「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.32
〇声の純化した上で、感情を練り込む
身体の自然な流れでフレーズを作ってください。言葉を全部捉え、声の芯があっても、動きや流れがギクシャクしてはいけません。余計な力が入りすぎないようにしましょう。
以下は実際のアドバイス例です。上級者への参考として載せておきます。
「あ~苦しい寂しいあなたへの歌に~愛していたのと~」
息の流れを考えてください。
「た」が少し気にかかるのと、「あ」が「あ~」とひびきに頼った出方です。それはきちんと捉えて直す方がよいです。「あ~苦しい」、きちんと捉えます。「あ~苦しい」が、つくった声のようになるとよくありません。
フレーズをつけたいのだったら、「あなたへの歌に~」のところで身体を使い切るようにしましょう。
「あなたへの」のところでフレーズをとりすぎないように。「歌に」の方でとるのであれば、「あなたへ」はくっつけます。「あなたへ~の歌」とやるのなら「歌」の方を中心にしてください。両方で取ろうとすると、大変です。
こういうフレーズを何度も練習して、声をどんどん純化させていくことです。ノイズが入っても、ポピュラーの場合は魅力的にでればよいのです。もっと身体を使って、もっと深く入れる人もいるし、もっとハスキーにする場合もあります。余計なものを取って、真芯にあるところの声だけできちっと持っていくことを目的にしてください。
息は残しておかないといけません。声に感情を練り込み、ヴォリューム感を出すのに息は欠かせません。そのへんは自分の中でどこを正解にするかです。音程がとれていて、リズムがとれて、フレーズが見えている部分はどれも間違ってはいません。しかし、自分がやったものを正解にするには最終的に自分にフィットする感覚はどれかというのを選ばなくてはならないのです。
どれが一番自分が満足できて、いや、お客さんにインパクトがあり、伝わるのかを考えてください。
発声からいうと、ノイズを取っていった方が有利です。発声をより完成していくために、さらに音域とか音量にキャパシティを拡大していきたいのであれば、ここで声の真芯をきちっと握っていくことです。それで表現できるところまで耐えること、そのことで、それだけできることも多くなっていきます。目的は、ていねいに繊細に応用できる柔軟性に富んだ、しなやかな声です。
[若いときの鍛え方の方法]
今、やらなくていつやるのでしょうか。
デビューしていないからこそ、期間がとれます。
喉をこわすこと、無理をすることを恐れては、身につきません。何事もトレーニングにはリスクはつきものです。何でも経験してください。二度同じレベルのミスをしなければよいのです。そして、そこでは、精神のトレーニングもなされているのです。
声には変声期があるため、他のパートよりも楽器としては、10年遅れます。これを10年、若いと考えてみてください。25歳ならまだ15歳、30歳でもようやく20歳といったところだと思えばよいのです。
・声の原点……赤ん坊に戻る
自分そのものをかくす衣装を分厚くまとい、保身だらけでみせかけだけ強い、エセヴォーカリストにならないことです。一流のヴォーカリストは、裸の声と自分をさらしています。その表情が、どんな衣装よりも、美しくきらびやかにみえるのです。心の化粧とでもいえましょうか。
・音色
息で歌うつもりで、息をていねいに使いましょう。息と声との量の配合が、ポピュラーの醍醐味といえます。息のスピードの違いをわけて感じてみましょう。子音は息でコントロールすることです。※息が出てれば(声にならずに)よいということではありません。念のため。
・声の魅力、音色の変化
母音 「アー」は、「アアアアアアア…、」と、アの点がつながったものです。
声を統一させるとは、伸ばしたときには最後まで、同じ音を保つということです。私は純粋音といっていますが、「アー」というときに、そこにノイズや「イ」や「エ」が聞こえてはよくないのです。
精神に肉体、思いに技術の一致したものが表われて初めて歌なのです。
・上半身の抜けと下半身の支え
何を考えて歌っているのか、表情一つで意味をわからせることです。
表情は明るく努めてください。すべて暗譜ですることです。練り込んでないもの、自信がないものは伝わりません。鏡をみて、上唇を花をかぐ形(だらっとおちない)にしてみましょう。
上半身は常にリラックスさせます。それに対し、下半身は重心をおとし、しっかりと声を支えます。脱力するには、歌唱中にも身体を動かし、違う姿勢をとってみることもよいでしょう。よい印象を得ること。そして、自分のやり方で歌うべきです。
・顔の表情で音色を変える
百面相のつもりで顔の表情を変えるトレーニングをやってみましょう。次に音をつけます。たとえば高音で子猫声をやってみます。
miomia
n‐mi
uoa
uoe
miiia
siiia
miieaoui
mieaouieaou
sieaouieaou
・原音(最下音)を探る
低い音になると、荒らされていない声というのがあります。目安としては、普段、自分が話している声より、2、3音から半オクターブぐらい低いところに声の芯があると思ってみればよいでしょう。そこから、さらに3~4音、下になってくると、今度は使っていない(使わない)声域に入っていきます。
そこでなら、あまり喉をしめず、1音くらい正しい声を探りあてられるでしょう。それを10回、20回、正しく繰り返せるようにしていくのです。この段階では、常に、身体に負荷を感じてやることです。
・うまいから、すごいへ
表現がその人の心のなかから出て、聞き手の心に何かを伝えるわけです。本当の歌は
「私が歌った後、それを聞いた人の人生が変わる」(シュヴァルツコップフ)とまでいってもよいのではないでしょうか。
1つの音から次の音へと移るしぜんな息の流れをとことんトレーニングしましょう。これが、ただ、うまいだけのヴォーカリストからすごいといわれるヴォーカリストになるための秘訣です。
・いいがげんな指導を受けないこと
すぐに、すべて直るようなトレーニングと指導というものはなく、すぐに直ったら別の副作用(今はよくとも将来的に悪くなる)をもたらすことがあると知っておきましょう。ヴォイストレーニングにおいては、とくに長期的な視野にたった指導が望まれます。
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