「最強トレーニング」 Vol.16
〇さまざまな音をつくる子音(4) マ行、ヤ行、ラ行、ワ行
□マ行の発音
EX.「いつまでもお変わりありませんね」 「いつもおしゃれでいらっしゃる」
〇 マ行音……マ[ma] ミ[mi] ム[mu] メ[me] モ[mo]
両唇を閉じ、軟口蓋を下げ、鼻に通し、鼻腔と口腔に共鳴するmを発します。そこから唇をあけ、母音につなげます(唇を閉じて出すため、両唇音といいます)。
〈マ行音とバ行音を区別する〉
両唇を用いる点で、マ行はバ行音と近いため、混同しがちです。
「さびしい」→「さみしい」 「寒い」→「さぶい」 「無防備」→「ムモービ」 などになりやすいのです。
1.マバマビマブマベマボ
2.バマバミバムバメバモ
□ヤ行の発音
EX.「ようこそおいでくださいました」 「よろこんでちょうだいいたします」
〇 ヤ行音……ヤ[ja] イ[i] ユ[ju] エ[e] ヨ[jo]
[j]の音は、[ӡ]の音と同じ口構えで、中舌を硬口蓋に近づけて出します。([ӡ]が無声音であるのに対して[j]は有声の摩擦音です。[j]は先に述べたように、半母音と呼びます。
ヤ[ja]ユ[ju]ヨ[jo]は、イア、イウ、イオのようにイの口の形をして、ア、ウ、オを発音してみましょう。力が入ると、横浜がィヨコハマのように、ねばっこくなります。
そのため、イ、ユ、ヨが混用されています。行く(ユク、イク)、よい(ヨイ、イイ)などです(どちらも認められています)。
□ラ行の発音
EX.「恐れ入りますが」 「いらっしゃいませ」
〇 ラ行音……ラ[ra] リ[ri] ル[ru] レ[re] ロ[ro]
ラ行音は、日本人にとってはなかなか難しい音で、いくつかのパターンがあります。
1.「ホラッ!」というときに、はじくように聞こえる弾音。
軽く歯と歯ぐきの境目のあたりに舌をはじくようにつけます。弾くところは前から「ル」、「レ」、「ラ」、「ロ」、「リ」の順で、奥に。
(これは語中・語尾に、多くあらわれます。空、くり、晴れ、風呂など。)
2.ブルンブルンなどというときの強い震え音。巻き舌で話すときの音です。(この巻き舌のラ行は共通語では用いないのが普通です。)
3.英語の[l]のような発音で、前もって舌先が歯ぐきに触れていて跳ねる音です。語頭には、この音が多く用いられます。
ラジオ、ロボット、リズム、レモン、ルビーなど。「リ」は、口蓋化します。
ちなみに英語の「L」は、舌先を軟口蓋、口の奥で、「R」は、唇を丸め、舌先を上(口蓋)につけず、口先で発します。
〇 ラとRとL
「R」舌の先端を振動させ巻き舌にします。
「L」舌の先端を軽く上の前歯の先方につけ、前にはずしながら発音します。
「ラ」 Lよりも少し縮まり後方につき、舌根がやや固くふくらみます。どちらかといえば「ダ」に近いようです。
「LaLaLa」は「ラララ」と違って、あごは動きません。
□ワ行の発音
EX.「私は〇〇 と申します」「おわかりになりましたか」
〇 ワ行音……ワ[wa] イ[i] ウ[u] エ[e] ヲ[o]
ワ行の[w]は、口構えをウ[u]に近い形にして発する両唇摩擦音です([w]は、英語の発音ほど、両唇を近づけません)。
ワ行の「イ」「ウ」「エ」「ヲ」は現在ではア行音と同じ音になっています。ワ行音は[wa]だけが違う発音です。(つい最近まで、「イ」→「ヰ」、「エ」→「ヱ」、「オ」→「ヲ」のかなで表わしていました。昔は「ウィ」、「ウェ」、「ウォ」の音がありました。地域によってはそうした発音が残っています。共通語の場合、表記は「ヲ」でも、発音は「オ」と同じです。)
☆「わたし」と「あたし」を区別しましょう。
- 〈マ行のトレーニング〉
(マ)前々から前歯が曲がっていた/まじめなママがますます迷う
(ミ)波のように満たしてみる/みみずくの店
(ム)息子は六日に婿入り/昔むかしの虫かご
(メ)女々しくて面目ない/目が覚めたら雨だった
(モ)身も心も燃え立つ/桃色の森を求めて
- 〈ヤ行のトレーニング〉
(ヤ)奴らと野球をやる/約束を破って夜勤を辞めた
(ユ)優雅な百合の花/憂鬱な夢にゆらゆら
(ヨ)用心してヨットを寄せる/よそよそしさを装う
- 〈ラ行のトレーニング〉
(ラ)皿を洗うのはつらい/桜は暗いときに開く
(リ)理想を力説するリーダー/リリカルな輪郭と彩り
(ル)留守に盗られるルビー/ベルがうるさく鳴る
(レ)レンガづくりの歴史的レストラン/レアチーズにレモンを入れる
(ロ)色鮮やかな摩天楼を見下ろす/路地をうろついていろ
- 〈ワ行のトレーニング〉
(ワ)忘れられない脇役の笑い声/わしの若い鷲
〇さまざまな音をつくる子音(5) 促音、撥音、拗音
促音・・・・・・「ッ」
促音は、マッタクなどと小さい「ッ」を使って表記しますが、音声的には、そのあとに続く音を発する口構えのまま一拍分息を急に止めることです。つまり、ガッカリは[k]の口構え、ヤッパリは[p]の口構えをつくることになります。したがって促音といえばどんなことばにも、いつも小さい[t]の発音が伴うというものではありません。
促音が小さい「ッ」で表されるため、本来促音でないものが、促音のように間違って発音されるケースもあります。
(例) カムチャツカ×カムチャッカ
かつて(カツテ)×カッテ
トロツキー×トロッキー
ラデツキー×ラデッキー
撥音……ン[m][n]
「ン」で表記される撥音は、両唇や舌などで口からの呼気の出口を閉じたうえで、鼻腔への通路をつくって発音する音です。五十音図ではンと一文字で表わしますが、そのときのことばによっていろいろな表われ方をします。
次の音がどんな音かによって違いが出ます。
ンのあとにp、b、mの両唇音がくる場合は[m]の音になる傾向があります。
ンのあとにt、d、n、rなどの歯茎と舌先を使う音がくるときは、[n]の音になる傾向があります。
上にある以外に、アナウンサー、恋愛(レンアイ)、陰うつ(インウツ)、温和(オンワ)、範囲(ハンイ)、繁栄(ハンエイ)、本式(ホンシキ)、三役(サンヤク)など、[s][a][o][u][w][i][e][∫][j]などの音の前にあるンは、はっきり聞き取れない中途半端な発音になることがありますから、意識してはっきり出すようにつとめましょう。
拗音・・・・・・「ャ、ュ、ョ」
カ[ka]という音に対してキャという音があります。この場合、音韻論的には、キャはカ[ka]の中に半母音[j]がはさまって[kja]という拍(音節)になっているとも考えられます(国語学大辞典)。このように子音+母音の拍(これを直音といいます)に対して、半母音が入った拍を拗音とよびます。
共通語の拗音は次の十二種です。
キャキュキョ[k] ギャギュギョ[g] キ゜ャキ゜ュキ゜ョ[ɳ] シャシュショ[∫]
ジャジュジョ[dӡ] チャチュチョ[t∫] ニャニュニョ[n] ヒャヒュヒョ[ç]
ビャビュビョ[b] ピャピュピョ[p] ミャミュミョ[m] リャリュリョ[r]
拗音は、音韻論的には、子音+半母音+母音からなっているといいましたが、音声学的に個々にみますと、[k][g][b][p][m][r]は、半母音[j]を経て母音[a][u][o]につながる音であり、その他は[∫][dg][t∫][h]に母音[a][u][o]がついたものです。また、拗音のはずのことばで、拗音でない発音を認める場合があります。
千住(センジュ)→センジ
手術(シュジュツ)→シュジツ
新宿(シンジュク)→シンジク
- 拗音のトレーニング
1.キャキュキョ ギャギュギョ キ゜ャキ゜ュキ゜ョ
2.シャシュショ ジャジュジョ
3.チャチュチョ ニャニュニョ
4.ヒャヒュヒョ ビャビュビョ ピャピュピョ
5.ミャミュミョ リャリュリョ
- 促音「っ」のトレーニング
1.「にっちもさっちもいかない」
2.「おっとびっくり、ずっこけた」
3.「キットキッズ 食った」
- 撥音「ん」のトレーニング
1.「仙台の先輩はガンガン打った」
2.「先頭にいた連盟は散会した」
3.「宣伝した新聞で宣言する」
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