閑話休題 Vol.104「書道」(3)
〇梅棹忠夫の工夫のその後
民俗学者、梅棹忠夫氏は、ロ ーマ字論者で、縦書き3種類 (ひらがな、カタカナ、ローマ字)が打てる日本語タイプライターを考案、実際に訓読みの漢字を使わない文章で書 くなどを試みました。当時は、カナモジ論者、ローマ字論者、新字論者、エスペラントイストがいたわけです。このあたりは、日本語ワープロの発達で一転しました。
「日本では、海外と異なり宗教(ここでは神道)は、論理的に論証されてこなかった」
日本語の非論理性、非科学的、敬語、主語などの問題は、欧米語とだけ対比されて、私たちに刷り込まれてきたこと です。日本語について、氏は「情緒的な方が高級である」と述べ、「外国や外国語へ対決、理解させようという働きか けはなく受け身だ」と言います。今も、その傾向は失われていないと思います。
しかし、「日本人には英語が必要ない。日本語は、外国人を 寄せつけない」というのは、現在では、もはや言えないことでしょう。
「標準的日本語の創造に成功しなかった」「和語での(近代) 用語集をつくれなかった。漢語から独立できなかった」と もありますが、一言には言い切れないものです。
今、日本には、まだ方言コンプレックスは残っていますが、 昔ほどではないでしょう。方言は失われつつあっても、一方で、残ったまま、相手をみて使い分ける能力を皆がもっ てきたともいえましょう。
<以下、前回「書道」の書と日本の文字の関連する項目の抜粋>
[三筆]空海•嵯峨天皇・橘逸勢 唐様では空海の『遍照
発揮性霊集』(空海の弟子•真済)
書は、筆跡(肉筆)、書字跡(墨跡)、力―深さと速度(流麗、流暢)―空間と時間
書の三要素、「線質」、面の美、鋒先の動線美、蔵鋒の美筆触(書きぶり、タッチ)と構成、字画←→虚画、虚筆、虚脈
墨の色筆、墨、紙と草書体(今草)、毛筆墨の濃淡、強弱が「墨痕」線の肥痩(太い線や細い線)
天筆(AD650年)―起筆、送筆、終筆、転折(横、縦)、撥ね、はらい
毛筆と筆く筆法〉「間架結構法」、布置章法、書体や書風文字の形態(縦長や横長、角型や丸型) 書かれ方(はね•
止めの仕方、くずし方、筆圧)、筆癖(癖字や筆順の違い、 点画の位置)
中国…毛筆、垂直に立てる、刻具(搔く、描く、欠く)
永字八法 漢字の「永」書に必要な8つの技法、点、横画、 縦画、撥ね、右上がりの横画、左払い、短い左払い、右払い
日本…左前へ傾け、はく、はらう(散らし書き、分かち書き、返し書き)、崩れと崩し(加減、諧調、歪曲)、白紙、余白、さらさら
日本語は、文字で話し文字で聞く 演歌、能、歌舞伎、句
会(短冊)
アルファベットは、音声を書き音声を読む(声帯と空気の 摩擦)、触覚、朗唱、オペラ、朗読会
[形臨]字形を真似て手本にできるだけ忠実に字形や用筆 法を模倣する。技術面の習得。
[意臨]筆意を汲みとる。作品が生まれた時代背景や作者 の生き方、精神性まで模倣
[背臨]手本を記憶した後、見ないでその書風を自分のも のとする。他の作品にも応用。
〇課題
書とIT化(デジタル、ワープロ)、さらにAI化(AIでの同 時通訳、同時翻訳)、書体とフォント、日本文化と書と音(声) の今後。
参考:「空海の文字とことば」岸田知子(吉川弘文館)、「書 とはどういう芸術か」「日本の文字」石川九楊、「二重言語国家日本」石川九楊(NHKブックス)、「日本語と日本文明」 梅棹忠夫(くもん出版)、「かな文字」(NHK「美の壺」)、「歴 史散歩」(Net)
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