「最強トレーニング」 Vol.9
〇手本とするプロのスキルを盗む
プロの話や声の使い方から職業別に、特に学ぶべきとこ ろを示しました。それぞれに特色がありますね。
□アナウンサー〜 アクセント、イントネーション、正確さ、メリハリ、標準語
□役者〜 ジェスチャー、表情、パワー、インパクト、声質、スピード、表現
□声優〜 発音、声色、表現、個性
□落語家〜 語り口、伝え方、動作、間、ユーモア、表現
□DJ、パーソナリティ〜 コミュニケーション術
□朗読家〜 イメージ、語り、声質
□講演家、インストラクター〜 構成展開、内容
ここでは、彼らのテクニックをいくつか学びましょう。
〇人前で話すときの注意
人前での話では、聞く人は発言しない(できない)のですから、その分、聞いて噛み砕くための、間をとらなくてはいけません。こういうときは、話し手がリラックスしな いと、聞く人もくつろげません。聞く人への気配りを忘れ ないようにします。
また、一方的にこちらから話してばかりでは、相手にと って不快なものとなりかねません。特に、知識の押し売り はやめましょう。
元首相の田中角栄は、「どうですか、みなさん」「そう思いませんか、みなさん」が口ぐせでした。
大きな声だけでは、息切れするし、うるさくて聞く人も くたびれます。大きめのイメージで声を出し、動き、ジェスチャーの方を大きめにするとよいでしょう。
〇人前で話すときに覚えておくと、間をつなげることば
1.「聞こえますか、一番、遠くの人。 はい。
では、話し始めます」
2.「なんだかわからなくなってきましたね」
3.「•••ときまして、これが私の専門ですから」
4.「―のようなものです」
5.「―みたいな」「―という感じです」
全体と部分、スタンスをうまくつかまえておくことです。
〇声のテクニックのいろいろ
文頭をたたみかけ、文末はゆっくりと抜くと、わかりや すく聞こえます。
ピリッとした声で入り、ピークは低音で息をまぜていう とよいといいます。
間は充分に保ち、たたみかけと、間で、話を強烈に伝え ましょう。
どんなに気のきいたことばでも、声の力が伴わないと、 効果は半減します。
肩の力を抜きましょう。両手を効果的に使いましょう。
- 呼びかけ調を使う
「あなたの」「みなさんの」「わたしたちの」
- 軽い例をあげて重々しさをとばす
「―さえすれば〇〇できる」
- 質問話法
「このなかでパソコンをお持ちの方…」
- 声で相手をじらせ、ひきつける効果をねらうトレーニン グ
1.「あとで述べますからね」
2.「もう少し先で教えましょう」
3.「ここからが大切なのですよ」
4.「さて、どうなるでしょう」
5.「ここまでは、誰でもわかりますね」
6.「それでは、本題です」
7.「今日はここから十五分だけ、しっかり聞いてください」
8.「これまでは序論、ここからですよ、大切なのは」
- 得した気分を与えるトレーニング
1.「ここだけの話ですがね」
2.「誰にもいってはいけませんよ」
3.「あなただけに話しますけどね」
- 人をひきつける出だしのトレーニング
1.「おもしろい話なのですが」
2.「耳よりな話なのですが」
3.「とっておきの話ですが」
4.「ここだけの話ですが」
5.「オフレコですが」
- 話に期待をつなげるトレーニング
1.「次はもっとおもしろいですよ」
2.「こうなんですよね」
3.「実は、ですね…」
4.「それではこれをみてください」
- クッションことばのトレーニング
1.「厳しいことをいうようですが、」
2.「誰でも人ごとだと思っているのですね。これが…」
〇ことばや声で逃げない
デール•カーネギーは、「話術の魔力は君のもの」で、「あ なたのいうことを力強く、断定的にいいなさい」といって います。これは、「―と思われる」「多分―」「私個人の意見 では」などといったあいまいなことばを使わないようにと いうことです。ルーズベルトは、これらをいたちことば (weasel words、つまりおくびょうな、シッポがついている意味)と名づけました。
主張したいときは、強調するところをはっきりと示しま しょう。
それには、断定することばを使います。ただし、声を強く使いすぎると押しつけがましくなり、相手が拒否感を抱 くので、よくありません。自分の感情を他の人に強制しす ぎないことも大切です。
- 断定することばとそのいい方のトレーニング
次のことばは、強い口調で使ってこそ効果をあげます。
1.「きっと」
2.「断じて―ない」
3.「またとなく―」
4.「とっても」
5.「たいへん」
6.「すごく」
7.「ひじょうに」
〇ひかえて強調する
ひかえめ、わざと弱めるのも効果的です。たとえば、程度を表わすことばも「すごく大きい」よりも、やや手前でセーブするとよいでしょう。
1.「〇〇の次くらいに大きい」
2.「日本で二番目くらいに新しい」
〇テンポとスピードを変える
話し方のテンポは決まっているものではありません。聞 く人によっても、話の難易度によっても違ってきます。こ れは、話し方のメリハリや話し手のスタイルによります。
テンポは速くなったり遅くなったりしてもよいでしょう。 聞く人にとってわかりやすくなるように工夫することです。 単調で退屈で眠くならないように、相手の気持ちになって、
うまく変えることです。
1.スローテンポ
難しい話をわからせるとき、また相手を反省させたり納 得させる必要のあるときには、ゆっくりとかんでふくめる ように話します。
難しい(話や箇所)、抽象的、数字・専門用語、ポイント など。
特に相手が、初心者、外国人、一般の人のいるところ、 メモ、ノートする人の多いとき
2.アップテンポ
相手があまり聞きたがらない話は、スピードをあげます。 簡単、重要でない、具体的、わかりやすいところ。
その話について、もっと詳しい人がいるところや自慢話 など、早く切り上げたいところではなおさらです。
- テンポを変えていうトレーニング
次の文を、1.ふつう、2.速く、3.ゆっくりと、三通りで読んでみましょう。
「スピードは速くなったり遅くなったりしてもよいでしょ う」
〇カラオケの歌詞をBGMにのせて語る
カラオケ曲で、歌うのではなく、語るトレーニングをし ましょう。歌詞には、起承転結があります。しかも短いので、最適です。
日本語は、高低アクセントのため、強弱がつきにくく、 間延びして、ダラダラした話になりがちです。
〇方言も使いよう
方言には、日常会話のなかではほのぼのして味があるの で、最近はもてはやされています。関西弁などは特に母音 が多く、やわらかい言語です。
しかし、パブリックなスピーチなどには、誰にでも伝わ る共通語で、話せるようになりましょう。
〇リズムをつける
あまりにゆっくりと平坦に話していると、聞き手は退屈 になります。話には、メリハリや間が必要なのです。文は短くいい切ります。そして鋭く切り出し、リズムをつくり、 それにのせていきます。これがスピーチのコツです。
短く切ると次のことばが出ないのではと思い、恐くなる ものです。しかし、堂々と間をあけてください。
間があいてしまったときには、考えればよいのです。沈 黙を恐れる必要はありません。その間で、相手は考えたり、 しゃべったりしているかもしれません。
聞く人は、間でそこまでの話をまとめて、そこからよう やく先に頭がいくのです。
夫婦げんかでの間やたたみかけ方こそ、声の使い方と間 のお手本であるといわれます。表現すべき必然性の高いも
の(たとえば、映画の弁論ものの1シーン)から学ぶとよいでしょう。
〇声はムチのように強くしなやかに使う
口から発された声が、ハタキの先のようにバラバラになっては困ります。あたかもムチのようにどこへ振ってもし なやかに、強く、1本1本までしっかりと最先端のさらに先 まで力が伝わるようなイメージを声にもちましょう。遠く の的に矢を射るように、声はいつもしっかりと焦点をもっ て出すことです。
たとえば、「わたしは」といってみてください。「た」や 「し」が弱まりませんでしたか。
一本の線のように身体から発声できましたか。もちろん、 強くして「わたしはあー」と、選挙演説の人とか体育会系の人のゴリ押し発声にならないようにします。
フレーズとの間をもたせるために、呼気のコントロール と深い発声ができなくてはなりません。これも、「私は」と きちんと伝わるようにいえなくてはならないのです。
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