハイ」というと、シャウトや息をおさえた声になります。 トレーニングでやっていることをそのまま、歌の中に持ちこむのはきついことです。それに耐えられる身体になっていないからです。ですから、そういう身体を作っていくトレーニングになるわけです。そこでやるから効果的なのです。 

息を深く吐くということと、その深い息で声を出すことがポイントです。息は深くできても、声は浅くなってしまうのです。日本人の場合は、喉を使いしめてしまうからできなくなっていきます。喉が疲れるからです。身体のところでのポジションと声の感覚をつかむことが必要になって きます。一時、高いということは、強いところと意識してください。より高いハイトーンについて、いっているので はありません。 

 

  • 「ラァ」

「ラァ」は、歌うよりも「ラーァ」と息を吐くという感じです。その線を太くしていくことです。人によって出やすい言葉は違います。「ナァ」「ヤァ」「マァ」「ネェ」などでやってみましょう。ぶつけるのではなく、声に息を送るつもりでやります。 

歌のスタイルにはいろいろとありますが、声の線をとるときに息の線をきちんとつくっておくことです。その上に声をのせるという感じです。息の線の上に声の線を持っておかないと、身体から離れていってしまうのです。繊細なコントロールができません。 

きれいな声で音を並べていくのではなく、声を統一してそこにヴォリューム感が出なければいけません。ここでの目的は、声を使って、息を使って、いかに身体を強くするかということだと思ってください。歌は同じ表現であれば、 いかに力を抜いて楽に歌うかという方向ですから、逆です。 ここでは身体に声を身につけるための強化トレーニングを することです。 

 

  • 「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ」(ドレミレド)

低いところの意識は胸のところでもよいのですが、もう少し高いところでやろうとしたら、頭部(眉間や鼻の上、 

頬骨など)の意識をもつことです。上の音にいくほど、深く息を入れていくような感覚が大切です。あくまでもかた い胸の板に対して、それを掘っていくつもりでやってくだ さい。ひびきのイメージは浅く横に広がるのではなく、深 く上下に縦にまとめることです。縦の線をイメージで思い 描いてください。 

 

  • 「アデッソシ アデッソケ」(イタリア語) (ドドレミ ミレミファ)

単純に言葉を投げかけているように歌うことです。ひびきだけで歌ってしまわないように気をつけましょう。「ララ ララ ララララ」でなく、「ラァーララ ラァーララ」と 1 つで捉えていくとよいでしょう。歌うように歌うのは誰でもできます。要は息を発したらそれが歌になっているところまでもっていくことです。上にいけばいくほど、身体が 入っていくように、身体を完全につけてもっていきます。 

どこかの音までは身体がどんどん入ってポジションも深 くなり、より大きな声になってきます。ところがある音か ら、完全に逆のことがおきます。声が自然と上に抜け、ひびきもあがってきます。そこからはバランスが大切です。 

練習しなければいけないのは、ヴォリュームとフレーズ、 ひびきのポジションを調整していくことです。 低いところでやったことを、高くなったときにも守りましょう。口先で歌わないところで声をキープできれば、それがトレーニングとしての身体づくりに最適です。耳と身 体という原点から、声を捉えてみてください。 

 

  • 「アデッソシ アデソッケ トゥバイロンターノ」(ドドレミ ミレミファ ファドレミレミ)(カンツォーネ「去りゆく今」より)

日本人の英語がカタカナ英語になってしまうのは、1 つず つ音をわけてしまうからです。日本語というのは、昔から1 つの音に 1 つの言葉をのせて歌にしてきました。そうする と動きが出てこないし、身体も使いにくくうまく歌えない のです。 

なるだけ 1 つのフレーズとして捉えていってください。 「シ」と「ケ」を身体で離さずにおさえておくことです。 日本語の場合は、「さりゆくー いまこそー しってほしいー」と歌詞がついて、伸びてしまいがちです。下のフレーズは息を流すフレーズとして保った上で言葉をおくことです。最終的に日本語らしく歌うのか、フレーズとしてメロディ処理をするのかを、日本語の場合はせまられてしまうこともあります。両方が活かせるぎりぎりのところで、とっていくことが必要になってきます。 

「さりゆく」といってから、フレーズをつけてみます。「さ り」「ゆ」「く」が別れてしまうとダメです。日本語は言葉の頭で高アクセントをつけますから、大きなフレーズを作 らないといけません。そこでいれておかないと、後ろにひ っぱられてしまいます。助詞がついているところでは、強 調できないからです。伝えたいのは「さり」と「いま」になるので、フレーズを大きく動かさないと、伝わらないの です。それと逆に、「ゆく」「こそ」と音声イメージで、形づけていきます。

  • 「アデッソシ アデソッケ」「さりゆく いまこそ」(ドドレミ ミレミファ)

メロディをつけてみます。「シィ」「ケ」のポジションを狂わせないことです。きちんと同じポジションがとれているかどうかをチェックします。とれていないとしたら、どこまでできているのかをチェックします。 

トレーニングすべきことは、体力づくり、息を吐くこと、それから音声イメージをもつことです。この 3 つをきちん と身につけていきましょう。 

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3-2.歌の話」カテゴリの記事

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