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2026年2月

閑話休題 Vol.107「日本画」

日本画

 

広義には大和(やまと)絵(倭絵)、唐絵(からえ)、水墨画、南画、洋風画をはじめ、浮世絵などの風俗画、狭義には、大和絵と唐絵の交流で生まれた狩野派や、江戸時代中期以降に発展した円山(まるやま)派、明治以降流行した大和絵風な平面的で装飾的な絵画をさす。

 平安時代に中国から伝わった唐絵は、線の引き方、色の配合などに日本人の感覚を生かした繊細優美な画法。冊子(さっし)や絵巻物で大和絵という。

 鎌倉・室町時代に大陸からの水墨画は、桃山時代に障屏(しょうへい)画の大作として発展。これに大和絵の手法を取り入れて、金箔(きんぱく)や金泥(きんでい)を使った濃絵(だみえ)の手法で、寺院、書院造のふすまを飾った。

狩野永徳らの桃山の金碧(きんぺき)障屏画。

大和絵は、細密描写や風俗表現などの装飾性を発揮。

江戸中期になると円山応挙がこれを融合させて新しい様式となり今日の京都画壇へ伝わる。

 

〇狩野派

 

4世紀にわたる画家集団である狩野派。代表的な絵師としては、室町幕府8代将軍足利義政に仕えた初代狩野正信とその嫡男・狩野元信、元信の孫で安土城や大坂城の障壁画を制作した狩野永徳、永徳の孫で京都から江戸に本拠を移し、江戸城、二条城などの障壁画制作を指揮した狩野探幽、京都にとどまって「京狩野」と称された一派を代表する狩野山楽などが挙げられる。

幕府の御用絵師として、内裏、城郭などの障壁画の大量注文をこなす狩野家の当主は、一門の絵師たちを率いて集団で制作する。

 

1.狩野正信:足利市の長林寺に残る墨画の『観瀑図』 東山殿(銀閣寺の前身)の造営、正信がその障壁画を担当。土佐光信の伝統的な大和絵風に対し、水墨を基調とし、中国宋・元の画法を元にした「漢画」

2.狩野元信:妙心寺霊雲院障壁画 絵画における「真体、行体、草体」という画体の概念を確立

3.[安土桃山時代]道名の狩野松栄の名で知られる三男の直信 大徳寺に残る巨大な『涅槃図』

4.松栄の嫡男・狩野永徳 聚光院方丈障壁画 「花鳥図」 旧御物の『唐獅子図屏風』、上杉家伝来の『洛中洛外図屏風』 東京国立博物館の『檜図屏風』 永徳は細画(さいが)と大画(たいが)のいずれをも得意

5.[江戸時代前期]永徳の長男・狩野光信と次男・狩野孝信。光信は、永徳と対照的な大和絵図の繊細な画風。

孝信には守信(探幽)、尚信、安信の3人の男子があり、守信はのちに江戸に本拠を移し江戸幕府の御用絵師となる。名古屋城上洛殿の障壁画(水墨)。二条城二の丸御殿や大徳寺方丈の障壁画。

6.[江戸時代中期以降]もっとも格式のたかい「奥絵師」、4家を筆頭に、次いで格式の高い「表絵師」、一般町人の需要に応える「町狩野」。奥絵師の4家とは探幽(狩野孝信の長男)の系統の鍛冶橋家、尚信(孝信の次男)の系統の木挽町家(当初は「竹川町家」)、安信(孝信の三男)の系統の中橋家、それに狩野岑信の系統の浜町家。

7.京都に残って活動を続けた「京狩野」、狩野永徳の弟子であった山楽 山楽の娘婿で養子の山雪の妙心寺天球院障壁画 山雪の残した画論を、子の永納がまとめた『本朝画史』

8.木挽町家からは、江戸時代後期に栄川院典信(えいせんいんみちのぶ)、養川院惟信(ようせんいんこれのぶ)、伊川院栄信(いせんいんながのぶ)、晴川院養信(せいせんいんおさのぶ)

9.明治初期の日本画壇の重鎮となった狩野芳崖、橋本雅邦(近代日本画の指南的存在)

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.32

〇声の純化した上で、感情を練り込む

 身体の自然な流れでフレーズを作ってください。言葉を全部捉え、声の芯があっても、動きや流れがギクシャクしてはいけません。余計な力が入りすぎないようにしましょう。

 以下は実際のアドバイス例です。上級者への参考として載せておきます。

 「あ~苦しい寂しいあなたへの歌に~愛していたのと~」

 息の流れを考えてください。

 「た」が少し気にかかるのと、「あ」が「あ~」とひびきに頼った出方です。それはきちんと捉えて直す方がよいです。「あ~苦しい」、きちんと捉えます。「あ~苦しい」が、つくった声のようになるとよくありません。

 フレーズをつけたいのだったら、「あなたへの歌に~」のところで身体を使い切るようにしましょう。

 「あなたへの」のところでフレーズをとりすぎないように。「歌に」の方でとるのであれば、「あなたへ」はくっつけます。「あなたへ~の歌」とやるのなら「歌」の方を中心にしてください。両方で取ろうとすると、大変です。

 こういうフレーズを何度も練習して、声をどんどん純化させていくことです。ノイズが入っても、ポピュラーの場合は魅力的にでればよいのです。もっと身体を使って、もっと深く入れる人もいるし、もっとハスキーにする場合もあります。余計なものを取って、真芯にあるところの声だけできちっと持っていくことを目的にしてください。

 息は残しておかないといけません。声に感情を練り込み、ヴォリューム感を出すのに息は欠かせません。そのへんは自分の中でどこを正解にするかです。音程がとれていて、リズムがとれて、フレーズが見えている部分はどれも間違ってはいません。しかし、自分がやったものを正解にするには最終的に自分にフィットする感覚はどれかというのを選ばなくてはならないのです。

 どれが一番自分が満足できて、いや、お客さんにインパクトがあり、伝わるのかを考えてください。

 発声からいうと、ノイズを取っていった方が有利です。発声をより完成していくために、さらに音域とか音量にキャパシティを拡大していきたいのであれば、ここで声の真芯をきちっと握っていくことです。それで表現できるところまで耐えること、そのことで、それだけできることも多くなっていきます。目的は、ていねいに繊細に応用できる柔軟性に富んだ、しなやかな声です。

[若いときの鍛え方の方法]

 今、やらなくていつやるのでしょうか。

 デビューしていないからこそ、期間がとれます。

 喉をこわすこと、無理をすることを恐れては、身につきません。何事もトレーニングにはリスクはつきものです。何でも経験してください。二度同じレベルのミスをしなければよいのです。そして、そこでは、精神のトレーニングもなされているのです。

 声には変声期があるため、他のパートよりも楽器としては、10年遅れます。これを10年、若いと考えてみてください。25歳ならまだ15歳、30歳でもようやく20歳といったところだと思えばよいのです。

・声の原点……赤ん坊に戻る

 自分そのものをかくす衣装を分厚くまとい、保身だらけでみせかけだけ強い、エセヴォーカリストにならないことです。一流のヴォーカリストは、裸の声と自分をさらしています。その表情が、どんな衣装よりも、美しくきらびやかにみえるのです。心の化粧とでもいえましょうか。

・音色

 息で歌うつもりで、息をていねいに使いましょう。息と声との量の配合が、ポピュラーの醍醐味といえます。息のスピードの違いをわけて感じてみましょう。子音は息でコントロールすることです。※息が出てれば(声にならずに)よいということではありません。念のため。

・声の魅力、音色の変化

 母音 「アー」は、「アアアアアアア…、」と、アの点がつながったものです。

 声を統一させるとは、伸ばしたときには最後まで、同じ音を保つということです。私は純粋音といっていますが、「アー」というときに、そこにノイズや「イ」や「エ」が聞こえてはよくないのです。

 精神に肉体、思いに技術の一致したものが表われて初めて歌なのです。

・上半身の抜けと下半身の支え

 何を考えて歌っているのか、表情一つで意味をわからせることです。

 表情は明るく努めてください。すべて暗譜ですることです。練り込んでないもの、自信がないものは伝わりません。鏡をみて、上唇を花をかぐ形(だらっとおちない)にしてみましょう。

 上半身は常にリラックスさせます。それに対し、下半身は重心をおとし、しっかりと声を支えます。脱力するには、歌唱中にも身体を動かし、違う姿勢をとってみることもよいでしょう。よい印象を得ること。そして、自分のやり方で歌うべきです。

・顔の表情で音色を変える

 百面相のつもりで顔の表情を変えるトレーニングをやってみましょう。次に音をつけます。たとえば高音で子猫声をやってみます。

 miomia

 nmi

 uoa

 uoe

 miiia

 siiia

 miieaoui

 mieaouieaou 

 sieaouieaou

・原音(最下音)を探る

 低い音になると、荒らされていない声というのがあります。目安としては、普段、自分が話している声より、23音から半オクターブぐらい低いところに声の芯があると思ってみればよいでしょう。そこから、さらに34音、下になってくると、今度は使っていない(使わない)声域に入っていきます。

 そこでなら、あまり喉をしめず、1音くらい正しい声を探りあてられるでしょう。それを10回、20回、正しく繰り返せるようにしていくのです。この段階では、常に、身体に負荷を感じてやることです。

・うまいから、すごいへ

 表現がその人の心のなかから出て、聞き手の心に何かを伝えるわけです。本当の歌は

 「私が歌った後、それを聞いた人の人生が変わる」(シュヴァルツコップフ)とまでいってもよいのではないでしょうか。

 1つの音から次の音へと移るしぜんな息の流れをとことんトレーニングしましょう。これが、ただ、うまいだけのヴォーカリストからすごいといわれるヴォーカリストになるための秘訣です。

・いいがげんな指導を受けないこと

 すぐに、すべて直るようなトレーニングと指導というものはなく、すぐに直ったら別の副作用(今はよくとも将来的に悪くなる)をもたらすことがあると知っておきましょう。ヴォイストレーニングにおいては、とくに長期的な視野にたった指導が望まれます。

「最強トレーニング」 Vol.12

〇呼吸のしくみ

 

声帯そのものは意識的に動かすことができません。そこで呼吸をコントロールすることで、その周辺の筋肉も含めた声のコントロールをしていくのです。

 

〇呼吸は肺が行なうのではない

 

呼吸は、肺がそれ自体の力で膨らんだり縮んだりして行なうものではありません。肺は、ゴム風船のようなものと考えてください。肺を取り囲む胸郭(きょうかく)が、横隔膜、肋間筋(ろっかんきん)などによって拡張したり収縮したりして、肺に働きかけ、吸ったり吐いたりできるのです。

 

〇吸気と呼気

 

吸気は、身体のなかを広げることで、肺がふくらみ、肺内の圧力が低くなり、口や鼻から空気が入ってくるのです。

もともと呼吸とは、空気の酸素を血液中に取り入れ、体内で生じた不要な二酸化炭素や水蒸気を吐き出すものでした。およそ一、二秒で吸って、一、二秒で出していたのです。

 その呼気をことばや歌など、発声に使うと、十秒くらい出して一秒吸うといった必要がでてきました。つまり、発声のための呼気のコントロールをしなくてはいけなくなってきたのです(横隔膜などは、元は吸気のための筋肉ですから、呼気に使うように、トレーニングしなくてはいけないのです)。

 

〇腹式呼吸と横隔膜のしくみ

 

 横隔膜は胸腔(肺)と腹腔(胃腸)の境にあります。しゃっくりのときに動くところです。お椀をふせたような形をしている筋肉質のものですが、これが収縮すると、全体が平らになって下がり、胸郭のなかが広がります。肋骨の下に手をあて、息を吐いたり吸ったりしてください。声楽家のように、本格的に腹式呼吸を身につけた人は、腰のまわりに空気が入るかのようにふくらむものです。

ドンデルスの模型で説明します。これは、びんを胸郭に、底に張ったゴム膜を横隔膜に見立て、二股のガラス管(気管)の先には、ゴム風船がついています。

 底のゴム膜を下に引っ張ると、びんの中の気圧が外の圧力よりも下がり、ゴム風船には自然に空気が入って膨らみます。そして、底のゴム膜を引っ張っていた指をはなすと、びんの中の気圧が上がり、ゴム風船は縮み、空気は外へ流出します。

 これが、吸気と呼気にあたります。

 

〇胸式呼吸(肋骨呼吸)と肩呼吸(鎖骨呼吸)

 

腹式呼吸に対して、声を完全にコントロールするのに適さないのが、胸式呼吸です。これは、肋骨や鎖骨で、胸部を広げ空気を入れます。ラジオ体操の深呼吸は、肋骨を引き上げて胸を広げて吸い、逆の動きで吐きます。

 激しい運動をするとハアハアと肩で息をします。これは吸うのも吐くのも速いため、すばやく酸素をとりいれるためのものです。どちらも、胸や肩が動くと見た目によくありません。(息を丁寧に保って声をコントロールできないので、発声には不向きです)息を吸うと、肩や胸がもり上がるなら、胸式呼吸と思ってください。

 

〇肺活量は気にしないこと

 

肺活量で悩む人が多いのですが、成人してからは減るだけです。小柄な人や女性は肺活量が少ないのに、声が悪いというわけではないでしょう。そんなことは気にせず、息の使い方を変えるようにしていきましょう。

大切なのは、限られた呼気量をどれだけうまく声に変えられるか、ということだからです。息がいくら多くても、息もればかりで、声として生かせないのであれば意味がありません。

いかに少ない呼気量でうまく声にできるか、それはいかにしっかりと共鳴させられるかで、決まってくるのです。

 

〇呼吸は鼻と口、どちらでするのか

 

 鼻呼吸がよく、口呼吸はよくないと、よくいわれます。確かに鼻で吸う方が、喉を乾燥させない、異物を除去するなど、健康上もよいでしょう。そのため、時間をとって行なうトレーニングにおいて、注意するのはわかります。

 しかし、呼吸の原理から考えると、吐いた分は自然と入るのですから、吸うという意識を持つことや、吸うトレーニングはあえて行なう必要はないといえます(口内を意識するために吸う息を感じてみるなどというのは、よいでしょう)。鼻がつまっていたら話せないわけでもないのですから。

 

〇たくさんのメリットがある腹式呼吸

 

腹式呼吸は、たくさんの息を横隔膜でコントロールして使えるので、発声上、さまざまなメリットがあります。そこでなぜ腹式呼吸が大切なのか知っておきましょう。

 

〇腹式呼吸を知ろう

 

腹式呼吸ができてくれば、お腹の周り全体が自然と外側へふくらむのが感じられるはずです。

両足をかるく開き、背筋を伸ばして立ってみましょう。肩の力を抜いて手を腰の両わきへあて、そこに空気が入るように息を入れてみます。そのとき、肩、胸が盛り上がったり、力が入ったりしてはいけません。

 最初はわかりにくいので、上体を前方へ倒してやったり、座ったり、寝ころんだりして、息と身体(お腹)との関係をつかむとよいでしょう。

 

〇なぜ腹式呼吸が大切なのか

 

腹式呼吸は、息を身体でコントロールして使えるので、声にメリハリがつけられます。話を力強く展開していくことができます。

人前であがると、声が細かくふるえたり、声の高さや大きさがうまく調整できなくなり、ひどいときは声が裏返ります。

心臓がドキドキして呼吸が浅くなり、お腹で支えられなくなるからです。しかし、腹式呼吸では、横隔膜で支え、あがりからくる緊張などの影響をあまり受けなくてすみます。しかも、喉を安定させやすいことから、歌唱やせりふの基本条件となっているのです。

 

〇腹式呼吸のときの注意

 

首を回したり、肩を動かしたりして、常に緊張を解きほぐしましょう。肩と首の間、胸とわき、肩との間の筋肉は、特によくほぐしておくことです。

 息を吐いてみます。喉がかわくような吐き方でなく、お腹の底から楽に絞り出すような吐き方がよいでしょう。吐き切ったら、少し止め、そしてゆるめます。すると、自然と息が入ってきます。

 これを、身体の動きとして意識しましょう。「口で息を吸っているのでなく、息が身体に入ってくる」ようにするのです。

 上体を前屈させると、お腹の前のほうが押されるので、背筋や側筋が使いやすくなります。

 

よく腹式呼吸をお腹の前を動かして鍛えている人がいますが、これは内臓器官を圧迫するだけで、あまり勧められません。

横隔膜は、肺の下にお椀をふせたような形でついているので、前ばかりを鍛えるのでなく、均等に動かしましょう。 鍛えにくい背筋や側筋を使いこなしていくことです。本格的に腹式呼吸を身につけたオペラ歌手などは、腰のまわりに空気が入るかのようにふくらみます。

 息を吐くときには、あごがあがらないようにすることです。日本人の大半は、あごが前に出すぎています。

 

〇腹式呼吸のわかりにくい人のために

 

胸を張り、少しやや上に向けて、もちあげると、腰のまわりに少し緊張を感じます。そこの筋肉(背筋、側筋)が、声を自在に扱うために大切です。足はやや開き、楽な姿勢をとることです。頭を後ろに反らないように気をつけることです。こういう立ち姿勢も慣れるまで疲れるものです。

街を歩くときも、食事をするときも、さっそうと胸を張って、背筋を伸ばし、あごをひいて、常日頃から格好よくしましょう。

1.両足を少し広めに開いて、まっすぐ立ってください。

2.肩があがらないように気をつけて、両手を腰の横にあてて、そこの筋肉を動かしてみてください。その後、両手はおろした方が、肩があがらなくてよいでしょう。

3.息を吐いたあと、少しずつ、そこに空気が入ってくる感じを確かめてください。多くの人は、前腹が出っぱるぐらいでしょう。身体ができてくるにつれ、腰の両わきや背後がふくらみます。

 次に床の上に仰向けに寝てください。

 少し重いもの(本などを34冊)をお腹のみぞおちのあたりにのせて、力を抜いてください。

じっとしていると、ものがお腹の上で動くので、呼吸が呼気と吸気のくり返しで行なわれているのがわかるでしょう。少し強く吐くと、その分反動で、お腹の方へ入っていくようになります。自然に吸気します。肩が動かないように気をつけましょう。

 

〇腹式呼吸の習得法

 

 声を使うときに必ずいわれるのは、腹式呼吸です。といっても、腹式呼吸は、誰にでもできます。腹式呼吸で声をコントロールすることができているかどうかが問題です。

 寝ころがってみれば、腹式呼吸していることは確認できます。しかし、それが声に応用でき、声を出したときに腹式呼吸でコントロール(常に腹式と胸式呼吸は共存するのですが)するのは、なかなか大変です。

 日本人の場合、日本語がとても浅い息で発音できることばであるため、身体や息を使った発声をあまり習得できていないといってもよいでしょう。外国人のことばの発声の響きも参考にしてみてください。強い吐息(吐気)をしっかりした深い声にせず、発音を口先や口内で浅い息で作っているのでは、声量や声域がなく、個性的な声も出しにくい状態です。

 決して、新しい声をつくるわけではありません。自分のもっている声を最大限に発揮できるようにしていくのです。それには、自分自身の今、持っているベターの声の発見と、その声のトレーニングからです。

 一般的に腹式呼吸は、誰もが日常的に使っていますが、発声時にそうならない人もいます。特に、女性のなかには、腹式呼吸を意識して身につけた方がよい人がたくさんいます。話すときにこそ、腹式呼吸中心にならなくてはなりません。

 

  • 腹式呼吸のトレーニング

1.息をお腹から出してみましょう。お腹が少しずつへこんできます。苦しくなったら、そこで、お腹がもとに戻る反動を利用して、お腹に空気を満たしましょう。吸えなくなって止まったら、そこでまた吐き出しましょう。

この動きを23分くり返します。

2.次にこれを次のように2秒止めてやってみましょう。

 息を吐く→2秒止める→吸う→2秒止める

 きちんと止めなくても、吐かなければ入ってくるので、保つ感じでよいでしょう。

 喉を中心としたところや、上半身に力が入らないように呼吸ができるようになることを目的としてください。

3.次は1回の息を吐く時間を5秒にしてみてください。息を吸うのに2秒、次に、5秒を10秒にしてみてください。少しずつ呼気の時間を長くしていってください。次には、吸気の時間を短くしてみてください。

 息を吐く(5秒)→吸う(2秒)

 〃   (10秒)→〃 (2秒)

 〃   (20秒)→〃 (15秒)

 〃   (30秒)→〃 (1秒)

 呼気は、少しずつ、お腹の力で調整できるようになるにつれ安定してきます。息の流れに乱れがなく、均一に一定量が吐けるようになるようにしましょう。やがて、息も少しずつ深くなってきます。

4.息をできるかぎり長く出してみましょう。それを、毎日1回、時計で測って記録しておきましょう。 < 年 月 日 秒>

 

〇腹式呼吸のイメージ

 

腹式呼吸のトレーニングでは、深く息を吸ったり、深呼吸するようなトレーニングはしません。息を吐いたらその分自然に入ってくるというのが呼吸だからです。呼吸については、吐いてから吸うときへの移行を、一つの円を描くようにイメージして行ないます。

 

〇胸式呼吸をめだたせない

 

息を少し強めに何回か吐いてみてください。

このとき、胸や肩がもちあがるなら、胸式呼吸を過度に加えた呼吸を行なっているということになります。

胸式による呼吸は、声帯周辺に無理な緊張を与えるため、発声には好ましくありません。腹式呼吸を、毎日の生活のなかでもしっかりとできるように、身につけていきましょう。

 

〇息の支えを得る

 

息を吸っているときは、横隔膜が下がって平らになり、胸郭が広がります。お腹の方に圧力がかかって、左右に押し広げられます。肋骨の下の左右の筋肉に弾力が感じられます。これをトレーニングによって、意図的にコントロールできるようにしていきます。つまり、すぐに横隔膜が上がらないように、保つのです。このお腹の支え、息の支えが、腹式呼吸による発声の基本となります。

 

〇お腹に意識をすえる

 

 お腹に力を入れようと考えると、全身が緊張してしまいます。こういうときは、下腹に、力でなく意識を持っていってください。意識が頭ではなく腹にすわっているときには、自然に力が抜け、思うようになっているものです。

声は、硬いところへ響きます。喉が硬ければ喉に、舌が硬ければ舌に、あごならあごにひびいて、こもってしまうわけです。

筋肉が硬くなっては、どんな動きもスムーズにできません。ひざに力が入ると、みぞおち、胸、首と力が入ります。身体は一つなので、全体に影響してしまいますから、注意してください。

女性は、声帯が男性の3分の2くらいの大きさで、横隔膜の位置も男性に比べるとやや高いため、腹式呼吸、胸声をマスターするのに、やや時間がかかるようです。

 

  • 呼吸のトレーニング

 両足を少し開き、リラックスして立ってみてください。

 息の量や長さをコントロールします。息がわかりやすいように、スーッといいながら練習します。

1.「スーーーーー」(長く吐く。息がくずれないように2040秒くらい)

2.「スーーッ」(息を均等に吐ける範囲で1520秒くらい)

3.「スッスッスッスッ」(息の瞬発力をつける)少しずつ速いテンポに進んでいくようにしましょう。最初は1秒に1回で練習してください。

 

  • 息の瞬発力を高めるトレーニング

 「ハッ」、「ハッ」、「ハッ」、「ハッ」、「ハッ」と、一回ごとに、お腹が少しふくらむ感じで吐きます。

 これを、ドッグブレスといいます。走ってきた犬のように、早く深くたくさん吐いてみましょう。

※やりすぎは危険です(過酸化症候群になる)。具合の悪くならない程度に、その日の体調にあわせてやりましょう。

 

  • 呼気の調整トレーニング(各1020秒)

 息を止めても、喉は開いたままで、必ずお腹で切るようにしてください。

1.均等に息を20秒流してください

2.初めは強く、だんだん弱くしてください

3.初めは弱く、だんだん強くしてください

4.3から2へ続けてください

5.2から3へ続けてください

6.短く強弱をくり返してください

 

  • 呼吸の機能強化のためのトレーニング

1.ゆっくりと息を出し、出し切ったら、23秒止め、自然と息を入れる(10回)

2.息を(ハッハッハッハッ)と犬が走り終えたときのように速く吐きつづける(30秒間)

3.時計をみながら、5秒、なるべく速く吐き、5秒休む(1分間)

4.均等になるように意識して息を吐き出す(10回)

5.少ない息から、少しずつ吐く量を大きくしていく(10回)

6.上半身を中心に大きく身体を動かしながら声を出す(オイチニイ、サンシ、ゴー、ロク、シチ、ハチ)

7.脱力して、はねながら「アー」と声を出す(5回)

8.上半身を前傾させたところから、ゆっくりと上にあげながら息を吸い、「ああー」といって、戻す(3回)

 

〇腹筋の強化トレーニング

 

ここでは、腹筋の弱い人のために、それを鍛えるためのトレーニングを紹介します。

腹式呼吸に関して、お腹の前の方の筋肉はあまり固くならない方がよいので、補助的トレーニングとして用いましょう。これによって側筋や背筋をつけ、対応しやすくしておくのです。

1.仰向けに寝ころんで、足を30°くらいに持ち上げます。これを毎日行ないます。

2.仰向けに寝ころんで、頭の下に両手をあて、上半身を持ち上げます。これを毎日行ないます。

 

〇呼吸のチェックリスト

 

□喉がすぐに乾かない

□息を吐くと、お腹と結びつきが感じられる

□胸に力が入っていない

□背中はまっすぐにしている

□口をパクパクさせていない

□重心があがっていない

□肩があがらない

□上半身に力が入っていない

□首や頭がまっすぐになっている

□あごはひいていて、力が入っていない

□呼吸は同じペースで行われ、ムラがない

□お腹は苦しくなく、お腹の前の方に力が入っていない

□頭痛やめまいはしない

 慣れていないうちにあまり続けてトレーニングすると、過換気症候群の症状がでることがあります。時間を区切ってやるようにしてください。息苦しくなったときは、すぐに止めて座って休んでください。

「至高の一瞬と永遠」 No.414

私たちの人生は、絶えず流れる時間のなかにあります。

誰もが、生まれ、成長し、老い、やがて消えていくという有限の運命を背負っています。

だからこそ、人は「永遠」に憧れます。

しかし、永遠とは、本当に果てしない時間の彼方にあるものなのでしょうか。

 

 永遠は限られた時間の中の「至高の一瞬」に、すでに現れているとも思えます。

 ニーチェは「永劫回帰」で、同じ瞬間を永遠に繰り返すとしたら、それを肯定できるかと問いました。その瞬間を心から受け入れられるなら、それは永遠と一つになる体験だといえます。

 東洋思想では、禅の「一瞬即永遠」、つまり、「いま、ここ」を真剣に生きることで永遠が開かれると説きます。茶道の「一期一会」の心は、その象徴です。

 

 音楽や文学の世界でも、一瞬の表現が時間を超えて人の心に残ります。

音は消えても、感動は永遠に響くのです。

 

 私たちの日常にも、好きな人の笑顔や自然の美しさに触れるひとときなど、永遠を感じる瞬間があります。そのような体験では、時間の流れを忘れるでしょう。

ただ「いま」に生きている自分を感じるものです。

 

 永遠は遠い未来にあるものではなく、私たちの「いま、この瞬間」に宿っています。

それを限られた時間を全身で味わうことができたとき、至高の一瞬は永遠へと変わります。

永遠を探し求めるのではなく、目の前の瞬間を大切に生きることです。

それこそが、永遠を生きるということなのです。

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